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初めての町

 

「着いたよー」


 やっとかー。はぁはぁ……落とされて死ぬかと思った。


「落ちたら拾ってあげるから大丈夫だよ」


 いや、そういう問題じゃない。まぁいいや。


「ここはどこ?」


「魔の森から東に20キロメートル行った所だよ。なんか近くに町があったからここにしたー」


 東に……だとするとフォースタウンかな? 隣国だね。地理の勉強がここで役に立つとは思わなかったよ。


「そういえば町に入る時ドーラはどうすればいいの?  

 他のテイマーが大きな魔物を連れてるの見たことないんだけど」


「ミズキってボクがなんでも知ってると思ってない? ボクも他の人がどうしてるかは知らないよ。でもこうすれば大丈夫でしょ」


 そう言うとドーラは小さくなった。ちょうど肩に乗るくらいの大きさかな? 確かにこれなら町に入るのも困らなさそうだね。でもその前に……。


「ドーラ。抱いていい?」


 うーん、もふもふで気持ちいい! ドーラも気持ちよさそうで良かった。もうこのまま町に入ろ。




 町に入る門もあまり人がいなかった。まぁ小さな町だしこんな門だね。衛兵さんに声をかける。


「すみません。町に入ってもいいですか?」


「ちょっといくつか質問に答えてね。犯罪歴は? 職業は?」


「この歳で犯罪なんかしませんよ。今から冒険者になるつもりです」


「ははは。ごめんね。仕事上、聞かなきゃだめだからね。その魔物は使い魔かな?」


「はい!」


「可愛い使い魔だね。うん。通ってよし。冒険者ギルドはこのまままっすぐ進めば着くよ」


「ありがとうございまーす」




 私はそのままギルドの受け付けに行って冒険者登録をした。


「はい。登録完了です。これが冒険者カードですよ。その……失礼ですが、もう少し強い魔物をテイムしたほうがいいと思いますよ」


「ありがとうございます! でも大丈夫です!」


 受け付けのお姉さんは金色に光るカードを渡してくれた。カードにはHの文字。一番下のランク、Hランクの証。

 よし! パーティーに入って活躍するぞ! とりあえずHランクのパーティーを探すところからかな。




「あの……私テイマーのミズキと言います。パーティーを募集してるっていう張り紙を見て来たんですけど……」


 おじさんがジロリとこっちを睨む。目に傷もあるし、こわいよぉ……。


「そいつがお前の使い魔か?」


「はい! 結構強いので絶対に役に……」


「なんだそいつ。小さいし弱そうな魔物だな。悪いが帰ってくれ。せいぜいペットじゃなくて、ちゃんとした魔物をテイムしてから来るんだな」


 そう言うとおじさんはどこかに行ってしまった。実を言うとこれで、12組目。つまり町のパーティー全部に断られた。

 私は仕方ないから一人で外に向かうことにした。


 悔しい……ドーラは十分強いのに。少なくともさっきのHランクのおじさんよりも、ずっと強い。


 なんでみんな相手の事をちゃんと見ないで判断するんだろ。私の家族も……受け付けのお姉さんも……この町の冒険者だって。


「ミズキ……ごめんねボクのせいで……やっぱり体が小さいし……」


 いけない! 私が落ち込んでる場合じゃない。弱いと言われたドーラが一番悲しいはずなんだから。そうだよ。私にはドーラがいるんだから。あんなパーティーメンバーなんてこっちから願い下げだよ!


「ドーラ。私、目標を決めた。二人でSSSランクになろう! そしてみんなに教えてやるの! 私達が世界で一番強いんだって! あいつらを見返してやろ!」


 SSSランク……世界で一番強い冒険者にだけ与えられる称号。SSSランクになるには、ギルドの昇格試験でSランクになって、一番魔物の強い魔大陸で4人いるSSランク全員を倒す必要がある。


 そこで更に現在のSSSランクを倒さないといけないし、他にもいろんな条件がある。文字通りの世界最強、ただ一人にだけ与えられる称号。難しいのはわかってる。でもドーラと二人なら。


 ドーラは一瞬驚いた様子だった。でもすぐに目を輝かせて言った。


「うん! 一緒に目指そう! ミズキ!」

 

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