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プロローグ3

会社から採用を言われて、帰宅する

少しばかり時間がかかったがようやく自宅に着いた


扉を開くと、いつも通りのちゃんとヘアピンを付けている星奈とぶかぶかな服を着ている宏樹が暖かく出迎えた


「おっかえり兄貴」

「お帰り~カイ」

「ふぃ………(ただいま)」

「面接どうだった?」

「(好感触って感じだった、追って連絡すると言われたけど多分採用だと思う)」

「おーよゆーって感じか、それは良かったな」


本当は即採用だったけど、変に怪しまれないようにしておいた


「いつまでバイトすんの?」

「(「不可視の一撃を乗り越えて」を書き終えてから次のネタが思いつかなくてな、書きたい気持ちはあるから燃え尽き症候群ではないのは分かっているけど次のネタが思いついてこのバイトがひと段落するまでだ)」

「結構寛容的なの?」

「(ああ、面接の時に説明したら問題ないと言われた)」

「めっちゃよさそうな所だね!んでんで?どんな仕事内容なの?」

「(ゲームのテストプレイだ、だけどどんなゲーム内容かは言えない)」

「あー守秘義務っていうものかー」

「(その通り、内容を話したらゲームが発売できなくなる可能性が高くなるからな)」


本当はここにいる三人共々消される可能性が高いけども脅迫されている自覚があまりにもなさ過ぎて現実味が持てないぐらいだ、けれどこの感覚を愉しんだとしても決して誰にも迷惑はかけたくない


「今日はヒロが晩御飯お願いね?私はこれから30分後に配信があるから」

「あーそれならちょっとしたもの作っておくよ」

「よろしくね!」

「(じゃあ俺はモデレーターをやっとくから)」

「兄貴ありがとうな!」


新しく俺がバイトをすること以外、いつも通りの時間が流れていった……


……………

………


それから数日が立ってメールで仕事日の時間の相談があった、別に俺は今はやることは無いし一番早い日でも大丈夫との趣旨を伝えた所……翌日に行くことになった

再び出勤をして館……ではなく会社にたどり着いた、十月も中旬ぐらいで以前よりも厚着を着てここに来た

インターホンを鳴らすと中から以前と同じSP2人と西門社長が出てきた


「お久しぶりだ、海山君よ」

「(はい、お久しぶりです。本日からよろしくお願いします)」

「ああ、まずは色々と説明があるからこの前の応接室に再び行こうではないか」

「(はい、分かりました)」


言われるがままにこの前と同じように案内されて応接室に入って、再び座った


「(改めまして本日はよろしくお願いします。説明とはどのようなことですか?)」

「ああ、少し待っていてくれ」


と西門社長が言うと1人の男性が入っていた、中肉中背で髪は少し長くメガネをかけていた……名札には「五十嵐」って書いてある


「資料はこっ…こちらです。今宵はアルバイトに来ていただいて、あっ…ありがとうございます」

「(はい、ありがとうございます)」


なんだか噛んでいたがそれ以外は普通の人ではあったが、そんな五十嵐さんが社長を見る目が落ち着いている感じもしたしなんとなく気になった。

五十嵐さんがここから出ると西門社長は話をつづけた


「彼のことが気になるかね?」

「(なぜだかは分かりませんが、気になりました)」

「彼は五十嵐、実は少し前までは最悪な職場に就いていたのだが今はここで幸せに働いているぞ

どうにも人と対面することがとても苦手だから裏方の仕事を任している、交通事故で死の淵に立っても戻って来れる立派な職員の一人だ」


死の淵?交通事故で何かあって1回死にかけたのかな?でもこれ以上は五十嵐さんのプライバシーに関わりそうだから深堀りはやめておこう


「五十嵐のことはこのぐらいにしておいて、これからは説明をする」


そう言ってこの前見た資料と一枚の紙を差し出した。

もう一枚の紙は……予定表のようだ?


