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オタク、線をまたぐ  作者: 物理試す


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火?のダンジョン-5

ダンジョンの入り口は前に来た時よりも、テントの数が増えていて賑わっている・・・ということは無かった。

どうやら攻略が進んだという噂を聞きつけて一枚嚙もうと来たものの難易度の高さに打ちのめされているようだ。

いつの間にかギルド職員もいて、ダンジョンを管理もしている。


「前と同じように、まずはテントを張ってしっかりと準備しましょう。アタックは明日でもいいですよね?」

アレクが皆に向かってそう言うと俺たちはうなずいた。

今度も準備をしっかりとする。敵は数こそ減ったものの相変わらず厄介だ。

前回もそうだったが俺は近づかれたり、クロスボウの矢がなくなったら何もできない。ならば近づかせないように立ち回るしかない。しっかりとクロスボウの調整や魔石ランプの調整を行った。


次の日、薄っすらと霧が立ち込める朝早くから準備を整えた俺たちはダンジョンの前まで来た。少し肌寒いだろうか。

同じように早朝から挑戦しようとしている冒険者たちが入り口に群がっている。そんな中で変な3輪車を持っている俺たちは奇怪な目を向けられていた。


そんなとき、逆に急いで入り口から帰ってくる数人の人がいる。どうやら先日からダンジョンに挑んでいた人たちのようだ。服の汚れぐらいから数日前から挑んでいることが分かる。

かなりボロボロだ。一人は仲間に担がれている。外傷は周りの人たちに比べ少ないが顔色が悪い。毒か何かにでもやられたのかもしれない。すぐにギルドが用意した医務室に入っていった。何やら周りがざわついている。

「あいつらは有名なのか?」

俺は冒険者たちに詳しくない。だからアレクに聞いてみた。

「彼らは昔から帝都を中心に活動している冒険者です。確か一つはダンジョンを攻略しているはずです。特別な能力はなかったはずですがメンバー全員が長年の経験で熟練しています。ランクは全員3です。」

「そんな奴らがボロボロになってダンジョンから出てくれば驚きもするか・・・」

「おそらくですが彼らよりは、こちらのチームの方が強いですよ。」

「へぇ~アレクが自分たちの方をほめるなんて珍しいじゃん。変わったね。」

クララは珍しいものを見たといった感じの表情をした後、ニヤついて話しかける。

「気が変わりました。気を引き締めていきましょう。」

そう言ってスタスタと中に入っていった。


中に入ってしばらくは雑木林と同じように敵の数が減って進みやすくなっていた。だけど何体かは襲ってくる。

「襲ってくる奴がいるってことはまだ、あの卵型の空間みたいな場所があるかもしれない。」

「ですね。あと2つくらいはあるかもしれません。」

そう言いながらアレクはいつもとは違うバトルアックスに付いた亜獣の血をぬぐう。いつも使っている物よりよく切れていると思う。でもいつもより使いづらそうにしている。そんなものなのだろうか?

他の二人も前回より安定しているように思う。クララは銃をまだ使っていないがモノクルのおかげか魔弓でよく急所を打ち抜いている。俺も基本装備は変わっていないが、まだ出していない装備がある。使うような状況が来ないといいが、備えあれば患いなしだ。

前回進んだ場所まで簡単に戻ってくることができた。それぐらい簡単になっていた。これは気苦労だったかな・・・

俺達が前回落ちた穴周辺は綺麗に整備され、入りやすくなっていた。モンスターハウスには入り口ほどではないがテント群が形成されていた。モンスターハウスは明るくなっていて周辺の壁を少し掘削した後がある。

聞いたところによると、壁にある小さい火の魔石からもっと大きい魔石があるのでは?ということで掘削してみたらしい。

しかしそこには大きい魔石があった?様な空間だったらしい。どこもそんな感じで全部同じだろうということで掘削は終了したとのことだ。火の魔石はなかったかぁ、最奥にはしっかりとあるといいのだが・・・

その日は攻略せず、休むことになった。



俺は立てたテントの中で使った道具を整備していた。明日からは未開拓の地に出る。聞いた話だと以前と同様、大量の敵と偶発戦になるらしい。前回よりも資源は潤沢にあるものの油断はできない。

