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フルダイブ・テストプレイヤー「勇者に訪れる161の結末」  作者: 虹鳥
仕事、第1週目

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幕間1.精神科医兼眼科のカウンセリング-2

「(アレはまだ俺が物心が付く前、1歳にも満たない赤ちゃんの時でした)」

「本当に昔の話になるな」

「(はい、生まれた時は元気いっぱいの赤ちゃんでした

けれども、昔から俺は好奇心は旺盛でいろんなものに触れたり触ったりしていました)」

「何でも口に入れる癖があると聞いたことあるものだ」


もちろんこの話は物心着く前だから親から聞いた話であって俺自身は何も覚えていない


「(そんなある時に、俺は何かアイロンだったかな…?親が目を話しているうちに倒してしまって家でボヤが起きてしまったんです)」

「それはキケンな事だったのお」

「(はい、体を火傷することは無かったのですが……その時に喉をやられました)」

「命に影響するほどのことだったかの?」

「(はい、喉と言うのは空気を吸うのに必要な気管への入り口があります……喉を大火傷してただれて塞がってしまって

息すらできませんでした)」


結構な時間、窒息の状態であったから死ぬ可能性も全然あったし生きてたとしても酸素が脳に入らなかった分、身体能力に障害が残っていた可能性もあった


「本当に危険な状態だったのぉ…」

「(救急車に消防車と大急ぎで到着して両親と共に病院に向かった俺は緊急手術を行うことになりました)」

「齢1歳にも満たない幼体で………」

「(しばらくの間、手術を行いまして…………何とか助かりました、気管がちゃんと開きまして呼吸がようやくできるようになって……けれども声帯だけは完全に焼けただれてしまって

声を出せなくなりました)」


赤ちゃんは泣くのが仕事…なんていう人はいるけど、赤ちゃんの泣きは親に何かを伝えたいときとあるけど俺はほとんど泣かなかった…いや()()()()()()


「(今でも無理に声を出そうとしたら喉が痛くなりますし、うめき声のような()しか出せません

声帯が焼けただれているので泣くだけで命に関わることになりまして、手術後もしばらくは入院生活になっていました)」

「おいたわしい…」

「(何年か入院生活を経過して妹が生まれたぐらいになった時にようやく落ち着きました)」

「幼稚園生活はどうなったんだ?小学校は……」

「(幼稚園には通えずほとんど病院で暮らしていました

最初は俺はせめて小学校は普通にすごしたいという気持ちがあって…自由帳を使って筆談をして行くことにしました

正直、子供っぽいけど愚かな考えと本当に思いました)」


今では本当にやめればよかったと本当に思う


「…」

「(子供と言うのは本当に残酷、興味は悪意に早変わりする物です、俺のように喋れない人となると良くて自由帳を取られて、悪くて喋れないから好き勝手に言われるここが多かったです)」

「…聞いておきながらアレだが…無理をしなくていい」

「(いえ、話します…辛いから具体的なエピソードは控えますが…

1年間ほど毎日が本当に辛い日々しかありませんでした

身体的に傷などが残った時に親に見られまして…両親はとにかく行動が早くて

学校が役に立たないと思ったらすぐに探偵に相談して裁判まで起こしました)」

「早いのお!?いい親だ」

「(ええ、本当に早くてよかったです。

その時に助けて貰った人たちもいました…)」

「それは誰なのだ?」

「(俺の妹と、今では大親友になった幼馴染の2人です)」


名前は言わない、もしかするとこのテクノロジーだからこそすでに名前は割れている可能性があるけど念のために…


「(俺は兄なのに恥ずかしい話ですが、家では幼稚園児の妹に支えられて…見たくない悪意のある手紙などを俺に見えないように証拠として残していたり、小学校では唯一の味方であった幼馴染は結構やんちゃと言うよりも熱くなりやすい性格で俺をいじめていた人に対して拳で立ち向かっていました)」


星奈は今は元気いっぱいだけど昔は計算高かったし

宏樹は今は丸くなったけど昔は本当にやんちゃだった

打って変わって俺は周りが原因と言うのもあって暗い性格だったな…


「(それでも2人では庇えきれないものは両親は裁判所で法的処置を行って賠償金も請求、親友は別の学校に転校して妹もその親友と同じ学校に入学して俺は改めて障がい者専用の学校に転校しました

最初からこうすればよかったと思います)」

「君は決して悪くない、未来なんて誰にだって分からない物だ」

「(はい、転校した後は3人共普通に学校生活を送ることが出来ました

俺は喋れないだけで勉強は普通に出来ましたし、遅れを取り戻すために予習復習もしっかりと行って…物を学ぶことに関しては人一倍良くて、好奇心から様々な事を学んで知識を蓄えて……本業の小説作家になりました)」


