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初試合

 直径250メートルもある巨大グラウンドに入る。すごい。芝生の所、土とか岩だらけの所、池になってる所。いろんなフィールドが用意されてる。


 魔法を使ってるといっても、こんなグラウンドは初めて見た。防御魔法も最高レベルのものが使われていて、観客席は絶対に安全だ。


 そして何より人でいっぱいの観客席。確か2000人収容可能なんだっけ。こんな所で戦えるなんて最高だよ!


「今回の試合はなんと! あのアク選手の初試合です! 

 万年Dランクとバカにされたり、女性関係で反対派は多いものの、その実力は本物! 

 前回では三位という結果に終わっていますが、今回はどこまで勝ち上がれるのでしょうか?」


「そんなアク選手に挑むのは〜ミズキ選手! 今回初参加のため、結果が誰も予想できない! 

 この試合のダークホースとなり得るのでしょうか? 職業はテイマーとなっていますが、どのような使い魔を見せてくれるのかも期待ですね」


 実況が一生懸命に盛り上げる。すでにアイちゃんの白熱した試合を観た観客達はテイマーという言葉に反応したみたいで歓声があがった。


 それでも今の所オッズは大差がついちゃってる。前回三位? まさかチャラピアスがそんなに強かったなんて。


「昨日の返事がまだ聞けてないぜ?」


 こいつ、まだこりてないのか。昨日はアベルさんに助けてもらったけど、今日は違うよ!


「答えはもちろんノーです」


「ふん。可愛くない奴だな」


 審判の合図で私達はお互いに200メートル離れた指定の位置についた。向こうは剣士。

 だけど、スキルを使って遠距離攻撃も出来るだろうから、そこは気をつけないと。


 私もドーラを召喚する。お互い準備が整った事を確認した審判が笛を鳴らした。


「それでは……試合開始!」





 ――とある観客――


 やばい寝坊した!


 今日は楽しみにしていた大会を見に行く予定なのに。せっかくDランクの試合中のチケットを取る事が出来たのに、初日に遅れるなんて……。


 全速力で競技場まで走る。朝ごはんを食べてからの全力ダッシュ……うぅ。気持ち悪い。でも走ったおかげでなんとか三回目の試合には間に合いそうだね。


「シオンさん。チケット確認しました。あなたの席は26Aです」


 入り口でチケットを見せて自分の席を探す。えーっと、26Aは……ここだね。


「次の試合は〜……アク選手対ミズキ選手!」


 実況の人が次の試合の選手名を読み上げると同時に、会場の天井から吊るされた古代文明の魔道具が光る。


 これはセットになってる目のような魔道具から見える景色を映し出すものだ。ほんと古代文明の技術ってすごいねー。


 魔道具の大画面に入場してきた二人の選手が写る。

 うわっ、今日の試合はアク選手かぁ……強いからそこそこ人気はあるみたいだけど、セクハラ発言が多いから女の私からしたら苦手なんだよね……。


 もう一人は……まだ私よりも5歳くらい低そうな女の子だ。多分まだ15歳にもなってないんじゃないかな? それなのにDランクなんてすごいなぁ。


 でも初出場らしいし、しかも相手はあのアク選手。この試合はアクの勝ちかな。賭けでも二人は30倍差。私としてはミズキちゃん勝ってほしいけど難しそう。


「ミズキ選手はテイマー。どのような使い魔を見せてくれるのでしょうか?」


 実況の人が選手の紹介を始めた。へー、ミズキちゃんってテイマーなんだ。


 あっ使い魔だした。って何あれ! 可愛い! あんな小さなドラゴン初めて見た! ペットにしたい。これは応援しなきゃ!


「頑張れー!」


 つい大声を出しちゃって周りの人がこっちを向いた。やばっ。恥ずかしい……。


 でも私の声に気づいたドラゴンちゃんがこっちに、あの小さな手を一生懸命パタパタ振ってくれた。なにそれ、もう可愛すぎ!


「それでは……試合開始!」


 メロメロになってた所で審判の声で正気に戻る。試合を見逃しちゃう所だった。といっても勝負の結果は見えてるしなぁ。ドラゴンちゃんを見てるだけにしとこうかな。


「ドーラ! ファイアボール!」


 ミズキちゃんがそう言った瞬間、ドーラって呼ばれてたドラゴンちゃんの周りに30を超える火の玉が作られた。えっ、魔法の発動速度早すぎない? 


 アクは何とか避けたり撃ち落としたりしたけど、結構焦った顔してる。


 最初は余裕な表情でぼーっと構えてたアクが反撃を始めた。アクがお得意の衝撃波で攻撃する。地面に剣を叩きつけて、一方向に衝撃波を飛ばす剣士スキル特有の攻撃だ。


「ドーラ! 右、左、上の順番に避けて! そしたら反撃!」


 ミズキ選手の指示でドーラちゃんは、ひょひょいっと華麗に避けて反撃の電撃を放った。

 すごい……。


 まず避ける方向を指示したミズキちゃん。こうやってドーラちゃんの考える手間を省いて次の攻撃に集中出来るようにしてるんだ。


 そして電撃を選んだドーラちゃん。電撃は威力はそんなに高くないけど、素早いから攻撃のために足を止めたアクに必ず当たる。


 そして皮膚の分厚い魔物ならとにかく、人間だとしばらく痺れて動きを遅くすることが出来る。剣士の場合それなりに動き回らなきゃいけないから、この痺れは致命傷になりうる。


 この一瞬でそれだけの判断をしたドーラちゃん。だいぶ賢い使い魔なんだと思う。さっきも私の言葉を理解してたし。


 そして、その賢さを信じて攻撃だけを指示して細かい事は任せてるミズキちゃんのおかげでドーラちゃんは戦いやすくなってるはず。


 ここまでお互いを信じてるテイマーと使い魔はなかなかいないよ。


 私はあっという間にミズキちゃんの戦いに魅せられていた。これは……もしかしたら私はすごい試合を見れているかもしれない。


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