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小さな人間の反抗

 「ぼやぼやしてる時間は無いぞ。ここに籠って耐えるのも永遠にはできん。外はどうなっとるんじゃ?」

 

 「今のところは何とかなってますけど、そう長く持ちこたえられません。魔物は次々湧いてきますし、周りの国もこれ以上の兵士を送るのを渋ってます」


 「思ったよりも頑張っておるんじゃな。ここ数日で魔王の魔力もだいぶ削った。今夜じゃ。明日には帰って祝杯じゃ」

 「夜に!? 勝てるんですか……?」

 「5割じゃな。どうせバリアを張っていてもこの洞窟ももうすぐ壊れる。なら賭けるのが今日でも問題はないじゃろ?」




 あっという間に夜が来た。この間も魔王にちょっかいかけて魔力を消費させるだけでも何回死にそうになったことか。正直行きたくない。今からでも帰りたい。


それでも今隣にはリリアちゃんがいる。その横にはカーラさんも。そしていつだってドーラは一緒にいてくれる。だから大丈夫。私は進める。戦える。


 「ふん。やっと小穴から出てきよったか。またチクチク針のように刺して終わりだろう。うっとうしい。死ね人間ども!」

 「安心しろ。今回は違うぞ。そして倒れるのはお前じゃ。ゆけっクレイ!」


 カーラさんが呼び出したのは巨大な大蛇みたいな魔物だった。地面からニョキニョキと伸びてきたかと思うと魔王に巻き付いて噛みつく。


 「今じゃ!」

 「行ってらっしゃいワンコロ!」「ドーラ、任せた!」

 

 ワンコロはさっそく魔王の足を斬りつけて、ドーラが傷口を氷魔法で攻撃する。2匹とも昔とは魔力が段違い。魔王相手でも容赦なくダメージが入っていく。


 「ふん。こんな小物がいくら集まろうとも……」


 魔王が足だけ動かしてドーラたちを踏みつぶそうとした時カーラさんのアイコンタクト一つでクレイが魔王の首筋に噛みつく。うわぁ痛そう。

 でも噛みついた時の隙をつかれて魔王がクレイを投げ飛ばす。クレイはしゅたっと着地して無事だったけど魔王は自由になっちゃった。


 「避けて!」


 魔王が足を近くで振り回すだけで危ない。ドーラはなんとか直撃を避けたけど、足が蹴り上げた土砂とか木の雨あられ。正直バリアが無ければ先に私が巻き込まれて死ぬとこだった。

 飛んでて守りにくいドーラには次々小石とかが当たっていく。高速で。分が悪いし痛そうだな……。


 「ありがとうドーラ! 一回休んでて!」


 私は代わりにサンドを出した今までで魔力はほぼ無く巨大化はできないけれど、この子ならちょっとのがれきくらい気にならないくらい頑丈だ。今ならこの巨体も輝ける!


 リリアちゃんの指示でワンコロがサンドに飛びつき、サンドが守りながら魔王のもとへと走っていく。そして戻ってきたクレイに集中してる魔王の頭まで放り投げる。


 「届けー!」


 次の瞬間、クレイの熱線にひるんで目を閉じた魔王の瞳に映ったのは魔力で強化したワンコロの魔剣。


 「うごぉぉらぁぁぁ!!!」


 やった! 魔剣が目を貫いてさらにその奥にまで突き刺さる。う~ん痛そう。

 でも思ったより魔王はタフだった。ワンコロをはじき飛ばして、クレイに向かって熱線を打ち返す。


 「戻るんじゃクレイ!」


 今まで押せてたかのように思えていたけど熱線をまともに浴びたクレイは一度の攻撃で戦闘不能までに追い込まれた。攻撃力が私たちと段違いだ……!


 カーラさんは一度こちらの方に来ると、苦しそうな顔でこう提案してきた。


 「二人とも! ワシは使い魔が少なくての! 次の子で最後なんじゃ。正直おぬしらの使い魔じゃ魔王の攻撃を耐えられるかも微妙じゃ。どれ、少し賭けに出てみないか?」


 「賭け……? そんな! 危険すぎます!」

 「でもこうでもしないと魔王の相手は少々厳しそうじゃぞ? わしらが負けるわけにはいかん。それにおぬしらだって冒険者じゃろ? こういう賭けにはワクワクしないか?」


 ワクワクって……やっぱり強い人って頭のネジが足りないといけないって決まりでもあるのかなぁ。でもカーラさんが言ってる事は正しい。

 それに……絶対に勝てなさそうな相手に逆転するのは……ワクワクする!


 「「やります!」」


 気づけば私たち2人は賭けに出る事を選んでいた。


 「ふん。いい顔が出来るじゃないか。それじゃあ決まりじゃな! じゃあ説明に入るか」


 そう言ってカーラさんは私の指を指さした。

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