恥ずかしながらも学校で学びながらも忘れてしまったことも多いけどな、地質の話しとかそうだし


「(ただ……)」

「後遺症の話かの?」

「(はい、賠償金を受け取った後も、障がい者専用の学校に転校しても

あの出来事はたしかに地獄のような出来事であったし、今回のフルダイブでの経験以上に最初の学校でひどい目に遭ったというのに

あの出来事が悪いと分かりながらも『楽しかった』って思ってしまいました)」

「………ふむ」


俺の今までの話を聞いた富宝先生は一度考えこむ

初めて視線が外れたけどすぐにこちらをまた見た


「今のを聞いたうえで改めて質問があるのだが」

「(大丈夫ですよ、何でも聞いてください)」

「今のアナタは小説家をやっておるのだろう?」

「(はい、それが本業であり収入源でもあります)」

「昔の奴らのことを決して肯定する気は無い、それでも言わせてもらうが

小説作家と言うものは好奇心が旺盛でいろんなものを調べたくなると聞いた…違うか?」

「(はい、あっています)」

「ああ、だが世の中には知ってはいけない物だって存在する」


知ってはいけないこと?世界の深淵的な?


「世界の深淵とか物語ではよくあるが……」


被ってしまった、なんかちょっと恥ずかしい


「おや、ちょっと考えが被ってしまったかすまない

アナタのような創作を仕事している人で例えるなら……エゴサーチという自身の作品を調べる行為もそれにあたるのではないのだろうか?」

「(はい、新作の発売直後は調べて参考にすることもあります)」

それはもちろん肯定的な意見はあれば嬉しくなるものであるが…否定的な意見は例えるなら白いシャツに付いたシミのように目立ってしまうものだ

創作をする者、特に小説家は様々な感覚を文章に書く以上

周囲のことに敏感で繊細になってしまい…否定的な意見を聞いて気分が悪くなってしまって最悪の場合辞めてしまうこともある」


それはたしかにそう…俺の所属しているサンライズヒル文庫でも誹謗中傷が原因で辞めた人もいるし…


「改めて言うが昔の奴らのことを決して肯定する気は無い

その出来事の後のアナタはそんな嫌な気持ちも……いいとは言わない経験と思っているのだろう?

小説を辞めたいと思ったことはあったか?」

「(……思い返した見れば1回も無いですね)」

「そんな嫌な経験するのに積極的に知ろうとなったから、やめたいと今まで思わなくなったということではないのか?」

「…ハッ!?」


物語にあるような息が口から出てしまった、俺も正直初めて気づいた

こういう経験がやめられないからこそ辞めたいと思ったことが無いと

ヒロやセイへの恩返しや、いつも読んでいるファンに対しての責任感と思っていたけど、それもあるんだろう……とにかく俺はこれから先は絶対に辞める気は無いと思うと気持ちがとても楽に思えてきた


「どうやら、気づいたらしいな、」

「(はい、ありがとうございます!)」


でも、何度も富宝先生が言っていたけど

奴らに関して感謝の気持ちは一切ないな、あの出来事はちゃんとトラウマになっているし…どれぐらい酷いレベルかと言うと、物語でいじめっ子が出てきた時はちゃんと敵として扱われて報復や制裁が無いと見れないレベルになっている

悪役が改心して…と言う展開はたしかに多いけどいじめっ子だった場合のみは別、こんなことを言うのはあれだが殺人以上に絶対に許してはいけない

主要登場人物が過去に罪を犯していたという展開は結構あるし、どこかで罪を白状した時には大体の場合は赦される

けれどもその罪が「いじめっ子だった」場合が一番最悪な状態であり…

大体罪を白状した時は主人公などが許す場合が多い…てか赦さなかった時は見たことない

その2つが組み合わさったときは「いじめっ子を赦す」なんて許されざる展開になってしまいこの上ない不快感に襲われる…と言うよりも以前見ていたアニメにて本当にそのような展開が起こってしまってガチで嘔吐してしまったことがある

あの時は胃酸がちょっと気管に入って声帯にしみて死ぬほど喉が痛かったな…


「(俺は本当に助けていただける親友と妹がいまして幸せです)」

「……親友と妹を語る目は本当に美しい、これからも親愛する関係は大切にな」


しかし、本当に自分でも分からないことまだまだある

自分自身も「本当にダメ」な経験と「楽しんでしまう」経験なんて分からない

富宝先生のカウンセリングで引き出せるのかもしれない、俺の知らない所が…


「最後にもう1つ聞きたいが、君は声帯を治したいと思ったことはあるか?」

「(もちろんあります、けれど…)」

「けれど?どうしたのだ?」

「(周囲の人達の支えもあって、ちゃんとした仕事に就けているから治らないまま一生を終えても「それが人生かな?」と思っています、これは諦めの感情ではなくこれも自分自身だと思えています)」


もしかすると受け入れている所もあるのかもしれないけど


「ここでは不自由な人を自由にする研究も進めている、目の治療も声帯の治療もだ

もし声帯の治療が確立された時には君の治療を優先するように私からも言わせてもらう」

「(本当ですか!?ありがとうございます!)」


マジで!?いつの未来になるか分からないけど声が治る可能性があるのか!?

