表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

108/438

ここがスタート地点。

 私達は学園の外れまでやってきました。お馴染みの場所ですわね。


「来てくれてありがと。話しておきたくてさ。俺とブリジットの関係のこと」


 オスカー殿は机に手をつき、語りかけてきました。


「俺さ、直談判してきたんだ。ブリジットのおじいさん、会長さんにね。話がさ――進み過ぎている気もしたからさ」

「!」


 私が驚いていると、オスカー殿はだよね、と笑われました。


「リゲル商会の知り合いに協力してもらって。うちの親が勝手に進めているんじゃないかって、俺も思ってたから。うちは貴族といえど、調べれば調べるほどボロが出るわけだし。良縁ともいえないのに、相手でいいのかなって」

「それで話をつけに……ですの」

「そうそう。まあ、結果が――そこまで話がいってなかったというか」

「ええ!?」


 なんということですの。ブリジット嬢と男爵家だけが、でしたの? 


「孫の望みなら、って感じでもあったけど。でも……だからこそ、俺とじゃ幸せになれないって。フェル家の実情も話したよ。恥とか言ってらないし」


 オスカー殿は気まずそうにしていました。恥でもあって、傷でもありますから。話すのは大変だったことでしょう。


「会長さんも納得してくれたよ。実際にさ、厄介な家族がついてくるんだから。デメリットでしかないからね。まあ……お孫さん溺愛でってのはあるけど」


 まだ危惧することはあると、それでも。


「……厄介、だって。それすらも言えなかったのに。俺、あの人達に断り入れずに動いてるし。でもさ、動いてみたら平気だった!」


 オスカー殿の顔は晴れ晴れとしていました。見てるこっちまで、明るくなってくるような。


「まあ、結局は――なんだけど」

「……?」


 ぼそりと呟いた声は、私には聞き取れず。聞き返そうにも、オスカー殿に首を振られてしまいました。


「……えっと、結局は家のことはあるけど。でも、いつまでもさ。あの人達に言われたままにもしておけないし。間違ったことは正してもいきたい」

「……オスカー殿」


 机の上にある手は震えたまま、それでもあなたは変わろうと。そうなのですね。


「アリアンヌ様のおかげだよ」

「いえ、私はそんな」

「いや、本当にそう。あなたに支えられたようなものだから」


 なんてまっすぐな目ですの。私に向けられたそれは、そらすことも出来ず。


「ええ、これからも支えていきたいですわ――もちろん、友人として」


 私に出来ることでしたら。私は笑って答えました。


「……」


 オスカー殿は片手で自身の胸元を抑えつけています。顔は笑んだまま、でもどこか辛そうな――。


「……ああ、そっか。俺が散々言ってきたな」


――気持ちがわかったよ、と。目を伏せておられます。


「……でも、いいか。今、スタート地点に立った感じ。ううん、なんでもない。あ、ほら。まだ時間あるでしょ。話でもしていこう?」

「え、ええ……そうですわ。誕生日の贈り物についてですが――」


 オスカー殿に笑顔が戻られました。私はどこかひっかかりつつも、彼との会話を楽しむのでした。




お読みいただきまして、ありがとうございました!

明日も投稿予定です。

気に入っていただけましたら、高評価・ブックマーク等をしていただけますと

大変励みになります!よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