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オタク、線をまたぐ  作者: 物理試す


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29/222

【幕間】帝都からアカウ村まで

私はグラハムさんから依頼を受けて、謎の奇病が流行っているという村に行くことになった。

主な任務は、野放しになっている亜獣や場合によっては魔獣の討伐。

それからギルド支部が抱えている慢性的な魔石不足の問題解決に力を貸してほしいらしい。これについては今までも似たようなことがあったのでいつも通りという感じだが、しかし今回いつもと違うことがある。

正直、私に知恵を必要とする依頼が来ていることだ。正直私は頭の回転が遅く、この手の任務には向きません。

そのことを知ってか知らずか、今回は知能労働を得意とする冒険者を一緒につけてくれるとのこと。


最近、冒険者界隈を騒がせている、奇術使いがこの任務に同行します。

正直、どれぐらいできるのかわからないので、不安ではありますが遠距離の戦闘であればそれなりに戦えるようです。

後は実際に会って判断するしかありませんね。


サトウ・タロウという男に会いました。体は細くもなく太くもない一般的な成人男性といった印象。・・・近接戦闘には向かなさそうです。

変な杖を持っている。何に使うのでしょう?

攻撃方法はクロスボウですか・・・大した威力が出ない事で知られているいますが・・・他にも布?見れば見るほど変な男です。流石、奇術使い。


軽く自己紹介を済ませ、荷物の確認をする。グラハムさんにはなるべく早く依頼に取り掛かるように言われていたので荷物は事前に準備していました。

「今回は問題が不可解な部分が多いのでしっかりと準備していきましょう。リストを作ってきました。印をつけた物は用意が終わっています。」

「アレクさん少し持っていく物を増やしたい。きれいな水です。」

「それ以上持つと、重くて移動が大変になりますよ。」

「それは分かっているけど、病気が流行ってると聞いている、だから水ぐらいは綺麗にして衛生環境上げとかないと自分たちが病気にかかったら元も子もないだろ。」

「承知しました。そうしましょう。」

タロウさんが言うには衛生面を気にして水を追加で持っていきたいらしいです。

パッとしないと感じでしたが、しっかりと考えてはいるようですね。

あれから数日、アカウ村まで向かう道すがら色々話しました。

話してみると意外と話しやすい方でした。


今、タロウは手綱を握っています。

私は馬車のコントロールが下手なのでタロウにまかせっきりです。


私はタロウが小脇に抱えている探査ランプと呼んでいる物を見ました。見た目は変な魔石ランプです。

どうやら魔獣や亜獣が襲ってくる方向が分かるという物だそうです。

そんなものが本当に使えるならば、それは革命です。我々、冒険者が魔獣と闘うとき潜んでいる相手から不意打ちを受け負傷するというパターンが意外と多いです。


しかし、このランプが使えるなら事前に作戦を考えたり、罠をしかけたり、とその戦闘において勝率を格段に上げることができます。

かなり疑わしいですが興味はあるので、探査ランプを使ってもらいました。

ランプが二色に光り輝く。二色?

赤く光っている方向を見る。

頭上には数匹の巨大な鳥がいる。しかし巨大すぎる、あれは魔獣だ!

飛行する魔獣がいるなんて知らなかった。思わず感心しているとタロウにどやされてしまった。


馬車は猛スピードで走り出す。

私は馬車の屋根に上り、武器を構える。

久しぶりの戦闘、未知の敵に好奇心が湧き上がります。

鳥の魔獣が、巨大な爪を立てて襲ってくる。しかし真っすぐ突っ込んでくるだけなら問題ありません。

私はタイミングを合わせて、馴染みの斧を薙ぎ払う。

おや、横に流すつもりでしたが、切れてしまいました。魔獣にしては意外と脆いですね。

?、タロウは驚いて口を開けたまま、こちらを見ていました。危険なのでちゃんと前を向いて運転してほしいですね。


鳥の魔獣は仲間が目の前でやられたにもかかわらず、同じように爪をたてて、襲ってきました。しかし先ほどとは打って変わって、かなり速度をつけて襲ってきます。

鳥頭かと思いましたが、考える頭はあるようです。

私は先ほどと同じように薙ぎ払い、鳥の魔獣を一刀両断しました。やはり脆い、耐久力は魔獣というより亜獣ですね。


二羽やられたのを見て、鳥の魔獣は襲ってこなくなりました。

様子を見ながら、ついてきます。どうやら逃がす気はないようですね。

そうこうしているうちに広い場所に出ました。

私とタロウは馬車から降りて、離れます。

ちょうどそのタイミグで鳥の魔獣は火炎を吐き出してきました。かなりの火力です。

これは一発も食らってはいけません。

地面に落ちた火炎は広がりしばらく燃え続けます。これはどうにかして早く討伐する必要がありそうです。森が火の海になってしまいます。

タロウも同じことを考えていたそうです。鉄製の矢を上空に向かって打ち込みます。

しかし鳥の魔獣は動き回っています。重い鉄製の矢は速度が出ません。そんなものを地上から打っていたのでは当たるわけがありません。

「無駄弾を打たないでください。あそこまで遠いと当たりません。」

「わかってるよ。狙いはここからだ。」

タロウには考えがあるようです。任せてみましょう。タロウは矢に麻で作られた紐を括り付け、同様に上空に向かって打ち上げます。しかし、これでは先ほどより飛ばないでしょう。

予想通り矢は上空まで上がりません。しかし、タロウは麻の紐に光の魔石を押し付けます。

次の瞬間、上空を見たことが無い青白い光の筋が走ります。まるで雷で作られた蜘蛛の巣のようです。不覚にも美しいと感じました。

数秒間の輝きがあった後、鳥の魔獣たちは地上に落ちてきました。どうやら今の一撃で、すべて殲滅したようです。なんという攻撃力と攻撃範囲でしょう。一級の魔術使いを見ているようです・・・そういえばタロウは魔術使いでした。

かなり前線に出てくるし、全然偉そうではないので忘れていました。


落ちてきた鳥の魔獣を処理していきます。この魔獣には違和感を感じていました。それを確かめる必要があります。魔獣にしては異様に耐久度が低く、群れを作る。

何より体についている魔石はくすんでおらず、かなりきれいだ。やはりこれは亜獣だ。

私はタロウに駆け寄り、このことについて話し合います。タロウはこの亜獣が最近、亜獣化したことを推理します。頭もかなりいいですね。私はなにも思いつきませんでした。

話し合いの結果、このまま目的の村に向かうことになりました。

以前訪れたときは大変賑やかな村だったので、楽しみです。


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