今回は魔導三輪のほかに二つの道具を用意してきた。それを一つ使ってみる。

サメの魔獣と闘った時、麻の紐が届かない所に逃げられてどうしようか迷ったことがあった。麻の紐を使わずとも雷の攻撃ができるように改良を続けていた。

少しずつ改造を続けていて、ようやく形になった。

矢を打つときにレール状に加工した光の魔石にスライドさせて、矢に電流を帯電させる。さらにそれだけでは十分に電流を発生させることができなかったので光の魔石をくっつけた特別製の矢を打つと放った矢が帯電し打ち込むと相手に電撃を与える。


本当はレールガンとか目指してみたけど、材料の強度が足りなかったり、クロスボウが燃え始めるほどの熱が出たり、うまく一発撃つことができたが、一発でへとへとになってしまったりと、さんざんだった。だけどその過程でこの帯電するという発想を得た。普通に打つよりも速度は出ているので十分だ。

なんでも挑戦してみるものだな。

俺は作った光魔石のアタッチメントをクロスボウに付けた。はたしてどこまで通用するかはわからないけれど役には立つはずだ。


次の日、未開拓の土地に攻略を進める。

ついでに事前に挑戦していたチームが帰ってこないそうなので、その調査も依頼された。調査を開始してすぐの事だ。

魔石ランプが反応する。

「前方、数4、距離は30メートル!種別は不明。」

「もう!さっそくだな!」

「先行している人たちかもしれません。構えた状態で待機!敵が見えてから攻撃してください。」

アレクから指示が飛ぶ。クララは文句を言いながら魔弓を構える。俺もクロスボウをセットし、ケニーは皆の前に出て大盾を構える。すぐ後ろではアレクがバトルアックスをいつでも振り下ろせるように構えた。

周り角から白い塊が躍り出た。オオカミ型の亜獣だ。背中の一部から魔石が生えている。

一発目の攻撃は俺だった。

クロスボウとしての弾速に電磁的な効果も上乗せされてかなり早い弾速となっているからだ。

矢はオオカミ型の亜獣にヒットした。相手はその高い運動能力により矢から正面を外したが流石に弾速が早く胴体に当たる。

亜獣は次の一歩を踏み出そうとしたが、赤紫っぽい色が亜獣の体表が走ったことにより雷の攻撃が通じたことが分かる。亜獣はその場に倒れる。

やった!通じるぞ・・・

しかし、後ろから三体の亜獣が襲ってくる。ケニーが前に出て2体の突進を受け止める。一体を切りつけ、とどめをさす。もう一体をケニーの頭を躱してクララが放った矢が突き刺さる。体が宙に浮いていたこともあり、突き刺さった矢は威力を失うことなく壁に突き刺さった。二人のすごいコンビネーションだ。

残る一体は・・・とっくにアレクが真っ二つにしていた。

俺達は危なげなく、敵の襲来をやり過ごした。俺は打ち込んだ矢を回収していた。この矢は貴重なので可能な限り使いまわしだ。

「タロウさんのクロスボウすごい威力だったっす。」

ケニーがほめてくれる。

「どうも、まだまだ安定しない試作品だけどね。」

「確かにすごい威力よね。私の魔弓に匹敵しそうな威力なんだけど・・・」

クララが口をとがらせながら話しかけてくる。

「連発はできないからクララの魔弓の方がすごいよ。」

「そうよね!私の魔弓もすごい!」

そう言うとクララは上機嫌になって戦闘の後処理に行った。その後も安定して戦闘をこなした。

順調に攻略が進む。俺は自分で作った詳細な地図を見ていた。前回よりも洞窟の小さくなり方が急だ。

「そろそろですか?」

「ああ、もうすぐ前回と同じパターンだ。そろそろモンスターハウスが出るかもしれない。」

「慎重に進みましょう。」

俺は破裂魔石を詰めた小樽を取り出した。樽には長い棒が取り付けられている。この中の魔石をすべて起動した。そして棒を目いっぱい伸ばした状態で地面に樽を押し付けた。破裂魔石は樽から飛び出し、地面に食い込んだ。食い込んだだけで終わった。

「どうやら周辺は問題ないみたいですね。」

これも前回の経験から考えたものだ。理屈は簡単で人が踏み込む代わりに破裂魔石で地面を叩き、脆い地面の有無を確認するというものだ。

シンプルだが確実だ。これである程度、確認しながら進む。

しばらくは真っ暗な道を進んでいると、突然明るくなっている場所を発見した。近づいてみると誰かがまいた光の魔石だった。

近くには明らかに地面が崩れて、大きな穴が開いていた。魔石の近くには他の荷物もあって散らばっている。

「タロウこれは・・・」

モンスターハウスだ。


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