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オタク、線をまたぐ  作者: 物理試す


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魔王の国Ⅱ-5

プエトジの遺跡で見た封印された魔獣。

あれは強力な魔獣を何百年も封印していた。


あの技術を今の技術で再現し、ドラゴンの活動抑制に使えないか。そう思って、調査員をはじめ多くの人に調査してもらっていた。


幸いにも有益な情報が揃い始めており、俺が開発した魔素感知に非常に似ているのだ。ならば大型化し、使える可能性がある。


研究所に解析を任せ、作業を分担する。

何事も起きず、研究に明け暮れる日々が続く。


今日は次の出現地に関する研究だ。

研究所が出していた情報によると、世界で黒点の増加傾向にある場所はいくつか存在する。


その場所と、ダンジョンの出現位置、現在までのドラゴンの出現位置を重ねる。

今のところドラゴンは、一度現れた場所には現れない。

結果、候補地はいくつかに絞られた。


その中でも、最も可能性が高い場所。

ニッホン近くの山間部。

400年前の勇者が倒した場所とちょうど同じ場所。

生物としての習性か?過去の記録と似たような動きをしている・・・


大丈夫、あれは生物。頂上的な力を持つけれど、この世界の生き物なんだ。


もうすぐ帝国へ行く。

討伐を行うためのチームを編成と、具体的な対策を打つための準備を行うからだ。

それまでに、もっと情報を集めなくては・・・


出現地の検討に一区切りをつけ、先日見つけたドラゴンに倒された魔獣に関する資料を読む。


絶命していたが、ケガが原因ではなかった。

異常なほど、魔素がなかったのだ。


国の周りには海中にダンジョンがあり、そのダンジョンから強力な魔獣があふれていたことは知っていた。

あの魔獣はとてつもない魔素量を保有している。


今までの経験から考えれば、魔素をほぼ失うなんて考えにくい。

では、何故か? やはり、ドラゴンが関係しているといえる。


ドラゴンが魔獣の魔素を吸収したのだろうか。

直接、確認する方法はないが、状況証拠から考えてドラゴンが魔素を収集するために各地を回り、力を蓄えていると考えられる。


まさしく、ドラゴンは魔素そのものなのではないだろうか?


そうだ!


俺は劣化した魔石と前回の戦闘で得たドラゴンの鱗を取り出した。魔素そのものならば、魔素を吸収できないかと考えたからだ。

早速実践してみる。


しかし、というか、やっぱりというか・・・

そんなに、世の中は甘くない。


魔石は全く反応せず、鱗にも変化はなかった。

魔石にずっと関わっていたおかげで、わずかに魔素の移動を感知できた。でもそんな程度だ。


これじゃ全く、話にならない。

でも、こんなところで諦められない。


思いついた事は、何でもやれるところまでやろう。

すぐに研究所に持っていき、研究員に共有する。


ありがたいことに研究員たちのやる気が凄まじく、高い興味を持って一緒に考えてくれる


結局夜がふけるまで、検証を続ける事となった。


深夜に自宅へ帰る。

自室へ戻る。


扉を開けると、すでに明かりがついていた。

中には二人の女性がいた。


いつも見ているからわかる・・・二人とも怒っている。結構怒っている。

妻たちだ。


「ど、どうしたんだ?二人とも・・・」


「どうしたも、こうもねぇ」「最近、頑張り過ぎではないですか?」


最近二人は、一緒に過ごしているおかげで、阿吽の呼吸だ。


「二人ともありがとう。でも、ここで止めるわけにいかないんだ。ドラゴンはそれぐらい強力だ。」


「それは理解いたしますが・・・」「子供たちも、寂しがってるぞ。」


「そうだよな・・・いつも助かるよ。帝国に行く前にしっかりと遊ばないとな・・・」

そういって椅子に上着をかけていく。


ベットに腰かけると、勝手に全身の力が抜けていく。

いつの間にか、二人の妻はそれぞれ両隣に座る。


「また、ああやって服を欠けていたら、怒られちゃいますよ。」

「私もすぐに・・・ってそうじゃない!ほらベットに腰かける前に全部着替えてこい。」


二人に促されて、着替える。


着替えて戻ると、二人ともさっきより薄着になった気がする。


「寂しいのは子供たちだけではありません。」

「子供達が寝た後なら良いだろ?」


二人同時は中々疲れたが、楽しい一日だった。


数日後。

波に揺られながら、研究所からの報告書を読んでいた。


この時期にしては珍しく、海は荒れていた。

しかし、そんなこと気にしていられないくらい衝撃的な内容であった。


ドラゴンから採取した検体の分析が進んだのだ。

仮説の通り、ドラゴンの体は、大部分が魔素で構成されていたのだ。


魔石に液体魔石等、大量の物資を利用したところ、急激に魔素を吸収できるようになったらしい。

普通の物質ならばこうはいかない。


同時に、魔素の吸引を行った検体は、大幅に縮んだという。

ドラゴンの体はまるでスポンジのような状態で、魔素を吸収してどこまでも強く、大きくなる可能性を秘めている。


報告書をある程度、読み終えて頭を抱える。

あのドラゴンを放置すればするほど、強くなってしまう。


しかし、どこにいるか分からない。

早いと見つけなければ・・・


もしかしたら、400年前に存在したというドラゴンは大量に魔素を吸収していたのかもしれない。

だから、大陸全土を回る大きな戦いになったのではないか?

400年前は、勇者との戦闘の上、勇者は大剣を用いてドラゴンの半身を切り落とした。それでもドラゴンは動き、残りの半身は海へ消えた。


明らかなダメージ量、その戦闘から数年間、ドラゴンが現れなかった事から、ドラゴンは討伐されたと考えたらしい。


しかし、再びドラゴンは現れた。

さらに今回は勇者の剣もない。

完全に俺たちの力だけで戦わなければならないのだ。


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