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ワルース生類総研

 あの後リリアちゃんもランクアップ試験を受けてしっかり受かっていた。私と同じ三ランクアップ。もう追いつかれちゃったかなぁ。




「冒険者様。これでも食べてください」


「ありがとうございます村長さん」


 村長さんが揚げパンを出してきた。外はパリパリ中はモチモチで美味しい〜。あっチーズも入ってる。もう幸せ。


 え? 村長って誰だよって?

 今、私達はとある小さな村に来ている。というのも、遡ること6時間前……。


「せっかくランクアップしたけど、ちょうどいい依頼が無いね」


 ランクアップした翌日。私はリリアちゃんと早速依頼を受けようとしていたんだけど、昨日遅くまで宿でランクアップ記念のお菓子パーティーなんか開いてたせいで朝寝坊しちゃった。


 急いでギルドに向かった私達を迎えたのは誰もいないギルドと依頼の無くなった依頼掲載板。


「そうですね。ゴブリン討伐のような常時募集してる依頼でも受けましょうか……」


 うーん。お金はあまり稼げないけど、仕方ないかな。街にこもってても何もないし。

 ちょうど、そんな事を考えていた時の事。


「すみません! 今冒険者っていますか!?」


 ギルドのドアを思いっきり開けて一人の青年が入ってきた。うるさいからドアはもう少し静かに開けてほしい。冒険者の私達には目もくれず、青年は受け付けのお姉さんの方に走っていった。


 いや、いいんだけどね? 

 私達は十三歳だし、前に出て戦わない分、長袖シャツに普通の長ズボンっていう舐めた格好してるしね。

 冒険者に見えなくても仕方ないけどね?


 野次馬根性の働いてしまった私達は青年の言葉を盗み聞きする事にした。


「受け付け嬢さん。俺の村が大変なんです!」


「何があったのですか?」


「俺の村は昔から大人しい魔物を家畜として育ててきました。例えばビッグシープとかロングピッグとかです」


 ふんふん。ビッグシープとかは知ってる。一回実家にいた頃に見たことあるけど、すごくふわふわなんだよねぇ。白い羊毛の中に埋もれる経験なんてそんなに出来ないよ……話が逸れた。


「しかし1週間前に三十匹くらい盗まれてしまって……見張りの人は口を塞がれて殺されていました。そこで今度は見張りを五人にしたんです。

 しかし昨日この五人も、村の人が気づいた時には……その代わり戦闘の音で起きた村人が相手が誰か見ていたんです」


 うわぁ……もう六人も死んでるの? まぁ村人って弱いし、戦闘系のスキルでも持ってないと仕方ないけど……かわいそうに。


「相手はワルース生類総研です」


 ええ! その名前は聞いた事がある。最近名前が広まって来た団体だ。生類総研なんて名前をしてるけど実質ただの盗賊団。


 いつも人の飼ってる魔物や使い魔を奪って実験したり売り飛ばしたりしているテイマーの敵みたいな奴らだ。

 奴ら自身もテイマーとかが多いから、人に慣れてるから扱いやすいとかいう理由で。


 でも裏には貴族が絡んでるともいうし、私達はこの辺で……。逃げようとした所を後ろから受け付けのお姉さんに呼び止められた。


「ミズキさん。リリアさん。Eランクに上がったあなた達なら出来ると思うんですが……受けて戴けませんか?」


 冗談じゃない。村とか逃げ場ないじゃん。


「お願いします!」


 青年も頭を下げてきた。


「い、いえ私達はEランクなので……」


「それなら十分です! お願いします!」


「……」




 そして六時間後の今、この村にいるわけです。依頼を受けたからには、しっかり仕事をするよ。使い魔を盗むなんて許せないし。村長さん良い人だし。


「それで生類総研……もういいか。盗賊はいつ来るんですか? いつも夜ですか?」


 私はロングピッグの豚カツを食べながら聞いた。衣がザクザクで美味しい。もう店開けるんじゃないかな。出来たら通うから是非教えて欲しい。


「はい。今まで昼に周辺を探した事もあるのですが、その時には一人もいなかったので夜に突然現れてすぐにアジトに戻って行くのでしょう」


 それから話を聞いたりしているうちに夜になった。少し昼間に村長さんの家で寝かせて貰ったから元気はいっぱいだ。


「ドーラ。空から見張ってて。見つけたら私達も急いでそっちに行くから」


 今回はギルドから馬も借りれた。出来るならアジトまで追いかけて潰してほしいって事らしい。大人しいし早いし、可愛いやつめ。


 飛び立ったドーラは村の周囲をぐるぐるしている。小さいし見つかりにくいだろうから頼りになるね。


 そうして構えていたけど三時間経っても五時間経っても襲ってこない。途中まで協力してくれた村人もみんな寝ちゃった。


 闇夜の中でリリアちゃんと二人きり。

 いつもならドキドキを感じるけど今は心細さしか感じない。


 とうとう見張りの村人も家にかえってしまった頃。ついに盗賊団が来た。


「キュー!!」


 ドーラが大きな鳴き声をあげてファイアボールを撃つ。炎に照らされた敵は丸見えだ。

 私はドーラをこっちに呼び寄せて馬を走らせた。


 五分もかからずに敵の前につく。馬早いなー。私もほしい。

 敵は大きな牛みたいな魔物に取り付けた檻に奪った家畜達を放り込もうとしていた。


「させないよ! アイスビーム!」


「ワンコロちゃん! あの牛を倒して!」


 ドーラの攻撃で家畜達は逃がせたし、ワンコロの攻撃で運搬役の牛も倒せた。相手の使い魔は気の毒だけど仕方ない。


「何しやがる!」


「邪魔者か?」


 後ろから盗賊の仲間らしいのが十人ほど飛び出してきた。うっ結構敵が多いね。でも負けるわけにはいかない。

 こうして戦いが始まった。


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