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フルダイブ・テストプレイヤー「勇者に訪れる161の結末」  作者: 虹鳥
仕事、第4週目

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エンディングリスト No62

ベッドから立ち上がろうとした瞬間「ピコン」と音が聞こえた

そういえば、先週はニーモに撲殺されるエンドを迎えてツッコミでこちらからチャットをかけたけど

いつもだったら本日のラストエンドになったら通知が来るのを忘れていた


研究員風林>次で本日ラストのエンディングです、それが終わりましたらログアウトをお願いします


え?あれ?研究員風林?どちら様??板橋さんは?

ちょっと一旦外に出る、このまま家にいるとニートエンドになってしまうから


カイザン>はい?わかりました

あのすいません風林さん?

初めまして?

研究員風林>はい、初めまして

どうしましたか?

カイザン>あの、板橋さんは?どうかしたのですか?

研究員風林>板橋さんは本日早退しました


えっ!?早退!?何があったのか?!


カイザン>え!?体調不良ですか!?何があったんですか?!

もしかして、最近冬になってきたからインフルエンザとか?

研究員風林>いえ、自分にもよく分かりません

昼の交代が終わった後に突然上司に半休を申し出ました

なんか、この世の終わりのような顔をしていました…

カイザン>え……何かショックな事でもあったのでしょうか…

研究員風林>かもしれません、しばらくお休みさせておきます

カイザン>はい、お大事にとお伝え下さい


本当に何があったんだろうか?今やっていることは人体実験のような物だけどクラインフライカンパニーはすぐに休めるあたり本当に優しい

今は最後のエンドを迎えることにしよう

そう思ってチャットを閉じ一旦深呼吸をして、室内に戻って動物たちを撫でた

これでようやく落ち着いた


そう思って家を出る、王城をスルーしたのちに草原へ

今度はテスカさんを助けるつもりだから武器が必要になるけど、ジェリーコだったらダイナマイトで簡単に終わる

獣道からダイナマイトを入手して廃坑の壁を壊していく……なんか、2周前の行動のせいで未だにぎこちない動きになってしまう

昼の真ん中ぐらいと思うが、廃坑を出て先に少し進んで脇道へ

そうして超大海原の港にたどり着いた


ラストのエンドは何にしようか?

取り合えずテスカさんを助けたことはないから船に乗るかどうかは別として助けることはしてみよう

多分助けるだけではエンディングに入らないはずだ

けれど船の中に入るかはいったん考えつつ来週の予定に組み込むことにしよう

そう思って超大海原チケットショップの方へ行こう


「(えっと、確か店の裏手に…)」


表が改めて閉まっていることを確認して、裏手に進んで行く

座り込んでいる初老の男性がいて、目的地までは一直線だから結果として近寄ってみると


「ああ…なんてことだ!

ジェリーコに商売用のカバンを取られてしまった!

あの中に売り物のチケットが入っているんだ!

誰かジェリーコを倒してくれ!」


と話した、話しかけてきたと言った方が正しいのか?

やっぱり周囲の人に助けを求めている感じだ、でもこの場には俺しかいない

たとえ周囲の人がいたとしても、「誰かやってくれるだろう、だから自分はやらない」という傍観者効果は発動しない

傍観者効果で有名なのはある「誰も消防車を呼んでいないのである!」のあの漫画だけど、通報とかの緊急事態とかで無く身近な事で言うなら

PvPゲームとかで、誰かがある地点で誰かが達成しないといけない『緊急クエスト』みたいな出来事が起きたら、全プレイヤーが「まあ、誰かがやってくれるだろうなー」と行かなかったせいで敗北するってことは何回もある

遠すぎたりして行けない時もあるけど俺はその時は積極的に解決へ向かうことが多い、なんてったって行かなきゃいけない場所の近くにプレイヤーがいたとしても何もしない人が多くて苦労することが本当に多い

………そういえば、消防車の話に戻るけど話せない人はどうやって通報したらいいんだろうか?