「まずこの契約書の男性が着ている専用の服に着替えてもらう、3Dアクターというものは知っているか?」

「(はい、着た服にセンサーが付いていて実際の体の動きを取り入れて3DアニメやVtuberで使われるものですよね?)」


妹が時々着て……ゲフンオホン、Vtuberのガワを着ている一般人が着ているあの服のことか、妹はバーチャルで生きているようなものだから着ていないけど、中の人なんていないけど


「最近の若い人は本当に詳しいな、3Dアクターの衣装とはと違って体に流れる動きの電気信号を換算して入力したデータをゲームに出力をするという仕組みなのだが、いつかは脳信号だけでも入出力するようにしたくて……」


正直…そんなに生物の信号とかはあまり詳しくなくて、この辺りの話はチンプンカンプンで聞いていた

でも創作で扱えるかもしれないから中途半端に記憶しておくことにする


「…まあ、難しいことは言わない。この服を着てこの装置に入ってもらうということだ」

「(はい、原理とかよくは分かりませんでしたがやることは分かりました)」

「正直だな?まあそれで構わない

そしてゲームの世界に入ってもらうが、その時に感じた感覚や感情も全て教えてもらう」

「(全てですか?後でレポートでまとめたりとか……)」

「それに関しては問題ない、この設計図で被っているヘルメットはテスターの感情や考えていることをすべて入力される、別にプライバシーを侵害することはしないから安心してくれ」


そこまで文明って発達していたのか?!いや感情をコンピューターで記録するという技術はテレビで見たことあったけど

うっかりセンシティブなことを考えないようにしなくては、普通に恥ずかしいし


「ここでゲームの内容について説明するが、簡単に言えば……えっと、主人公の行動によってエンディングが分岐をする内容だ、勇者が魔王を倒して姫を救うそんな話で色々と自由にできるぞ?」

「(マルチエンディングというものですね、そしてエンディングの数はどのぐらいありますか?)」

「161だ」


……ん?聞き間違いか?普通のゲームでも2つのエンディングとか多くあるし、恋愛などのアドベンチャーでも攻略対象のヒロインにそれぞれグッドとバッドの2種類あることが多いから10とか20とかあるけど…今3桁の数字が聞こえた気がしたが?

おいおい俺の耳よ、お前が調子悪くならないでくれ

3桁なんてここの賃金の数字で見たばっかだから聞き間違えただけでしょ


「(すいません、ちょっと聞き間違えた気がするのでもう一度言っていただきませんか?エンディングの数はいくつですか)」

「ひゃくろくじゅういち、161だ」


…俺は天を仰いだ、そんな数のエンディングがあるゲームなんて初めて聞いた。ゲームの専門ではないプログラマーがゲームを作ったとしてもこうなるのか?


「気落ちはしなくてもいい、別にすべてのエンディングを達成するまでこの仕事は終われないわけではない、君の気が済むまでやって飽きたらバイトを終了すればいいだけだ、テストプレイをしてくれるだけでも助かるからな

それに、大きな物語が終わってエンディングを迎えるという訳ではなくサクサクとエンディングにたどり着ける、いろんなエンディングを迎えて行ってどのような感情になったか?それを調査したいだけだ」


どうやらエンジョイプレイでいいとのことだけど、一度天を仰いだがそれでも俺は……


「(すいません、私はこれでもゲーマーです。すべてのエンディングにたどり着きたいです)」

「そうか、すべてのエンディングにたどり着くことはありがたいが決して無理はするな」

「(分かりました、ゲームは休憩が必須ですからね)」


時折耐久配信をしている妹もちゃんと健康に過ごして欲しいんだど……


「そういう意味もあるが、フルダイブには人体への負担が未だに安定していない。定期的な休暇とフルダイブを繰り返してもらう」


もう一枚の紙の予定表に指をさされる

その内容は毎週水曜日…今日だな、ここクラインフライカンパニーにきて数時間フルダイブをしてテストプレイのうちに終了

健康診断とカウンセリングのうち帰宅

再び一週間後にここにきてフルダイブの繰り返しらしい

命がかかる可能性もあるにしても週休6日であの金額はすさまじい内容じゃないか?