ちょっと興奮して身を乗り出してしまったよ!?


「さて、アナタに関することをたくさん聞けてとても美しい目も見れてワタクシも満足であった

これにてカウンセリングは終了となるが質問や話しておきたいことはあるかの?」

「(こちらこそ有意義な時間をありがとうございます

来週のフルダイブ後も同じようにカウンセリングを行いますか?)」

「もちろんじゃ、先生がワタクシから変わることは無いから安心したまえ」

「(はい、本日は本当にありがとうございました)」

「ああ、また来週を待っておるぞ」


なんども礼をしながら荷物を持って部屋を後にした

廊下に出ると、奥からSPの方が歩いてきた


「(カウンセリングが終わりました)」

「お疲れ様です、大丈夫でしたか?」

「(特に何の問題もありませんでしたよ?)」


第一印象と違って話していくうちに安心感があったから本当に良かった


「それは良かったです、さて先ほど西門社長から今回の日給を受け取りましたので受け取ってください

現金直接ですか良いですか?」


それって怪しい会社のやり方では…って思ったけど人体実験をしているならしょうがないだろう


「(直接受け取るならお金を預けたいのですが帰りに銀行のATMに寄ってももいいですか?)」

「あっそれでしたらクラインフライカンパニー内にありますので案内します」

「(あるんですか?!会社内に!?)」


案内されて進んでいくと、ここに入る時に使ったエレベーターの正面にあった、

あの時はSFのリアルな雰囲気の興奮していたから見落としていたな


「(銀行ごとに一通りそろっている……本当に凄いな)」

「いつもお使いになっている銀行のATMを利用してください」

「(分かりました)」

「では、こちらが日給になります」


そう言いながらSPの人は分厚い封筒を………はっ!?えっ!?ちょ!?


「(ちょっ!?ちょっと待ってください!!)」

「…どうしましたか??」

「(それって日給ですか!?)」

「…?そうですが?」

「(いや、あの多すぎませんか?いくらあるのですか?)」

「80万と交通費があります」

「………」


俺は手に持っていた筆談道具をバサバサと落としてしまった

…おかしいな?資料には三桁万円と書かれていたけどこれって何割だ?


「えっと、あなたが訪れたエンディングが全部で16個、1つに付き5万の計算で80万ですが…死の可能性のある人体実験を行ったので妥当だと思いましたが……」


そう言われたら正しいけど…けれどもな!

その計算だと最終的に805万になるんじゃないのか!?


「(えっと、分かりました……)」


俺は色々と思考がグルグルしながら給料を受け取る

小説作家として儲かってはいるしお金には困ってないぐらいあるけど、それでも金銭感覚がバグらないといいな…所得税とかもどうなるんだろう


「あっ、ATM操作中は見ないでおきますので安心してください」


そう言うと後ろ向いた、とととりあえずお金を預けないと…

封筒から出して、入れてみると……本当に80万以上ある…

預け終わって機械音声の「ご利用いただきありがとうございました」と言う声が聞こえると

SPの人は再びこちらを見た


「では出口まで案内してお見送りさせていただきます」

「(わ、分かりました、よろしくお願いします)」


エレベータに乗って、SPの方は再びエレベーターの回数スイッチをポチポチと入力していく

今度は地上まで長時間をかけて昇って行った


それからというものは、特に何も変わらなかった

エレベーターを開けるとしばらくの間廊下を歩いたのち「お疲れ様です」「(お先に失礼します。)」と言葉を交わしたのち、帰宅路につく

そのまま家に帰って2人に出迎えられながら、六日の休暇を過ごした

正直いきなり80万近くの臨時収入が入ったから態度でバレて聞かれないか心配だったけど、気づかれなくて良かった

……いや、いつまでも一緒にいた幼馴染と家族だからバレていた可能性があるかもしれないけど守秘義務を守ってあえて聞かなかった可能性もあるかもしれない

通帳はお互いに見ないようにしているけど、本当にバレなきゃいいな………急に羽振りのいいような構想を取ったら一発でアウトになる可能性があるし

※クトゥルフ神話TRPGのPC(自キャラ)より


富宝(とみほう) 雁陣(がんじん)

精神科医兼眼科…と言っていたが実は闇医者

医師免許は両方ともキチンと持っているからちゃんと合法ではある

ただ患者の許可しないうちに無償で目の治療を施している

海山がフルダイブから戻った時に「周りが良く見える気がする」と言っていたが実はフルダイブ中に勝手に目の治療を行われた

56歳で独身ではあるが結婚する気は無い、というか目が恋人と思っている

キッカケは些細??なことであり学生時代の散歩中に殺人事件に巻き込まれた人の死んだときの目を直視してしまって………世界中の瞳に執着してしまって光を灯すことを願った


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