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久しぶりの休日

 おはようございます。ちょっと悪どい商売をしたのを後悔してるミズキです。


「ミズキさん! このお金どうしますか!」


「いい質問ですね。ずばり……装備強化だよ!」

「やっとですね! 大賛成です!」


 そう。ずっと旅とかでお金を使ってた私達はあんまり装備の強化が出来てない。新入り2匹も入った事だし、お金に糸目を付けずにオーダーメイド装備作ってもらお。




 2週間後。私達は工房に作ってもらった装備を受け取りにきた。この街で一番腕がいいって評判の工房だから楽しみだよ。


「お、来たなお嬢ちゃん達。今回は儲けさせてもらったからな。頼まれてた全員分の巨大化と強化の魔道具、本当なら金貨8枚の所はサービスだ!」


 うそ! そんなにサービスしてくれるの!?


「今回は予算は考えなくていいって言われたからな。最高の物を揃えたぞ。まずはドーラくん。軽いし魔力強化をはじめ、ほぼ全ての能力があがってる。次にワンコロくん。新しい剣なら今までとは比べ物にならない攻撃が出来るぞ! 次は……」


 すごい! 今までポーションとか魔道具で無理やり強くしてたのが嘘みたい! 

 でもちょっとお値段が怖くなってきた……40枚くらいかな?


「これ全部でいくらですか?」

「今回は金貨70枚だな! ありがとよ!」


 70……? 悪銭身につかずってほんとだったのか……。お金の価値観がおかしくなりそう。




「グリーン! ウッドハンマー!」


 魔法で生成された大木が敵のオーガを吹き飛ばす。

 つっよ! これは70枚の価値あるね……。あれは魔王軍への投資ってことで! うん、忘れよう!


「ミズキさん。こっちの敵も終わりましたよー」


 リリアちゃんもだいぶ余裕をもって倒せたみたい。


「じゃあ魔石だけ馬車に積んで次の街にいこっか」


 あれから2週間。私達は現在まさかの大陸横断馬車の旅をするはめになっている。まぁ分かってたことだけど辛すぎる……。

 色んな街をリリアちゃんと巡れるのは楽しいけどね。




「はい。依頼の完了を確認しました。それでは報酬をお支払いしますね」


 お金を受け取ってギルドを出た私達はとりあえず街を回ることにした。この街はとある国の王都。さすが都会だけあってなんでも揃ってるね。


「あっ! テイマー協会もありますよ」


 ほんとだ。大きな街にしか無いから久しぶりだね。ちょっと入ってみよっと。


「リリアちゃん何か欲しいものある?」


「うーん。最近たくさん買い物しちゃったのであんまり必要な物はありませんね……」


 そんな話をしてると店員の人が話しかけてきた。うわっ聞こえてたかな。


「お客様。それでは2階のレストランはどうでしょうか? メニューが多くてとても人気なんですよ」


 やっぱ聞かれてた。でもレストランか……。ちょうどお昼時だし人気なんだったら気になる。

 悩んでるとぐぅ〜と音が聞こえた。左を見ると恥ずかしそうなリリアちゃん。


「あはは……ここで食べていきませんか?」




「いらっしゃーせー!」


 えらく元気な店員の挨拶を聞きながら、机に置かれたメニューを見る。

 この店には何があるんだろう。何か面白いものがあるといいけど……。


 オークのとんかつカレー

 モーモー牛のミルクカレー

 マンドラゴラカレー 〜山のハーブを添えて〜

 etc……。


 なんだこれは。見事にカレーしかない。

 ていうか最後のデザート欄にあるスイートカレー(チョコレート味)ってこれどう考えてもチョコレートじゃん。

 メニューが多いって……確かに多いけど全部カレーなんだけど。


「すみません。モーモー牛のミルクカレーをお願いします」


 私は一番甘そうなこれにする事にした。


「ミズキ。このファイアカレーってのは食べないの? すごく美味しそうだよ」


 ドーラがニヤニヤと煽ってくる。どうせ私は子供舌ですよーだ。ていうかそれは大人でも辛そうだよ。


「私はマンドラゴラカレーをお願いします」


 そしてリリアちゃんはよりにもよって一番やばそうな名前のやつを頼んだ。そもそもマンドラゴラって食べれるの?


「大丈夫なの? マンドラゴラって……」

「私の故郷では昔は食べていたそうですよ。それに少し気になりませんか?」


 うっ……確かに気になる。後で一口分けてもらおう。




 感想。とても美味しかったです。カレー最高すぎない?


「決めた。今日の夜ご飯も明日も明後日もここで食べる」

「さすがに偏りすぎですよミズキさん。カレーに中毒成分でも入ってたんですか?」


 あれは入ってたね。間違いない。

 とにかく今日は休みにする事になった。最近はほとんど休んでなかったから流石にね。せっかくだからこの街で遊びたいし。時間はまだまだあるからいいでしょ。


「ミズキさん。これ似合ってますか?」


 試着室から出てきたリリアちゃんが着ているのは真っ白なワンピース。可愛い。私は無言でサムズアップする。


「こっちはどうですか?」


 次はベージュ色のシャツとジーパン。可愛い。私は5枚くらい写真を撮った。


「じゃあこれなら!」


 今度着ていたのはラビットの顔が描かれた灰色のパーカー。正直、服に関してはこれをデザインした人は首にした方がいいレベルだと思うけど、リリアちゃんが着ると割と可愛かったから、私はカメラを片手に大きく首を縦にふ……。


「もう! 真面目に見てるんですか?」


 あっ怒った。ごめんって。でもちゃんと可愛いよ。ほんとほんと。

 だからせっかく撮った写真を取り上げないで!


「ミズキさんも着てみましょうよ! 絶対に似合いますから!」


 いやいや私は似合わないって。


「えっ。私はそういうのあんまり……」

「いいからいいから」





 5分後。花柄のシャツにミニスカートの私がそこにいた。

 こんなの私のキャラじゃないって、可愛いの似合うタイプじゃないから……。


「似合ってますよ!」


 またまたリリアちゃんは褒め上手なんだから……。


「本当に可愛いですよミズキさん!」

「そ、そう?」


 ふーん。そう言われると少し良いような……。

 買っちゃおうかな……。


 そんな空気をけたたましいサイレンがぶち壊しにした。


「冒険者のみなさん! 魔族の軍勢が接近しています! 手が空いている方は至急ギルドに集合してください!」


 こんな時に〜!

 おのれ魔族!


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