「この前の契約書には『人体実験に近いとをする』なんて書いてあったが別にバイトでも人の命を雑に扱いたい訳ではない、君のような好意的に働きに来た人を死なせたくないからな

私からは本当に『無理をするな』といいたい、この仕事で働くにあたって最も大切なことであるからな」


その言葉には嘘を感じなかった、もしマッドサイエンティストと所であったら脱兎のごとく逃げ出していたかもしれないしそもそもこの怪しい所に来てはいない

恐らくここまで開発するのに人体実験を行っていた可能性はあるけどそれでもちゃんとした何かがあったのだろう、怯えている雰囲気のあった五十嵐さん落ち着いている感じがした気がするし

あの契約書に書いてあった1%さえ引かなければ大丈夫だと思いたい

もしかするとこの心の声は恐怖を正当化しようとする何かかもしれないけどそれでもいい、早く体験をして見たい感じたい愉しみたい


「(人命への配慮、ありがとうございます。

私は大丈夫ですので説明が終わり次第始められます!)」

「ああ、ではまずはこの服に着替えよう研究の為にここからは職員の案内に従ってくれ」

「(分かりました!)」


SPの1人が一歩前に出てきて「こちらへ」と案内された


……………

………


応接室を出ると、しばらく廊下を歩いたのちエレベーターに乗る

なぜかSPの人がそこに書かれている最下層のスイッチではなくいくつかの階層の順番に押していくと、どんどんとエレベーターは地下に降りていく、なんだか都市伝説の「異世界に通じるエレベーター」の手順みたいだ

そうしてしばらくの間、降りているうちにチンッと音が鳴ってたどり着いた。

エレベーターの扉が開かれると、そこはリノリウムの床ではなく黒光りした綺麗な床とスタイリッシュな雰囲気に最低限のライトがあって、まさしくSFの世界に入った感じがして興奮する!!


「(すごいですね!こんなにもSFとはすばらしいです!近未来なフォルムが本当にかっこよくて美しい!!)」

「はい、SF作品でしか見たことない物を実現させるのが我が社クラインフライカンパニーの方針ですからインテリアやデザインも全て徹底しております」


初めてSPの方と喋ったが思った以上に話しやすい人で良かった

そんな宇宙船のような廊下を進んでいくと1つの部屋にたどり着く


「ロッカールームです、ここに専用の服がサイズ違いでいくつかあるのでピッタリのサイズに着替えてください、荷物などもロッカーの中に置いてください

着替え終わりましたらまた案内いたしますので私はここでお待ちしております。

質問がありましたらご自由にどうぞ」

「(貴重品の財布や身分証明書等はここに置いておくつもりですが、筆談用のペンとホワイトボードは持って行ってもいいですか?)」

「はい、大丈夫です」

「(分かりました、それでは着替えるのにお待ちください)」


そう言い、もとい、そう書き出しながらロッカールームに入った

室内は個別のロッカールームになっており、人が二人分ほど入りそうな大きなロッカーがあった

自分で四桁のパスワードを登録するタイプのようで防犯もちゃんとあった、もしかするともう少し未来になったら近未来な生体認証システムも入るかもしれない

いつも使う四桁を登録して持ってきた荷物を入れる、筆談用の道具のみ別の所に置いて服を眺めてみる

……これって?まるで全身タイツみたいだな?

