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オタク、線をまたぐ  作者: 物理試す


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戦場の採掘地-4

回復・・・しないと、朦朧とする意識の中、すぐに回復の魔石を発動し、ケガの治療を始める。

「あなたがここに来るのは分かっていましたからね。仕込ませていただきましたよ。うまくいってよかったですね。自分の実力に自信がおありなのか、無策とは舐められたものですね。」


そういってノイマンはさらに、氷を伸ばす。

タロウは完全に覆いつくされた。


「後は体の芯まで凍れば完了ですね。あなたは自身の開発した技術が戦争に使われることが嫌なようですが、なぜ嫌なのでしょうか?」

勝ちを確信したノイマンは独り言が止まらない。


「戦争だから?人が死ぬから?それとも・・・人を使うから?勝つために敵国の兵を殺す。国家は勝つために兵士を使う。結局はどの立場から物事を考えるかということでしかありませんな。それだけのことなのに、自分の技術が使われているからなど、おごりが過ぎますぞ。タロウ。」


勝ち誇った目線の先で、タロウを覆いつくしていた氷塊にヒビが入る。

ノイマンは驚愕して後方に大きく飛ぶ。

「おかしいですね。両手から魔石や魔道具は話していたはずですがね・・・その液体、なるほど液体魔石ですね。ふふっ人のことは言えませんね。」


タロウは氷塊に打ち付けられ、地面に落下するさなか、液体魔石を取り出していた。

液体魔石には魔素を伝達する力がある。

魔石や魔導具は触れていなくても、魔素で触れていればいいのだ。


ノイマンが一人語りをしてくれたおかげで、十分な回復の時間が取れた。

後は雷撃を発動して氷塊を割れば・・・


急激な破壊により、氷塊が崩れていく。中途半端に破壊された氷塊は、脆い壁面にヒビを入れていく。

「確かにアンタの言う通り、俺はおごっていたのかもしれない。罠があるかもしれないと考えるのが普通だよな。」


俺は風の魔法を発動し、出力を上げる。部屋の中に強力な竜巻が発生し氷や石を巻き上げ回転する。

「いいでしょう、もう一度打ち合いですね。」


ノイマンも同様に竜巻を発生させる。

同じように氷や、石を巻き上げる。十分な出力に達したところで二つの竜巻はぶつかり合う。


部屋を埋め尽くすように発生した氷塊はすべて崩れ飛び散る。何もかもが巻き上げられ部屋の中を高速で飛来し、全てを破壊する。


癪に障るが、ノイマンの言葉は的を射ている。

確かに油断していた。ならば次は油断しない。


クロスボウを取り出し、特殊矢をセットする。

電撃をまとわせノイマンに向かって放った。


ノイマンは左腕の巨大な魔石で防ぐ。矢はしっかりと魔石に刺さったが、貫通には至らなかった。

一瞬だけ魔石に紫電が走るが・・・


ただの魔石には電流は流れにくい。

矢は魔石に深く食い込んだまま抜けなくなったが、ノイマンにとっては全く問題なさそうだ。

ノイマンは追加の攻撃に備え、大型の人体魔石の後ろに隠れる。


二つの竜巻がやみ、部屋の中が晴れる。

部屋は様々なものが突き刺さり、割れ、ボロボロになっていた。

もともと急造した採掘地だ。

作りが甘く、今にも崩れ落ちそうになっている。


だが、まだこの場を離れるわけにいかない。

目の前に捕まえなければならない敵がいるからだ。さらに特殊矢を取り出す。

今度こそ当てる。ノイマンを打ち抜いてでもヤツを止める。クロスボウにかかる電力を上げる。

電撃が周囲に漏れ出した。

いまだ!


しかし、矢がノイマンに届くことはなかった。

ノイマンが隠れていた人体魔石を利用して豪炎を放ったからだ。矢を飲み込み、部屋を埋め尽くす、大きい火炎を発する。


「そう何度も同じ攻撃をくらうか!」

文句を言いながら両手で大量の風をぶつける。豪炎は動きを止めるが、勢いは落ちない。

まだまだ!

このままではいずれ熱が回って蒸されてしまう。もっと勢いを弱めないと!


大量の熱によって溶けた氷がある。

この水分をどんどん集め、炎にぶつけていく。同時に大量の水蒸気が発生する。


ノイマンが近くにあったもう一つの人体魔石を使いさらに火力を高めていく。

負けないように部屋中の水分を集め、大量の水を用意し、高めた風力とともに打ち出す。。


あまりに高温に熱せられた水は瞬時に状態を変化させ気体に変化する。それは水蒸気爆発と呼ばれる大爆発を起こす。


爆発の衝撃により、両者は吹き飛ばされる。

それだけではない。爆発の衝撃に振動、熱は部屋中のあらