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オタク、線をまたぐ  作者: 物理試す


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24/222

アカウ村4

次の日から光る水の出どころを突きとめる調査を始めた。

と言っても昨日、水を汲んで調査をしていたので、すぐに見つけることができた。

「これですね。この川とも言えない、水の線。この先に主原因があるようですね。」

そこはかつて人通りがあったような道だが、今は完全に荒れている。


進んでいくと、道が二手に分かれていた。水は片方の道からしっかりと流れている。

迷いなく水が流れているほうの道を進もうとすると気配がした


「アレク、あっちの道に人がいなかったか?」

「いえ、気配は感じませんでしたけど。何か見えましたか?」

気のせい?・・・人がいたような

今は問題解決の方が優先だ。


水をたどっていくと明らかに人口的な扉で閉じられた場所にでた。扉の奥には大きな穴がある。水はこの隙間から流れ出ているようだ。


「なんですかこれは?なぜこのような場所が?」

「ここギルド支部長が言っていた、昔に使っていた採掘場じゃないか?」

「なるほど 地図で確認してみましょう」

場所を確認すると、確かに昔の採掘地と重なった。


「しかし、水の魔石をとりつくしたから、閉鎖されたのにどうしてこの場所から劣化していない魔石が流れ出ているのでしょうか?」

「それはこの中に入ってみればわかるさ。何処からか入れる場所はないか?」


扉は石材で分厚く2~3メートルの高さはある。二人ではとても動かせそうになかった。

「であれば破壊していきましょう。」

「ちょっちょっと待て!そんなことしたらだめだ。」

「何故です?」

「せっかくきれいに彫刻も彫ってあるんだ。壊したらもったいないだろう。」

「そうですか?」

「そういうものだ。これが100年ぐらいしたら、ものすごい価値がついたりするんだ。」

「しかし、どうしますか。これでは中に入って調査を行えませんよ。」


悩んでいると突然、力のこもった声で響き渡る。

「お前ら!そこで何をしとる!」

かなり瘦せこけたおじいさんがいた。

頭は白髪で覆われ、腰は少し曲がっているお爺さんだ。手にはクワを持っている。

「俺たちはギルドの依頼で調査を行っている者です。この村の方ですか?旧採掘場への入り方知っていますか?」

俺は立て続けに質問する。

「そんなもん、知らん!ここから立ち去れ。」

どうやら全く話が通じないようだ。急に怒られ、まくしたてるようにこの場所から俺たちを立ち去らせようとしている。急に怪しく感じてきた。


「おまえ、なんだその態度は!」

温和だったアレクが突然声を荒げる。

「!?抑えて、そんな言い方しちゃだめだ。・・・すみません。すぐに去ります。」

採掘場から逃げるように移動してきた。


逃げ切ったあと、アレクに尋ねられる。

「何故、反論しないのですか?」

「アレクこそ、意外だな。そんな風に怒るなんて。」

「当たり前です。亜獣の討伐は、村人の生活が懸かっています。同じ村の人間なら協力すべきです。」

「それはそうかもなんだけど、なんというか緊急事態の時ほど感情的になっちゃダメだろ?」

「それは理解できます。でも時には感情的に言わなければ伝わらない人もいます。特に、ここのような小さい村の人達は良くも悪くも考え方が固いです。押し通してでも従わせるべきです。」

アレクは、どうやら正義心が強いようだ。

「確かにそれはそうなんだけど。アレクの言っていることは正しい。だけどそれがいつも、村の人々が望む結果になるとは限らないと思うんだよね。・・・なんていうのかな・・・正しいことと同じぐらい望むことも、考えてあげないといけないと思うんだよね。」

少し難しくなってしまった。うまく伝わっているだろうか?


「タロウは少しでも、穏便にいくべきだとお考えですか?」

「そう、ここの土地の事ほとんど知らないし、もう一つの採掘場への入り方を聞かないといけない。」

「ギルド支部長が知っているのでは?」

「知らなかったらどうする?あの支部長は結構若そうだし・・・もしかしたら、あのおじいさんに聞かないといけないかもしれないだろ。」

「なるほど、あなたも打算的に考えますね。」

「人間そんなもんだよ。ところであのでかい石の扉、壊そうとしていたけどできるの?」

「ええ、簡単ですよ。」

力比べになるようなことはしないと、心に誓った。


村に戻って、ギルドを訪ねると

「いやだああああああああああ、死にたくないいいいいいいい」

「落ち着て、暴れたらだめです。怪我してしまいます。」

例の奇病の患者だろうか、ずいぶんと錯乱している。若いが浅黒く、がっちりとした体形をしている。鉱山夫だったのだろう。

「タロウ手伝いますよ。」

「あいよ」

アレクとともに患者の抑えに加わった。動きが弱くなったところで

「二人とも避けて」

俺は光の魔石を押し付けて、微量の電気を流す。すると一瞬硬直した後、患者は意識を失った。悪いな、こんなやり方しかできなくて。

「あ、ありがとうございます。今日発症が分かってここに来た方なんですけど、その・・・やはり怖いみたいで。」

ニコラスが説明してくれる。

確かに男の脇腹には少し、鉱石のかけらのような物がくっついていた。

しかし、どうしてこのような状態になってしまうんだろう。

ニコラスの指示に従って男を病室に運ぶ。


「タロウ、私は旧採掘場に入る方法を聞いてきます。あなたはどうしますか?」

「俺はいいや、少し、ニコラスさんに聞きたいことがある。」

「はぁ~ここ数日で、タロウという人がどんな人かわかってきました。ほどほどにお願いしますね。」

「・・・わかってるよ。」

ニコラスを追って部屋に入る。

「ニコラスさん、病気の原因はつかめましたか?」

「いえ、まだ何もつかめていません。

あなたの言う通り水を調べているのですが生活の中で水が使われている場所なんてたくさんありすぎて、要素を絞れません。」

確かに範囲は広いし、水の中の魔石がどう反応するかもわからない。


何かいい案はないかと頭をひねる。しかし俺は医者ではない。いい案など浮かびようもない。

どうにもあきらめきれず、当たりを見渡す。ふと壁に張り付いていた患者のリストが目に入った。

これは見てもいいデータらしい。これらから何か見つけられないだろうか?いや、何とか特定ぐらいはしてやる。

俺はデータに目を通していった。



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