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殺戮少女と仮面少年 雪代ほのかの物語  作者: リィズ・ブランディシュカ
9/9

09 さようなら



 迷う私に彼は言った。


 私の目を見つめて、その言葉を。


「かまわないよ。だって、君が好きだから」


 私は嬉しいとつぶやいた。


 拾えないような小さな言葉だったのに、彼はしっかりと聞いていた。


 気持ちが届いていた。


 言われた言葉が、君が好きだからという言葉が。


 その言葉がとても、嬉しくて。


 涙がこぼれてきた。


 今の自分を、間違っているだろう自分を肯定して、愛してくれる存在がいたことが、嬉しくて。


「私も好きです」


 手をつなぐ。


 ぎゅっと力をこめる。


 ぬくもりが届いてきた。


 心があたたかくなる。


 一人じゃないって。とてもいいなって思った。


 私達は歩き出す。


 どこかへはいけない足で。

 どこかへ行こうという意思だけ携えて。


 もうここには戻ってこないつもりで。

 とっくり戻れないと知りながら。


 さようなら。


 最後に、一人で言うつもりだった言葉を、二人で。


 その別れの言葉を紡いだ。



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