いざと言う時の為に調べたほうがいいのかもしれない、たまにだけど俺1人で出かけることはあるから


そんな傍観者効果の事を考えながら、こんどはミスらないように正面に集中してジェリーコを倒していこう、テスカさんの前に立って紫の頭をつついて「使用する」しジェリーコに投げていく

すっぽ抜けて後ろに飛んで行かない限りテスカさんに当たらないだろう、念には念を入れてアンダースローでなげていくことにしよう……フラグにならないように、ちゃんと正面に意識を向けないと

もしも本当にすっぽ抜けたら大急ぎでダイナマイトを蹴って今度はちゃんと守ろう、近くにいるから多分助けられる

ちゃんと意識して使うと普通にジェリーコを全員倒すことができた

倒したはテスカさんはゆっくりと立ち上がって


「おお!君が倒してくれたのか!

ありがとう!

渡したいものがあるからちょっと待っててくれ!」


そう言うと、歩いて行ってカバンを普通に持ち上げた、ちょっとカバンが爆発に巻き込まれていたけどやっぱり影響は無いみたいだ

カバンを拾い上げた後はそのまま店の方へ進んで行く

オープンワールドゲームでNPCが何かしらの行動をするとこまで待つシーン

人にとっては、せっかちな人は背中を押したり、好奇心旺盛な人は邪魔をしたりすることが多いと思われるこのシーン

初見の時は結構楽しく待っていられる

歩いて行って、店の前まで来るとこっちを振り向く


「本当にありがとう!これでチケット屋さんを始めることできる!

助てもらったお礼にこれをあげるよ!」


そう言うと、テスカさんの所から1つアイテムボックスがコロンッっと落ちた


「じゃあワシは開店準備があるからな!

本当にありがとうな!」


そういって扉を開いて、室内に入ると共に看板を裏返した

看板には「OPEN」ではなく「CLAUSE」のままで下に追記で

「開店準備中!片付けが終わるまで待ってて!」

と書かれていた


「(これは、しばらく待ったら室内に入れるのか?)」


丸1日とか経過すれば何か起こるのかもしれない

念のために扉に触ってみるけどやっぱり開かない

でもそれを試すのは、次回にすることにしよう

それなら、今ここにあるアイテムを入手して調べてみるか

多分中身は……


▼船のチケットを手に入れました


やっぱりチケットだった。

攻撃手段があればチケットを1枚入手することができるんだな?

そのチケットは切符のような紙ではなく、アクリルと言うのだろうか?バスの定期券のようなビニールみたいな加工をされていて、簡素な文字で「船チケット」と書かれていた

シンプルだな

取り合えず紫の頭をつついて「調べる」してみよう


▼:超大海原にある船のチケット、1枚あれば何回も使える


まさかの片道パスとか定期券とかではなく永久パスとは、でも確かにここで1枚だけ入手できるというのであれば永久じゃないと、船に乗って帰る時に不便なことになる

何となく「使用する」を押してみると「対象となる場所に移動すれば自動的に使用されます」と表示された、あのヤスラギ湖アイテムショップにあったアイテムたちみたいだ

さて、チケットを入手したけど船に入ってみるか?それとも別の行動を取るか?


「(でも、船に入ったらどこかに向かうと思うし…いきなりやる事が急速に増えたら頭が混乱してしまいそうだ)」


先週の時はメチアツ火山とメチサム氷山を軽く調べて今回のテストプレイで調べた

それと同じように、船の出先を調べるのは来週にしよう

それに密航した時にちょっと船内を歩けた、合法的にチケットを持って中に入れば船内探索とかできるかもしれないし

考えば考えるほど来週の楽しみが増えてきた、だったらチケットを手に入れたけど使うのも来週にしよう

となればどうすか?


「(それだったら、海そのものを調べてみるか)」


こんなに大きな海、何かあるのか?

