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砂漠の神殿-2

「確かにその可能性はあるな。でもそれならどうして壁が無くなったんだ?それからこの引きずったような跡はどうしてついたんだ?大体どうやってそんな壁を動かすんだ?」

「そんなのわからないよ!」

グラムが疑問を口に出すがリルカも負けじと言い返す。その後も二人は言い合っているが二人は置いておいて、跡がついている壁を調べる。


床についているへこみを追っていくと、なんでもない壁に行きつく。

壁は何の変哲もない壁に見えるが、触ってみると違和感のない普通の壁だ。


もしリルカの言うことが正しく、重い壁があって、もしも、それが壊れたのだとしたら瓦礫が転がっていたり、もっと不自然につながる壁が有るはずだ。


つまり壊れていないかもしれない。

仮に動く壁があるなら、まだ床のへこみがつながる先にある、壁の中にあるのだ。

ではどうやって壁を動かすのか?


もう一つ気になっていることがある。

壁面に埋まった魔石が怪しい。この埋まっている魔石は何なのだろうか?

それに幾何学模様が壁に埋め込まれた魔石から伸びているのだ。この模様は墨のようにしみ込んでいる。ところどころに曇った空色の鉱石が見える。少し削って観察してみよう。

二人はケリが付いたのか落ち着いているが、話題が変わって別のことで言い合っている。仲がいいのか悪いのかよくわからない関係だ。


さらに調査を続ける。壁に埋め込まれている魔石は完全に劣化していて触れるだけでどんどんと崩れていきそうだ。

長年遺跡の中で保存されていたおかげで、状態は良い。

選んで回復させればどんな効果があるか再現できるかもしれない。

見つけた!


少しもったいなくも感じるが低級の火の魔石を劣化した魔石に押し当てて魔素の交換を行う。

劣化していた魔石がだんだんと色を変えていく。やがて壁に埋め込まれた魔石は鮮やかな魔石になった。代わりに低級の火魔石はボロボロに崩れ割れてしまった。

「よし!うまくできた。とりあえずこれを動かしてみるか。」

「なんですか今の!?魔石が回復したように見えましたが!」

グラムが飛びついてくる。


しまったこれは一般の人々はまだ知らない技術だった。初めて見れば驚きの技術かもしれない。

「こ、これは・・・わかった。後で話すから今は遺跡の方に集中しないか?」

別に隠しているわけではないが、これを研究している過程でいくつかの注意点があるのだ。それも込みでしっかりと教えたい。

「ええ、いいですよ。その代わり絶対教えてくださいね。じゃないと恨みますからね。」

中々、怖い事を言ってくる。


この技はちょっとしたコツがいるからグラムができなくてもおかしくない。だから変に期待されると困る。どうやって伝えようか迷うところだが今は置いておこう。


気を取り直して、魔素が元に戻った魔石に手を当てる。パッと見では何の魔石かわからない。魔石はその見た目や色、他の物質に触れた時の変化で判別がつけられる。

光の魔石は総じて白か透明、火の魔石なら赤色をしているなど判別できるが、目の前のこれはよくわからない。

何処か人体が魔石化したときの色に似ている。薄い青色・・・欠片を見てみると透明。不思議な色をしている。

こういう時は、感覚でイメージを流してみるに限る。

手当たり次第に火の魔石を使った時のイメージや風の魔石を使った時のイメージを流していく。

回復の魔石を使うときのイメージを流した時、壁に埋め込まれた魔石は発光を始めた。

どんどんと力を吸われていく感覚がある。ものすごい勢いだ。

と同時に怪しい壁が振動をはじめ、壁の中から太い石の壁が出てきた。

「す、すごい。本当にこんな仕掛けがあるなんて・・・」

リルカが驚いて目を見開いている。

石の壁は1メートルほど飛び出して止まってしまった。壁に埋まっていた魔石が輝きを失って劣化してしまったのだ。

うまく回復できていると思ったが、魔石の表面だけだったらしい。

だけど、これで謎の空間が隠れている理由が分かった。もしかしたら、ほかにもあるかも・・・

「グラム、おそらくこれが地図に載っていた壁だと思うが、どうだろう?」

「はい、俺も同じ考えです。こんなものがあったなんて知りませんでした。どうしますか?より調査しますか?」


グラムの提案を受けて悩んでいたが、リルカに袖を引かれた。

「どうした、リルカ?」

リルカが指さす方向を見ると一匹のイモリのような生物がいた。だけど人と同じぐらい大きくそして体に魔石が生えていた。

体から突き出した魔石は濁りが少なく輝きを保っている。おそらく亜獣だ。壁を動かす時、辺りに大きい音と振動が伝わっていた。おそらく、その音に反応したのだろう。


亜獣一体だけであれば難なく撃退できるだろう。しかし、こんな狭い空間での戦闘はまずい。それに感づいた敵がアイツ一体だとは考えにくい。

「皆、調査は一旦中止だ。こんな狭い場所での戦闘は危険すぎる。まずは逃げよう!」

「わかった!」「しんがりはお任せください。」

グラムに後衛は任せ俺達は元来た道を走り出す。それに合わせるようにイモリも飛びついてきた。グラムは華麗にいなす。勢い余ったイモリは壁にぶつかり動きを止める。しかし倒すことはできていない。また飛びついて来ようとする。

それを防ぐため、俺はクロスボウに特殊矢をセットしてイモリの亜獣にとどめをさした。


その後も音を聞いて集まってきた数体の亜獣と戦闘になったが問題なく撃退し遺跡を脱出した。

目的の最深部にあると言われている勇者の痕跡を探ることはできなかったが、新しい発見があってよかった。

魔石や魔術の研究がはかどりそうだ。

これは数日かけてしっかりと調査したいところだ。

満足して魔道三輪で帰ろうとした時だった。

「待ってください!お聞きしたいことがあります。」

そこには魔道三輪の前にロングソードを抜いたグラムがいた。


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