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プロローグ2

「………」


あれから2週間後、俺はクラインフライカンパニーの前にいる

会社への質問の結果、「仕事に問題ない」との返答を聞いたので面接の日を設けて、そして当日になった。

中途半端に伸びていた紫色の髪を少し整えてここに来た

今は10月の初めで肌寒いからこそちょっと長い袖の服で来ている

会社からは「筆談などの意思疎通手段を下さい」といわれており、貴重品や身分証明書以外にホワイトボードとペンも持ってきた

さて、その()()にたどり着いたけど


ココ?会社というよりも館では?


俺の中の『会社像』はビルとか事務所が表にある工場とかそんな雰囲気があったけど完全に城壁のような壁に囲まれた館な外見になっている、街中にあるからこそめちゃくちゃ違和感がある

けれど表にある表札にはちゃんとクラインフライカンパニーと書いてある

それに今更なんだけど、こういった会社には「株式会社」とかの文字も書いてなかった。個人事業主………ってやつかもしれないけどそれだけで良し悪しは決まっているわけではないな

そんな館の前にある鉄でできた門の所にたどり着いた


えーっと?インターホンみたいなものはどこかな?


それっぽいインターホンを押してみる、上に付けられているカメラに「(こんにちは、以前アルバイトの連絡をした三 海山です)」と書いてホワイトボードを向けた。一応メールで対応したした時は筆談で対応する話は付けてある


そう言っていると門が開かれた、門番らしき……てか門番がいる屋敷とか物語でしか見たことないのだが?初めて見たよ!

オホン…門番たちに案内されて室内に入って行く、「(お邪魔します)」と持ちながら何回もお辞儀をして敷地内に入って行く、門を過ぎて入口の方に向かうと茶色いスーツを着た礼儀正しい雰囲気のする年配の男性が立っている、後ろには黒いスーツを着たガタイのいい男が2人……怖いお兄さんという雰囲気が似合っておりSPだと思われる


「初めまして三 海山さん私はクラインフライカンパニーの社長、二階堂西門でございます」

「(初めまして、私の名前は三 海山です。本日はよろしくお願いします)」

「ああ、別にお固くならなくていいタメ口でもいいぞ」

「(いえ、恐れ多いのでこのままでいきます)」


ここで「ちょりーっす!」なんて言ったら後ろのSP達に何されるか分からない!!

いや、俺はそんなこと言わないけど


「にしても本当に筆談とは……だが仕事には支障はないから安心してくれ」

「(はい、ありがとうございます)」


筆談のことをあまり聞かれないとは、気を遣わせているのかな……初対面の人とこうなることが多く、いつもこういう時申し訳なくなるけど優しさも感じている

この気持ちですらも変に楽しんでしまう


「あまり立ち話もなんだし、応接室で面会と適性検査をしようではないか」

「(はい、よろしくお願いします)」


館のイメージでさっきまで気づいてなかったけど、今更だけど社長自ら出迎えなのもなんだか驚きだ、人事部の人とかではないのは初めてだし

そうして案内されるまま応接室に入る、SPの方々と共に………お、落ち着かね~

こんな物々しい雰囲気の面接は初めてだ


面接という名の自己紹介がお互いに始まった

俺はある程度の自己紹介、ペンネームは控えたが別の仕事で小説作家を行っていることも話した。副業がどーこーというのがめんどくさくなるからこういうのは話さなければいけない