もしかすると今空気泡無いから入ったら溺死すると思うけど、水中に何かルートがあるか気になる

大きな帆船を見て、船首側も船尾側も海が見えるがどっちも結果は変わらないと思う

取り合えず近い方である船首方向へ行こう


……色々と考えながら歩いていたからか夜になってしまった


船首の方は覆いかぶさっているのもあって暗く感じる、けれど、ゲーム特有の「暗くても見える」構成になっていて分かるのは助かる

大きい船に対して結構立派な埠頭になっていて、ちょっと身を乗り出すと水面が見えた

月明かりに照らされてキラキラはしているが水の中は全く見えない

1週目ぶりの溺死エンドを迎えそうだけど、やはり闇に飲まれそうな恐怖がありそうだ

ん?そういえば1週目のラストも溺死エンドだった気が


「すぅ~~~はぁ~~~」


一度深呼吸をして、筆談道具をその場において足から飛び降りた

ドボンと音が鳴って全身が水に包まれてエンディングに……入って行かない!?

ヤスラギ湖の湖は一切として浮かなかったけど、超大海原の海は浮くのか?塩水の影響か?いやそんなわけないけど…

なんだか、子供のころにやったでっかい公園にあるトランポリンに乗ったような感じがして不思議な感覚で浮ける

一応、埠頭の方を見てみると梯子が沢山降りていて戻ることは出来そうだ

水辺に顔を突っ込んで水中を見てみたが…真っ暗な闇で全然何も見えない、ここら辺は「暗くても見える」には含まれないらしい

これは水の中のマップはなさそうだ、船の移動範囲がそれほどまで広いのだろうか


水面上の周囲を見渡してみる、けれど水平線の彼方まで何も見えない

このまま浮いて進んで行ったら何か見えるのか、もしくは沈むのだろうか?

そう思いながらジャバジャバと進んで行った


……

…………


気が付いたら空が明るく朝になっていた

…ここに来てなんだか疲労感を感じて来た

急に疲労感か、これっていつぞやの強制労働施設で感じたのと同じか?このまま探索して言ったらエンディングに入って行きそうな予感

その前に立ち止まって、朝日を確認しながら水中に顔を突っ込んでみる

……やっぱり闇だ、それに思ったけど空気泡を持っていないのにこの海で息が吸える

色々と特殊過ぎないか?この海は

埠頭から歩いて行ったが…思った以上に近い動きにくいから思ったよりも自分の動きは遅かったのか

そろそろエンディングを迎えても良いと思うのだが


「っ!?」


と思って歩みを進めた瞬間に急に体が沈んだ

さっきまで空気が吸えていたはずなのに窒息で息が苦しくなる

ヤスラギ湖の時よりも猛スピードで沈んで行き視界はどんどん真っ暗になって行く

水圧か?ただの窒息だけではなく、ゆったりと全身を押されていく感覚も感じて来た

窒息とか水圧とかの苦しさは色々とあったけど、

最も苦しかったもの、それは……1人だだ暗い中に落ちていくような孤独感であった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

No62「過信しすぎ!」


カイザンは体力自慢!!どんな環境でも生きていけると自称していた!

そのために超大海原を行くと、泳いで行くことにした

けれど結局は人間だから限界はあるんだよ!

気が付いたら自慢の体力が尽きて尽きてどんどん沈む!

空気泡があってもなくても、体力の限界はあるんだね!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はぁ!?はぁ……」


少し粗目の呼吸を整えながら心を落ち着かせる

けれども顔はニヤついている

最期のメッセージにあったけど、さっきのエンドは空気泡を使っても使わなくても関係ないと思われる

でも、やっぱり孤独の恐怖は本当に怖いもをの感じる

きょうの仕事も終わりか……と思っていると「ピコン!」と通知音が聞こえた


研究員風林>お疲れ様です、ではログアウトをお願いします

カイザン>4日目64ED到達

5日目の時にやることリスト

・メモ、絶対零度の証と灼熱地獄の証を使う場所(それぞれ、2か所ずつ)

灼熱地獄の証は前の場所?

・山の先も確認

・超大海原港船関係を調べる

→助けた後に入り口でしばらく待って見る

→船乗組員に攻撃したらどうなる?

→チケットを持っている時は船を調べる

→密航状態で大人しくしたらどうなるか確認

→チケット持って密航したら?

