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05 きっかけ
けれど、私が壊れたのはただの結果にすぎない。
原因をあれに、おしつけるつもりはない。
殺戮病をひきよせたかもしれないけれど、そんなものがなくたって、私はきっと壊れていたから。
言い訳にしたりなんてしない。
私は壊れたまま、罪を抱えて生きていくのだろう。
そして運命の日が訪れて。
私は、彼等を――した。
その夜、解放された私は自由な世界を謳歌していた。
なんでもできるって素晴らしい。
人目を気にしないのって素敵。
殺意をふりまきながら過ごす時間、私は私の心に忠実だった。
そんな時、彼が現れたのだ。
彼は私を見ても驚かなかった。
恐れなかった。
それが不思議でたまらなくて、気が付いたら目が離せなくなっていた。
私は彼を殺したいのだろうか。
それとも、別の理由で惹かれているのだろうか。