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攻略開始前②

「……ああ、失礼。煮詰まってしまったのでしょうね。一息いれようかしら」

「かしこまりました、お嬢様」


 私の一声で、イヴは恭しく頭を下げた後、ドアの方へと向かいました。休憩の為のお茶を淹れてくれるようです。ここでは飲めませんので、隣室へ移動することに。


「……ああ、お待ちになって」


 私はイヴを呼び止めました。そう、どうしても彼に尋ねたいことが出来たのです。彼が訝しむような内容ではあります。ええ、それでも。


「イヴ。あなた、女性の知り合いはおりまして?」

「……。アリアンヌ様、ご意向に添えずに申し訳ございません。質問の意図がわかりかねます故、どうお答えすればよろしいのでしょうか」


 でしょうね。私もそう思います。あまりのわからなさに、イヴも妙に畏まってしまっておりますわ。


「……そうね、それでしたら」


 これではいけませんわね。質問の仕方を変えてみましょう。


「……ほら、あなた。アリエス学園に通ってますでしょう? 良い仲、と申しましょうか。そのような子女はおりまして? その……主として知っておきたいと思いまして」

「……!」


 私の質問に傷ついたよな顔をしていたのは、イヴでした。


「イヴ? あの……」


 下世話と怒られるくらいの覚悟はありましたが、こうも……傷つかれるとは。私が話しかけようとする前に、口を開いたのはイヴでした。


「……。嫌だなぁ、主を差し置いてなんてないから。アリアンヌ様のご婚姻がまず第一ですし、考えるとしてもそれからだって!」


 彼はどこまでも明るく笑っていた。何かを隠しているようでも、嘘とまでは思えなくて。

 ひとまず、現時点ではヒロインポジと知り合っていない、そう判断しましょうか。これからもしれません。私は……今は、どこかいつもと違うイヴが。どうしても心配になってしまいまして。


「……本当に、第一だから」


 イヴは目を伏せてそう言っていました。何かを念押しするかのように。やはり様子がおかしいのでは。


「――ところで、アリアンヌ様」

「な、なにかしら」


 急に話しかけられ、私は上手く反応できませんでした。イヴはそれを気にすることなく、話しを続けます。


「御多忙な身でしょう? 学園生活も新たに始まるわけだし。僕の方でまとめておきますから」

「まとめておくって……さっきまでの調べもので合っているかしら?」

「そうそう!」


 なんとまあ。イヴがデータをまとめてくれると。


「ならば、お願いしますわね。ですが、忙しいのはあなたもでしょう。程々になさって?」

「はーい」


 ま。適当な返事ですこと。正直、有難い申し出ではあります。私の方でも引き続き目を通すようにしますが、甘えることにしましょうか。




 王家主催の夜会も行われましたが、令嬢としてソツなくこなし。


「……はあ」


 ええ、内心汗ダラダラではございましたが。ここはアリアンヌ・ボヌールとして、やらかすわけには参りませんから。


 会場の熱気にあてられて、私は夜のバルコニーにて涼んでおりました。後ろから声を掛けられ、私は敬意を持って挨拶を致しました。その相手は、高貴なる御方でもありました。

 お会いしたのは、王太子殿下とお付きの方。相も変わらず陽気で華やかな殿下に、そっと寄り添うな従者殿。正反対とお見受けしますが、ご友人でもあられるのだとか。殿下の懐の深さもあってのことでしょう。


「……」


 そんな二人もまた、アリアンヌ様の攻略対象――しいては。ヒロインである彼女に心を奪われるわけでございますね。




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