2匹の龍
「キュルルル!」
ガルシーアが何かの魔法を使ったせいで、周りの気温がどんどん下がる。
「っ! サンド戻って!」
サンドの足が凍り始めていたから急いで戻す。危なかった……。
こんな魔法使われたら近づけないよ。めんどくさいなぁ。
「ドルちゃん! テレポート!」
テレポートで私達をガルシーアから引き離してくれた。
そんな事をしてるうちに、せっかくガルシーアに付けた傷が少しずつ回復し始める。そんな事もできるんだ。
「そうはさせないよ。ドーラ! 熱波!」
慌ててドーラを出して氷を溶かしてもらった。その隙にドルちゃんが念力で周りの岩をぶつける。
でもガルシーアが全部はじき返しちゃった。体が腐ってもこの強さって全盛期はどんくらいだったんだろ。
今のところガルシーアの攻撃はなんとか防げてるけど、こっちの攻撃も入らない。どうしよう。このままじゃ終わらない。なにか考えないと。
「リリアちゃん。ちょっと相手の動きを止める事って出来る?」
「分かりました! ドルちゃん!」
リリアちゃんが念力でガルシーアの動きを抑えてくれた。すご、念力って便利すぎない?
これで時間が出来た。
ガルシーアを倒すには少し無理やりだけどドーラにドラゴンブレスを撃ってもらうのが一番。
でも最近使ったばかりのブレスを撃つのはドーラに負担がかかりすぎる。聞いてみよ。
「ドーラ……大変な事なんだけど……」
もう一度ブレスを撃ってもらってもいい? 嫌ならしなくても大丈夫だから……。
そう言おうとすると先にドーラが言った。
「大丈夫。ミズキの指示ならなんでもやるよ!」
そこではっとした。
私は最初からドーラがそう言ってくれるのは分かってた。だったら聞いたのはドーラがいいって言ったからって自分に言い訳するためじゃん。
自分がお願いしたんじゃなくてドーラがいいって言ったから。それでドーラにかけた負担から逃げようとしてた気持ちに気づいた。
違うじゃん。
テイマーの自分が責任を持ってドーラにお願いするべきじゃん。
何をドーラに甘えようとしてるんだミズキ。指示を出すのがテイマーの仕事じゃんか。
「ありがとう。それならドーラ……ドラゴンブレス!」
ドーラが魔力を集め始める。ただでさえ今まで戦って減ってた魔力がすごいスピードで減ってく。レベルが上がった分魔力消費量が増えちゃってる。ポーションを投げても追いつかないくらいだよ。
「ミズキさん! もう限界です!」
見るとガルシーアがドルちゃんの念力を破ろうとしていた。はっや。
リリアちゃんが叫んだ途端にガルシーアが自由になる。でももう遅いよ。
ドーラから太い黄金の光が放たれてガルシーアに向かっていく。向こうはいろんな魔法で防ごうとしたけどブレスはそれを全部破って……貫いた。
ガルシーアの巨体が倒れる。やっと勝てた……。
「ありがとうドーラ。お疲れ様」
ドーラには収納で休んでもらおっと。これでガルシーアの子供達に会える。ケンジさんの頼みは果たしたよ。
私達がさらに奥の扉を開くと真っ白な霧に包まれていた。
「誰だ貴様ら」
ケンジさんの記憶の中で見た2匹の魔物が現れた。
「私達はあなた達を助けに来ました」
「そんな事信じられるか。ガルシーアは人を操ることに長けていたからな」
そんなの初耳なんですけど。その時ケンジさんが残した二枚目の手紙の事をおもいだした。
2匹に見せろって書いてたからどうにかしてくれるかもしれない。
「これをどうぞ」
2匹はしばらく手紙を読んだと思ったら突然魔法で手紙を燃やし尽くした。
うわっ熱いって! 急にどうしたの? なんか怒らせちゃったのかな。ここで2匹が暴れたりしたらどうしよ。終わる。
「すまんな。手紙を読んだら処分しろとあったからな」
もうちょっとやり方は無かったの? あったよね?
手紙にはなんて書いてあったんだろ。気になる。
「少し近くに来てくれ」
呼ばれて近くに寄ったら頭を私のおでこにくっつけられる。なにこれ。
「ふぅむ。なるほど。少し記憶をみせてもらった。礼を言う」
お前もかよ! この時代の人達にとって記憶って写真みたいな感覚なの?
え……怖いんだけど。勝手に見ないでよ。
「兄よ。また魔王が現れたそうだ」
私の記憶を勝手に見た亀みたいな方がもう片方に話しかける。そっちがお兄ちゃんなのね。
「なるほど。我らの出番というわけか」
我らの出番? この2匹で魔王をどうにかしてくれるのかな?
「ミズキよ」
「リリアよ」
「「魔王討伐のために力を貸してやろう」」




