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オタク、線をまたぐ  作者: 物理試す


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【幕間】少年の旅~船の中4~

師匠は叫びます。

「やることは簡単だ。あいつがブレスを打とうとした瞬間にウィリアムの炎の魔術をアイツの口に打ち込んでくれ。」

「えぇ!僕はまだ、魔術をコントロールできてないんですよ。」

「大丈夫だ。俺を信じろ!大切なのは、イメージだ。『俺はできる』と心を決めること、そして成功している自分の姿を思い描け。」

師匠に言われた通り、自分の成功している姿を思い浮かべます。

練習しているとき一番大切なのは、どんな状況になろうとも揺るがない強固なイメージだと言われました。


僕が思い描く成功しているイメージ。さっき見た師匠のような姿。

僕はいつの間にか魔石を突き出し、魔術を発動させます。

「いいかイメージしろ、あのサメの魔獣まで届く炎だ。魔石に集中して、より強く自分の炎を思い描くんだ。」

大丈夫!できる。皆を苦しめるあのサメの魔獣をうち滅ぼす炎。

頭が痛くなってきた。でも師匠が僕の持っている魔石に手を添えてくれた。それだけで楽になった気がした。

「今だ!その炎を解き放て!」

僕はいつの間にか叫んでいた。火球が魔獣に飛んでいき、開いた口に当たります。

火球は魔獣に食べられることなく爆発を起こしました。

爆風に充てられ尻もちをついてしまいます。

水の上なのに炎が燃え、サメの魔獣も全体が燃えていました。

初めて見た光景にただただ見とれていました。


数分もしないうちにサメの魔獣が水面に浮かんできました。終わったのでしょうか?しばらく判断がつかずボーっとして辺りを見渡しました。

いつの間にか周りの皆が祈りを捧げていました。

意味を理解し僕も貴族として最敬礼を送りました。


船が港に向けて進み始めました。これでようやく終わりですね。

ドサッという音が聞こえました。振り返ると師匠が完全に伸びあがっていました。

「師匠!大丈夫ですか! 師匠」

「完全に伸びあがっていますね。彼を医務室へ」

船員の人たちが担いで師匠を連れていきます。船の上ではバタバタと人が動き回り、散らばった端材を片付けていきます。他にも船を進めるために長いオールを使って漕いだり、水の魔石を使って船を進めます。一つ一つは少ししか進みませんが、全部合わせるとそれなりです。

陸に接岸するまで、まだ少しあります。甲板に居ても邪魔なだけなので屋根が無くなった自室に戻りました。


部屋の敷居をまたいだ瞬間、体に重りが付いたように重くなり動けなくなりました。その場に座り込みます。

「どうされました!?坊ちゃま」

アンネが心配して駆け寄ってきます。僕は体がこわばっていたようです。事が終わって気が抜けてしまいました。

アンネが肩を貸してくれました。

椅子に腰かけ息を吐きます。気づくと体中に力が入っていました。おかげで今はぐっと重いです。


ずっとつかんでいた火の魔石を机に置きます。手には魔石の跡が残っていました。

そして魔石を見ます。

僕はお前を使いこなす。そして、師匠のように皆を守れる存在になる。

しばらくは座り込み、急激な疲れからかうたた寝をしそうになっていた時、ちょうど外が騒がしくなってきました。どうやら港に接岸したみたいです。

まずはけが人や急病人の搬送が先です。僕はその後でしょう。しばらく部屋で待っていると、外が騒がしいです。何かあったのでしょうか?

外に出て確認します。

船から降りるスロープのところで、港街の人々と船員が対立していました。

「お前ら、そんなボロボロ船から降りてきて、あの魔獣も倒して人間じゃねぇ帰れ!」

「俺たちは帝国から来た冒険者ギルドの人間だ。けが人がいるんだ。頼む、通してくれ、早く治療をしないといけないんだ。」

どうしてこうなったのでしょう?

普段はすごく気のいい人々だったはずなのにすごく気が立っています。

「人間はあんな風にバチバチ光ったり、炎の塊を飛ばしたりできねぇんだよ。化け物を入れるわけにいかん。」

これは勘違いしていますね。どちらも師匠と僕の魔術です。僕も船を降りてみんなの前に立ちます。

「ウィリアム・ローリングです。この方々の身分はローリング家が保証します。彼らの言う通りにしてくれませんか?」

どうだろう。これで納めてくれないだろうか。町の人は神妙な顔をしています。

「おや、ウィリアムの坊やじゃないか。しばらく夏の休みに姿を見せなかったと思ったら、帝国に行っていたのか。」

そう言いながら、歩いてきた恰幅のいいおじさんはこの町の町長です。町長さんは町の人々に向き直り説明をします。

「彼らは確かに冒険者ギルドの方々とローリング家の者達だ。町に入れてやってくれ。」

町の人々は渋々といった感じですが、町長が言うならば、という感じで町に入れてくれました。途端に船から大量の物資や人が行き来しだしました。

僕たちもこの町にある家の別荘に行きました。

けが人が多く、この町にはギルド支部もないので、勝手に家の別荘を診療所にして全員連れ込んでまとめて治療します。

これぐらいローリング家は文句を言わないはずです。

ようやく一休みができます。僕は屋敷に入ってすぐにベッドに入り、死んだように眠りました。

次の日、目を覚ますともうお昼頃になっていました。

状況を確認すると皆もすぐに休んでいたようです。幸いにも陸についてから亡くなった人はおらず、全員回復に向かっているとのことでした。

師匠も午後には目を覚まし、動き回れるようになっていました。戦闘の途中から回復の魔石を無理して使い続け回復を行っていたらしいです。

サメの魔獣について聞くと、町の人々によって解体されているそうです。魔獣の知らせは王都にまで届いていて時期に多くの兵が来る予定だったそうです。

ここで僕たちが魔獣を討伐できたことは皆にとっていいことをできました


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