船を一通り調べたらどこに繋がるか確認する

カイザン>メモの完了いたしました

それではログアウトします

研究員風林>はい、お疲れ様でした


そう入力した後に「ログアウト」を押してゲーム終了し現実世界に戻っていった


…………

…………


目が覚めると、なんか少し体の節々が痛む

上体を起こすことはできたけどその近くには、いつもの人とは違う研究員がいた…こちらの方が研究員の風林さんか?


「大丈夫ですか?何か体に不調がありますか?」

「(なんだか、2日目終わった時のような節々の痛みがします…何かあったんですか?)」

「実を言いますと、本日の仕事はエンディングを発見し続けていた場所の都合上、時間がいつもよりも多めにかかりました、具体的には2時間ほど多めです」


八時間近くか……一応仕事時間的には丁度って感じだから2人は心配してないはず

…スマホ開いたら着歴が埋まってなければいいけど


「(たしかにメチサム氷山とメチアツ火山はスタート地点から遠くてかかった気がします)」

「それに、これからの仕事はスタート地点からさらに遠くに行くからこそ、仕事時間が増えてしまいます」


たしかに、遠出することが多かったからかかる時間も増える一方になる


「フルダイブの時間が増えれば増えるほど、体への負担が増えてしまいます」

「(ゲームは一日一時間と言いますし、普通のゲームも長時間やっていると影響がありますね)」

「そのために、次回の仕事では対策を練ることにします」

「(一週間で大丈夫なのですか?この前のちょっとしたアプデと違って

結構時間がかかりそうで…)」

「対策さえ思い浮かべば2、3時間で行けますので大丈夫です」


凄いな……プログラムできる人って…


「(分かりました、よろしくお願いいします

ところで、やっぱり板橋さんはいませんか?)」

「はい……本当に原因が分からなくて」


心配だ、調子がよくなってこの前少し話したコラボカフェまでに体調を良くてくれたらいいけど

それからは人間ドックとカウンセリング、節々が痛いだけで特に体調に問題は無かった

昼ご飯は会社で食べたけど、ちょっと今日は結構時間がズレてしまってまだ変な空腹感がある、大金を受け取りつつ会社を後にする

健康に気を使っているけど、今日は少し羽目を外す

帰宅途中でファミレスに寄って2回目の食事をとる、ちょっと暴食かな?

店に入った時に筆談であった事に驚かれたけど…もう驚かれることには慣れている…はず?

そして注文した後に料理が届くまでの間は何となくTwitterを開いてみる、何かゲームとかの更新が無いかな?と思って見てみると…………


…………俺は、スマホを落とした


手が滑った訳ではない、俺自身に何は起きたのかも分からなかった

テーブルの上で操作していたから地面に落ちて液晶が割れるなんてことは無かったけど、何が起きた?

もう一度スマホを持って見る

そこにはTwitterのTLがあってそこに書かれていた内容は


スカイウィンドコラボカフェの中止の内容であった


……いったい何が起きた?驚きはしてない、いや、現実を受け止められてない大きな絶望感を感じている、ほんとうに何が起きたんだ?

そう思って少し調べたら分かった

爆破予告があったからだ

何者かか分からない奴がそんなふざけたことを言ったらしい

日本の国ではオフザケでも爆破予告はしてはいけない

オフザケだとしても日本の警察はシッカリと動いて…そして警察にも予告された場所にも大きな損害と迷惑を与えてしまう

それがよりによって、俺の妹が所属している、俺も幼馴染も応援している所が狙われてしまった


届いた料理は完食したけど、味が分からなかったのか覚えていないのか、ただ胃に重量感が増しただけのような気持ちにあった

急いで家に帰らないと、心を落ち着かせるためなのか自宅と言う安心感のある所に急ぎたいのか

メールを送るという普通の手段でさえも脳内から忘れてしまうほど、心臓が早鐘を打っていた

手も震えている、怒りなのか憎しみなのかぶつけたい感覚が重く手に来ていた

……そうか、板橋さんが早退したのはコラボカフェの中止がショックだったのかもしれない

不穏な終わり方をしましたが、本筋である「エンディングを161達成する」事から脱線することはないので安心してください

不穏関連は幕間で終わらすつもりです

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