表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺戮少女と仮面少年 雪代ほのかの物語  作者: リィズ・ブランディシュカ
9/9

09 さようなら



 迷う私に彼は言った。


 私の目を見つめて、その言葉を。


「かまわないよ。だって、君が好きだから」


 私は嬉しいとつぶやいた。


 拾えないような小さな言葉だったのに、彼はしっかりと聞いていた。


 気持ちが届いていた。


 言われた言葉が、君が好きだからという言葉が。


 その言葉がとても、嬉しくて。


 涙がこぼれてきた。


 今の自分を、間違っているだろう自分を肯定して、愛してくれる存在がいたことが、嬉しくて。


「私も好きです」


 手をつなぐ。


 ぎゅっと力をこめる。


 ぬくもりが届いてきた。


 心があたたかくなる。


 一人じゃないって。とてもいいなって思った。


 私達は歩き出す。


 どこかへはいけない足で。

 どこかへ行こうという意思だけ携えて。


 もうここには戻ってこないつもりで。

 とっくり戻れないと知りながら。


 さようなら。


 最後に、一人で言うつもりだった言葉を、二人で。


 その別れの言葉を紡いだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