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強きところも、弱きところも。だからわたくしは――。

 楽しい朝食も終えましたが、私達は雑談をしておりました。父母はこれから所用があるということで外出です。婚約破棄のことで色々あるのでしょう……。


「アリアンヌ。あなたは何も悪くないのよ。お父様にお任せしておけばいいし、私もあなたの味方よ」

「はい、お母様……」


 母に穏やかな目で見守られ、私の心は軽くなりました。


「オスカーちゃん、ゆっくりしていってね? 私達はこのへんで失礼させていただくわ」

「はい、ありがとうございましたっ! いってらっしゃいませー」

「いってらっしゃいませ」


 お二人を玄関まで送ったあと、私はこのあとのことを考えることにしました。


「オスカー殿、東屋でお話しませんか?」


 話をするつもりでしたものね。私がそう提案していたところ。


「まあ、アリアンヌ! この曇り空なのよ? いつ降り出すかもわからないし、お勧めはできないわ」


 お母様、戻ってらしたの? 父は玄関の外で待っているようですわね。


「ええ、曇ってはおりますわね」


 廊下を歩いた時に知ったのですが、外はどんよりとした空模様でした。雨季の時期に入ったところですものね。


「ですが、お母様。屋根もありますし、雨も凌げますから」

「まあ、アリアンヌ? もっと良い場所があるではありませんか」


――アリアンヌのお部屋。母は言い残して、今度こそ出かけられました。


「……」

「……」

 

 残された私達はとても気まずいものでした。私の部屋で。オスカー殿と。二人きり? 


「……東屋行こうか」

「ええ、そうですわねっ!」


 オスカー殿はあさっての方向をみていました。私は私で即答しました。


「その前にアリアンヌ様は着込んでくること。寒がりでしょ? まあ……その服も可愛かったけどさ」


 どこか残念そうにしながらも、オスカー殿はそう提案してくれました。冷えそうですものね、そうしましょう。


「……ええ。お待ちくださいね?」


 彼の優しさが嬉しく思えました。





 私達が邸から出る頃には雨が降っていました。私達は別々の傘で庭園へ向かうことにしました。ああ、蝶よ……あなた達は濡れてないようで良かったですわ。

 私達は東屋に到着すると、向い合せで座りました。しとしとと降る雨の音。静かなる場です。


「……話、だよね。うん、話しとかないと。あれだけ駆け落ちとかいっておいて。ご両親からも歓迎されたのに、だよね?」

「……はい」


 私は頷きました。


「はあ、かっこいいって思っちゃったからさ。誇り高いままだな、この人はって。そう思ったから。だから……もっとつり合いがとれるようになってからって」

「嬉しいですわ。ですが、オスカー殿。あなたこそ素敵ではありませんか」


 私こそまだまだですわ。私こそでしてよ? あなたに憧れているのは。


「オスカー殿。私はあなたの強さに助けれらたのです。いいえ、強さだけではありません」


 オスカー殿と過ごした日々を振り返る。彼が強いと思ったのもそう。でもそれだけではないでしょう。私は彼の――弱さも見てきたのだから。


「あなたの弱きところも見てきましたから。私は支えたいと思ってきたのです」

「……!」


 私はテーブルの上で彼の手に自身の手を重ねました。顔を赤くすることはあっても、青くすることはない。もう怯えることもないのですね。


「そして、これからも一緒にいたいと。私もそう望んでいるのです。そんな満たされるような思い、それは――」


 あなたを思うと温かくなるこの思いは――。



お読みいただきまして、ありがとうございました!

明日も投稿予定です。

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