しかもロッカーには、「全裸で着なくてはいけない」と書かれていた

そういえば契約書にも書かれていたな……

でも外に羽織るための服も一応あるが……とりあえずさっさと着替えてみる

女性の人がいなければいいが


………


意外と動きやすい感じはする、四肢や体のあちこちに何かセンサーのような物が付いているのか固い部分と端子を差し込むような穴があった

ちゃんと暖房もついているからこそ寒くはない

筆談用の道具を持って外に出る


「(お待たせしました)」

「お疲れ様です、続いてこちらにどうぞ」


再び案内されるがままSFな雰囲気の廊下を進む

今度はそんなに時間がかからずにすぐに部屋にたどり着く


「この中にどうぞ、あとは研究員の方々の指示に従ってください」

「(はい、分かりました)」


扉が開かれて中に入ってみる

室内は少し大きな部屋ではあったがところ狭しとコードや機器などが並べられており、研究員の人達が何人かいた、全員男性で良かった……

真ん中にはあの設計図に書かれているようなコールドスリープ出来そうな円筒型の大きな機械があった

俺に気がついた一名の研究員がこちらに近づいてくる


「おや?君がバイトの人か?」

「(はい、私が三 海山です。本日からよろしくお願いします)」

「おお!ようやく来てくれたか!!ありがとうございます!!」


初めてのテスターだから研究員の人達もうれしいんだろうな、俺の筆談の話はすでに伝わっているらしくちょっと驚いている様子があったが俺の筆談について聞いている人は誰いなかった……社長気を遣わせて申し訳ございません、そしてありがとうございます


「(私は何をしたらいいでしょうか)」

「あのダイブ装置……円筒状の機械に入って欲しい、その後に器具を取り付けるから横になって眠ればゲームの世界にたどり着く、後は気のままに行動してほしい」

「(分かりました)」


研究員の説明を聞いた後、ダイブ装置と呼ばれている円筒状の機械と上面が開かれる

中には寝るための座椅子を倒したような毛布と健康診断の心電図検査だったかな?そのような感じのコードの繋がれている器具が多数、中に入っていた


「(質問が二つあります。)」

「はい、どうぞ」

「(まずこちらの筆談用の道具はどうすればいいですか?)」

「それらは隣になるテーブルの上のかごの中に置いといてください」

「(分かりました、そしてフルダイブ中にこちらの研究員の方々に何かしらを話したかったらどうすればいいですか?)」

「そこは問題ありません、VRMMOで必要不可欠になるので研究中のチャットの機能がありますのでそこに入力してください

こちらから連絡があった場合もそこに入力します。通知機能があるので必ず見てください」


意思疎通に関しては問題なさそうださらに安心できる


「(分かりました)」


そう書き出して、羽織っていた服を脱いで籠の中に筆談手段を置いて横になる

周囲にいた研究員たちがコードの繋がれている器具を手に取って俺に接続していく

両手と両足、そして体のあちこちにある端子に繋がれていく

そうしてつなげられるところ全部繋げた後に頭の方に手を伸ばした研究員は……


「こちらの頭に接続する機械を繋げるといよいよ始まります、大丈夫ですか?」


筆談する物は手元にない、分かりやすいように大きく頷いて了承の意を評した


「分かりました、それでは夢の世界へ行ってらっしゃい!」


そう言って研究員は頭の方にヘルメットのような物を付ける

するとダイブ装置は上面の蓋がひとりでに閉じていった、コールドスリープする時の不安感や閉鎖感はこんな感じなんだろうか?

外からくぐもった感じではあったが声がいくらか聞こえる


「バイタイティチェック完了、ゲームの状態チェック完了……」


その他諸々の「チェック完了」の声が聞こえる、専門用語が多くてよく分からない物が多いが俺や動作のチェックを行っている、耳を傾けていたが急に眠気が襲い掛かってきた。

夢を見るような感じにゲームの世界にダイブするっていうのはこんな感じだろうか?

そのまま身を委ねるように意識を遠のいていく……


けれど、目をつぶったその漆黒に1つ……何か奥に光が見える

その光はだんだん大きく、いや、近づいて行って視界の全体に広がった


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