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かっこいいよー!

 変な人に話しかけられちゃったなぁ。なんか舌に変なピアス付けてるし、チャラピアスって呼ぼう。もちろん口に出す勇気はないけど……。


 弱そうなガキって今から始まるのはDランクの部なんだから今受け付けに来てるお前も同じランクでしょうが。


「ミズキ。こんなの相手にしたら負けよ。さっさとエントリー済ませちゃいましょ」


 そうだね。アイちゃんの言うとおりにしよ。

 エントリー用紙に名前と泊まってる宿の名前を書き込んで、私達は参加費の金貨一枚を支払った。結構高い……。


 ふーん。アイちゃんの初試合は明日の朝6時から。早起きだね〜。

 私は……明日の朝7時。アイちゃんの数試合後かな。ちょうどアイちゃんの試合と時間近いしラッキー。


「ミズキ様。アイ様。これが大会参加者用のリストバンドです。会場に入る時に必要なので絶対に無くさないでくださいね」


「ありがとうございます」


 えーっと、こっちの手には巨大化の魔道具とかリリアちゃんとお揃いのアクセサリーとかついてるから、逆の手につけよう。


 へー。エントリー番号が書かれてるんだ。うん、楽しみにしてた大会に参加するって実感がしてテンション上がっちゃう!


「おいおい。この俺の初戦がお前かよ。これは楽に一勝もらちゃったな」


 あーあ。今のでテンション下がっちゃったじゃん。


「なぁ、俺は結構金もっててさ。こんなつまらない大会よりも一緒にセ……」


 チャラピアスが史上最低な言葉ランキング一位を言おうとした時、誰かがチャラピアスの肩をつかんだ。


「なぁ。先日の教育がまだ足りないか?」


「あぁ? 誰に口をきいて……ひぃ! お前は! くそっ、明日は覚えてろよ」


 アベルさん! なんでここに!

 アベルさんがにっこりしただけで、チャラピアスはどこかに逃げていった。


「ミズキちゃん大丈夫か? あいつは前にも別の女の子に同じような事しててな。ミズキちゃんも可愛いから心配してたけど、来て良かったよ」


 くぅー!! 変態から助けた後に、なんでこんなナチュラルにそんな事言うのはずるいよ! しかもわざわざ心配で見に来てくれたって? これがイケメンか! 


 鎮まれー私の心臓。リリアちゃんを思い出そう。よし……まだドキドキする。


「ありがとうございますアベルさん」


「気にすんな。子供を守るのは大人の役目だからな。なにかあったら、いつでも俺の泊まってる部屋に来てくれれば力になるぞ。じゃあ俺はこれで。明日の試合は見に行くからな」


 そう言って宿の名前と部屋番号を書いた紙を渡して、どこかに行った。アベルさん。そうやって今まで何人の女の子をおとしたんですか。


 明日の試合は絶対に勝つ。アベルさんの前で負けられない。そんな事を考えてると、アイちゃんが急に謝ってきた。


「ミズキ。私が止められなくて本当にごめん。怖くて言い返せなかった……」


 ん? なんだ、そんな事。実害があったわけじゃないし、気にしなくていいのに。


「全然いいよ。それにアイちゃん、ずっと私の手を握っててくれたでしょ? すごく助かったよ。ありがとうね」


「そんな……あれは違くて……」


「なんだっていいよ。私が嬉しかったから言ってるだけなんだから。それよりアイちゃんも可愛いから、何もなくて良かったよ」


 さっきのチャラピアスも声をかける相手を間違えたね。


「全く……ミズキもアベルも似てるわね」


 え!? そんなわけないじゃん。アイちゃんもお世辞が上手いんだから〜。

 それより顔赤いけど大丈夫? 風邪?





 次の日。私は控室にいた。今日はあのチャラピアスとの試合。

 リリアちゃんも応援にきてるし、かっこいいとこ見せてやる!


「ドーラ、サンド。準備はいい?」


「もちろんだよ。ボクはばっちり!」


「グルォォォ」


 よし2匹ともやる気まんまんだね。一回2匹とも収納する。すぐに出すから我慢してね。


 うーん。口でなんて言っても緊張は消えないね。深呼吸してリラックス。

 よし! やってやるぞ!


 私は控室を出てグラウンドに足を踏み出した。

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