そして西門社長の自己紹介や会社のことも聞いた


「私たちの会社が何をするところか知っているかね?」

「(はい、最近ですが調べました)」


会社に行く前に色々と調べた内容だけど、怪しげなウワサすらなかったのは驚いた。この会社は研究と書いていたど、未来の発展のための開発や研究を行っているとのこと

SF作品でしか見たことない物を実現させるというのがここの方針である

念のためにアンド検索で「行方不明者」とも調べてみたけどそんな情報も無かった


「流石だのう、私はこの会社を務めておる

子どもは2人おって2人とも可愛くてな……ってこの話は仕事とは関係なかったな

そんな子供たちの笑顔の為に夢の与える仕事をしている

君も物語を作っているなら求めたことあるだろう?」

「(はい、表現したいことを表現するのが小説家ですから。それでゲームのテストプレイとはどんな関係があるのでしょうか?)」

「ああ、ゲームのテストプレイというのは普通のコンピューターゲームではないけれど………あー面接はこのぐらいにしてここから適性検査だ」

「(え?面接終わりですか?結果はどうなんですか?)」

「結果は面接と適性検査両方の結果次第だ……と表向きは言っているが、実は面接はただの質問返答で適性検査は契約書への記入だ」

「………はア」


声で変な溜息が出てきてしまった。質問返答と契約書への記入だけで働けるようになる仕事とか怪しさが危険が増す、研究の仕事となると使い捨ての被検体となる可能性がある


「おや?怖くなったかね?けれど無理強いは言わない、怪しさや怖さを感じたなら『やっぱり失礼します、この話はなかったことに』って帰宅してかまわないよ?君は小説も書いていて君のファンも待っているのだろ?大切な友達や家族を悲しませたくないだろ?」

「(はい)」

「チラシを見てここに来る前も、ゲームとしても聞いた事ないとか賃金が高すぎて怪しいと思ったのだろ?今まで面接に来た人もそう言って去った人しかいなかった。

別に『ここまで来たからには生かして帰さない』なんてことは無い、契約書を見てから判断しても構わないさ」

「(契約書を見せてください、それから判断します)」

「ああ、分かっていると思うが契約書の内容は守秘義務があって他言無用だぞ?」


そう言って契約書を差し出した、後ろに並んでいるSP達の表情は変わっていないが心なしかより一層厳しい表情をしているように見える

差し出された契約書は流し見をしてサイン………なんてマネはせずに内容はきちんと読む、これは小説作家の時のように漫画化やイラストレーターとの契約の時もいつもそうしている。イラストレーターはいつもノイズ先生だけどそれでも毎回だ

何も見ずにサインするのは話を聞かずに了承するのと同じだからだ


そして契約書を見てみると……何というか、予想通りだった

「99%で生きれますがそれでも命の保証はありません、たとえ死亡しても責任は負えません」「これは人体実験に近いことをします、ここでのことは誰にも話さないでください。親しい人には『普通のゲームのテストプレイ』などとごまかしてください」等のことが書かれてれいた、こういったことは隠すような悪徳研究所と思っていたけど逆に丁寧で律儀すぎて不気味さがある

テストプレイで命がかかるというのはどうゆうことなのか全くわからない


「もう一度言うが、契約書の内容は他言無用だぞ?同意にしろ反対にしろこの内容は非人道的だということはこちらも分かっている。だからといって警察への通報などは勘弁願いたい、他者に他言さえしなければいいだけだ……」


社長自らもそのことを認める話をした、この事をあえて言っているということは()()()()()()()()()()といっているようにも聞こえる、良くて「買収済みであり通報しても取り扱ってくれない」悪くて「どんな手を使ってもこの会社の秘密は守らせてもらう、『消す』」という形で……」なんて可能性が頭の中を過る

無表情なSPに大きな館……使い捨てのように質疑応答と契約書への記入で済む仕事、このような所が本当にあるなんて?

