01 殺戮少女の出会い
その出会いは偶然だった。
気まぐれをおこして、公園にいたからであったのだろう。
なんの気もなしに、ぶらついていた僕は、そこで見てしまった。
殺戮病を発症した少女の姿を。
月の光をあびて、輝いているようにみえた。
錯覚かもしれないけど、彼女自身が光り輝いているように見えたんだ。
そんな彼女は人の血をかぶっていた。
闇夜でも分かるほどの、人の血を。
でもそんな姿をみて、最初に抱いたのは忌避感ではなかった。
「綺麗、だ」
感想が吐息と共にこぼれた。
その瞬間、僕の体の全てが、支配されてしまったみたいだ。
思う様にいかなくて、固まってしまう。
目がそらせない。
その光景をずっと、見ていたいと思ってしまった。
血にまみれて微笑む彼女は、とても美しかった。
時刻は夜。
満天の星と、輝く満月。
夜の光に包まれて笑う彼女は、とても神秘的な雰囲気をまとっていて。
まるで、この世の人間ではないかのように見えた。
ああ、なんて綺麗なんだろう。
そう思って僕は、吸い寄せられるように足を進めた。
そして、彼女と目が合う。
またたきをして、一瞬。
彼女は微笑みを消して、首を傾げた。
「あなた、私が怖くないの?」
そして、当然の疑問を放ったのだった。