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オタク、線をまたぐ  作者: 物理試す


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砂漠の神殿-4

コイルだ。

確か液体魔石をうまく金にできないとか言って、既にこの街を発ったはずだ。

コイルは服装が乱れていた。少し息も切れているだろうか

「どうしてここにいるんだ。確か次の街に行くはずだろ?」

「それなんだが・・・」


詳しく事情を聞くと、街を出発する景気づけに夜の女を買ったが見事に美人局に当たり、屈強な男から逃げ回るうちにあらかたの荷物を失ってしまったらしい。

「それでどうするんだ?」

分かり切ってはいるが、あえて問う事にした。

「頼む! 少しでいい。物資を分けてもらえないか?もちろんタダでとは言わない。お前たちの仕事を手伝わせてくれ。」

「俺は構わないが・・・」

そう言ってエリン達の方を見るとエリンは仕方ないといった表情をしながら近づいてきた。

「仕事をするというのであれば構わないでしょう。ただししっかりと労働した後に融通します。良いですか?」

「ああ、問題ねぇ。本当に恩に着るぜ。」


かくしてコイルを仲間に加え、ルーナ村に帰ることとなった。

「ほーあれがルーナ村か…思っていたより大きいなぁ」

コイルが手で作った双眼鏡で薄っすらと見えてきた村を見る。

天候はよく、魔導三輪をフルパワーで走らせているおかげで順調に進み、気がつくと村のすぐ近くまでたどり着いた。

「一体どんな村を想像していたの?あんまり失礼な態度をとっていると中に入れてあげないよ。」

リルカはわかりやすく眉をハの字にして高圧的にコイルを見る。

「べ、別に他意はねぇよ。リルカ嬢さん。」

リルカはフンッといった擬音がつきそうなくらいきれいに進行方向に向き直った。

「なあ、タロウ 俺はどうしてリルカに嫌われているんだ?」

「それはお前自身に聞いてみたらどうだ?」

「どいうこと?」

「リルカはまだ外の世界に慣れてないんだ。だから俺やお前たちのような冒険者のりについていけないんだよ。それなのにグイグイ突っかかっていけば警戒もされるさ。」


リルカは人懐っこい性格だと思っていたが意外と繊細なようだ。

「なんだい。箱入り娘ってことかい?そいつは悪いことをしたなあ。よっしゃこれから俺のいいところをバッチリと見せちゃうぜ。」

喜怒哀楽の入れ替わりが激しいやつだが、こういうときは助かるな。

くだらない話をしていると村についた。


村に入ると、以前来たときと変わらず数人の村人が外に出て仕事を行っている。

しばらくするとグラムが走ってやって来た。

「エリン、首尾はどうだ?」

「問題ないよ兄さん。予定通り魔石を揃えられたよ。」

「そうか、それは良かった。みんなも無事で何よりだ。···ん?」

「よ!旦那お久しぶり。」

「お前はコイルじゃないか。確か液体魔石を売り物にすると行っていたがどうしたんだ?」

「ああ、そいつプエトジの貴族たちの権力が強くてね。やめたんだ。今はタロウたちについて回って次の街に行こうってわけ。」

コイルは事のあらましをグラムに話した。

「そうか、それは災難だったな。ということはしばらくは一緒に行動するわけだな。またよろしく。」

「おう、こちらこそよろしく。」

調達した魔石は村の倉庫に貯蔵されるみたいだ。全部持っていくと思っていたが、グラムは魔石を入れていた麻袋から数個取り出すと魔石への反応が高い村人に配って歩いていた。

また魔素不足に陥らなければいいが・・・


その日も村に滞在し次の日から遺跡探索を再開することになった。

次の日は朝早くから行動を開始する。今日から本格的に地下を探索し、さらに深く潜るつもりだ。メンバーはリルカにグラム、そしてコイルも加わった。

「ほう、こいつが例の遺跡か。元は神殿だったか?」

コイルが感嘆を漏らす。

「そうだ。しかし情報屋のお前にとっては面白いものがあるぞ。」

そう言って俺たちは地下に降りて行った。

「おいおいなんだいこりゃあ?こんなもん見たことねえぜ。」

コイルは壁に描かれた幾何学模様に触れながら調査を開始する。

あちらこちらを歩き回り観察をしていた。

「それには魔素が流れるみたいだ。この壁も埋め込まれた魔石に魔素を流す事で、動かすことができたんだ。」

「魔素が流れる模様だって?ますます聞いたことが無いな。これは一体何で描かれているんだ?」

「それがわかったら苦労しないよ。今の所その模様については何もわかっていない。」

「う~ん どこかで見たことあるような気がするが思い出せないな。」

何か思い出そうとしているが時間がかかりそうだ。

それよりも今日は地下二階、最深部に行く。地下に降りる階段は既に見つけていた。

前回、来た時の帰り際に見つけた床の違和感。グラムに見せてもらった地図と照らし合わせると、地図には地下へと下る階段があった。


近くに階段を隠す床につながる魔石を見つけたので、床の扉を開く。


最大級の警戒をしながらやけに広く大きい作りをした階段を降りていく。階段は明かりが無く、魔石ランプを光らせながら歩いていくと直線上に伸びた部屋が出てきた。

部屋には壁一面に幾何学模様が描かれており地下一階と似ている。しかし地下一階よりも色鮮やかで多い。

「何も無い部屋だな。」

コイルが似たような感想を口に出す。

部屋の奥には何か文章のような物が描かれた石碑があるだけで他には何も無い。

文章も所々欠けていて読むことはできない。しかし欠けている部分は例の魔素に反応する模様と同じ物質で描かれているようだ。魔素を流せば読み取れるようになるかもしれない。

「ねえねえ、とりあえずこの壁に魔素を流せばいいんでしょ?私やっちゃうね。」

「まて!」

リルカはグラムの静止も聞かず壁に埋め込まれていた魔石に触れてしまう。

しかし魔石は一瞬光ったものの何も起こらなかった。

「コラッ危ないだろう。もしも罠だったらどうするんだ。」


リルカのことはグラムに任せておけばいいだろう。

問題は何も起きなかったことだ。ここの埋め込まれた魔石は地下1階と異なり劣化していない。どうして劣化していないのかは分からないが、魔素を込めれば上の階と同じように何かしら変化を起こすはず・・・だが何も起こらなかった。

とりあえず周辺の安全調査からやって、目の前にある謎の石碑から謎解きをやっていこうか・・・

と言っても部屋は狭く、壁は堅牢で調査なんて、すぐに終わった。

今は文字が書けて読むことができない石碑の前に全員が集まっている。

はてさてどうしたものか。


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