……だが、おれは


「え?なぜ君は?笑っていんだ?」

「……(すいません、これは自分の癖のような物で人間が感じるような負の感情を楽しんで…いえ、愉しんでしまいまして、つい笑ってしまうのです。

恐怖で顔が引きつっていたりしているわけではないのです)」

「そ……そうかい、事前に言っていた筆談の事以上に驚いたな………」


後ろにいたSP達は懐に手を伸ばしていた、本当にごめんなさい


「オホン…それで、結局は同意するのか?それとも帰るのか?」

「(私は………私は)」


確かにこの話を聞いた人であれば誰もが帰るというのは頷ける、けれど……俺は


もっと知りたい、この感情を

もっと感じたい、この衝動を


「(今まで誰もが帰っていたのですよね?)」

「ああ、雰囲気を感じで逃げた人もいたし契約書を読んで怖くて泣くように帰った人もいた」

「(私は確かに怖いです、恐怖も感じでいますし創作でしか見たことない事って本当にあることに驚きました……だからこそ)」

「やはり今回も無かったことにか……」


残念そうな表情をしている西門社長の顔を見て、勘違いされたと思われたくなくて続きの文章を急いで書いて差し出した


「(だからこそ!その感覚を愉しみたいのです!!)」

「うお!?」


勢いが良すぎたのか、SPの方々がまた懐に手を入れていた。チラッと黒光りする物が見えた気が……銃かまさか?興奮しないようにしないと、そしてまた騒いでごめんなさい


「……『楽しみたい』、そのような感覚は確かに大歓迎だ」

「(なので、同意ということでサインをします)」


そうホワイトボードを出しながら契約書にサインをした

健康に気を使っていて生きることに全力をしているのに命がかかることに足を踏み入れるとは本当に俺は相当なバカだ


「そうか、ありがとう!この契約書に同意したのは君が初めてだ、少しの間だがよろしく頼むぞ」

「(はい、それでどのようなテストプレイを行うのですか?)」

「ああ、じゃあこの紙を見てくれ」


そう言うと西門社長は一枚の紙を取り出した。

そこには設計図のようなものであり大型の円筒のようなものに人が入っていて頭にヘルメットのような物をかぶっている、そして両手両足と胴体にも器具のような物が付けられておりヘルメットと器具にいくつものコードが繋がっている。

そして円筒のようなところから伸びた一本のコードは近くにあるコンピュータに繋がっており、そこにはマ〇オのような横スクロール画面があった

けれどその画面に映っている人は、円筒に入っているような人となんだか似ている気がする

…ってこれはもしや!?


「(これはもしかしてフルダイブとかVRMMOのですか!!)」

「そう!!」


すっげーー!!こんなの初めて見たぞ!

他のプレイヤーとの交流があったり魔法や剣で扱ったりとあの体験をいつかして見たかったんだ!!

…あっでも俺以外にやる人がいないからMMOはできないか


「創作でしか見たことが無いあのVRMMOを再現したくて開発中なんだ、最新ゲーム機のように未来では一家に一台という形にしたいと思っている」

「(すごい……いつかこんな未来が来たら欲しいです!)」

「ああ、研究に多大なる協力をしたときには特別に試作品を渡すことも考えよう!」

「(え?こんなに大きいものをですか?)」

「そういう訳ではない、今はコールドスリープのような形をしているがどんどん小型化して椅子型……ヘルメット型……そしてゴーグル型になるように開発をしよう」


そんなことが可能だろうか?と思ったけど、最初期のコンピュータはこの応接間があっても足りないレベルの超大型の機械が必要だったが、今ではスマートフォンのように手で持てるぐらい小型に出来ているから生きているうちに来る可能性は高い


「(あっ!ありがとうございます!!ゲームの世界にダイブしてテストプレイをすればいいんですね!)」

「その通り!!ゲームを実際にやってみて感想を教えてほしいだけだ」

「(ところで、どのようなゲームですか?ゲームにはアクションとかシューティングとありますが)」

「アクションRPG……と言いたかったが、まだゲームの開発との契約が取れなくてな…私の会社いるプログラマーたちが時間をかけて作ったアクションアドベンチャー1本だけなんだ……」

「(それでもかまいません!ゲームの体験をするならやってみたいです!)」

「好意的な姿勢……気にいった!君のような人を求めていたんだ!」


そう言って面接のような契約書への記載は終わった。本来のところ採用か不採用かは追って連絡を送るっていう形のはずだったが普通に『採用』といわれて後日また仕事の為にここに行くことになった

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