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オタク、線をまたぐ  作者: 物理試す


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プエトジ-1

俺は冒険者ギルドに来ていた。

ここら辺一体の建物と同じような砂岩で作られた堅牢な建物だ。


街中は割と静かな雰囲気を醸しているのに、この建物の前は騒がしい。何人も出入りを繰り返している。

入る人たちは血走った眼で駆け込んでいき、出てくる人たちはその手に持った羊皮紙から目が離れない。

ここはプエトジ周辺の冒険者ギルドを統括するギルド本部だ。


ギルド内部はたくさんの人々でにぎわっていたが、掲示板の前は人の壁になっていた。

俺もあの掲示板を見たいが、あの人だかりではまともに見れないだろう。

受付嬢に聞いたら、掲示板の前がすく時間帯とか教えてもらえないだろうか?ポッケの中に数枚の金貨があることを確認して受付嬢に話しかける。

「こんにちは、ここら辺では見ない方ですね。あなたも、液体の魔石を聞いてやってきたのですか?」

「すごいですね。ここら辺にいる冒険者の顔を暗記しているのですか?」

「皆さん。数日の中で何度も依頼の受注と達成を報告してくるので流石に顔を覚えちゃいました。」

「なるほど、そう言うことですか・・・俺はこの町に違う理由があって来ました。遺跡調査です。

その目的のためにあの掲示板から情報を得たいのですが、あんな感じですからね。人が少なくなる時間とかありますか?」

俺は掲示板の方へ目線を送りながら、聞く。

「ここ最近はいつも人が集まっていて休まる暇がないですよ。多分・・・もう少ししたら数人は依頼を決めて出ていくと思うので、ちょっとはマシになるかも、そのすきを狙ってください。」

「どうもありがとう。じゃあ、時間潰しがてらもう一つ聞いてもいいですか? その噂になっている液体の魔石とはどのようなものなのですか?」

「私もいまいちわからないんですよねーなんか液状なのに魔石に似た輝きを持っているみたいで、魔術使いの方がこの魔石に手を付けて魔術を使おうとすると何も効果は発動しないのに体の中の魔素が抜けていく感覚があったそうなんですよ。」

「何も効果はないのに魔素は吸われていく?」

そんな経験があったようななかったような気がする。


「私は魔術使いじゃないからよくわからないです。あなたこそ液体魔石が狙いわず、いまさら遺跡なんて何が目的なの?」

「タロウです。俺はとある理由で勇者伝説を追っているんです。何か知りませんか?」

「勇者伝説?どうしてそんなおとぎ話を調べているの?変な人。ここら辺だったら、砂に沈んだ遺跡ぐらいであまり知らないですね。」

「そうですか・・・いやありがとう。」


ちょうど掲示板の前の人が少なくなったこともあり、金貨を渡した。そうするとパッと金貨を手に取り、にこやかな表情を作ってそれ以上は何も言わなくなった。

人込みの外から掲示板を見ていると液体魔石についての依頼が山のように掲載されており、中々見ごたえがある。

目の前の人込みの中に見覚えのある人を見つける。


「ところでお前は何でここにいるんだ?この街で一旗揚げるんじゃなかったのか?」

「そりゃ、一旗揚げるための準備よ。何をするにも情報を集めなきゃ、話にならねぇからな。」

コイルは高らかに言い放ち、また掲示板に目を移す。

掲示板に記載されている依頼は採掘だったり、使用方法の模索、そして護衛と多岐にわたる。

後で聞いた話だが、採掘場周辺は一種のお祭り状態だそうだ。もし、時間があったらのぞいてみるのも悪くない。


しかし、俺にとっては問題があった。これらの依頼のせいで、遺跡周辺や遺跡に対する依頼が無いのだ。もしあったら遺跡の情報をきけるのでは?と思ったが当てが外れたようだ。


結局、プエトジでは遺跡の大した情報を集められずグラムたちの村に行く日が来てしまった。

この街の人たちにとって遺跡と言うのは昔からある物で特に何も思わなかったようだ。

オンボロな上に、盗賊たちの根城に近いということもあって街の人たちは近づかないようだ。


ギルド職員の話だと、宗教に使う神殿は新設されていて困ることもないので、今は完全放置状態なのだそうだ。

亜獣の住処になっているからちょっと困っているらしい。

トカゲや虫といった小動物の亜獣だから対して強くないとのことだが・・・

中がどういう作りになっているとか地図とか、歴史が分かると良かったのだが、不気味なほどに何もなかった。


再度、勇者の日記の写しを読み返していたが彼はここに伝説の魔獣がいるという話を聞いて訪れる予定だったらしく、そこから先の情報は分からない。

勇者の話だとここには竜がいるとか。そんな奴がいたらひとたまりもないな・・・


砂の道を魔導三輪がゆっくりと進む。村までの道にサンドワームはいないらしく、安心して進める。

ということで、のんびりと進んでいた。俺は気楽に運転しているが、グラムとエリンの顔は暗い。きっと彼の友人、エリンの恋人について考えているのだろう。


魔導三輪は一日もかからずグラムたちの村、ルーナ村に到着した。

ルーナ村は小高い丘の上に石かモルタルか、そんな感じで作られていて、似た家々が立ち並んだ場所だった。村人が数人、外に出て仕事をしている。

「まずは村長の家に向かおうと思います。タロウ殿を紹介します。しばらく泊まるところを提供してもらえると思います。それから俺たちは友人家族のところに行きます。」

「わかった。グラムの提案に従おう。」

グラムに連れられ村長の家に向かった。

村長の家は分かりやすく、村の中では一番大きかった。村長の家に向かう途中村人たちに奇怪な目を向けられた。

当たり前と言えば当たり前か、こんな田舎にこの世界では数台しかない魔導三輪とよそ者が来ているのだから。

驚くべきことに村長の家では我々が訪れるのを知っていたかのようにすぐに通された。

部屋の中には数人の人間が座っている。全員がそれなりに歳をとっているようだ。真ん中に座っていた人が、俺達が真正面に座ったのを見るなり口を開いた。


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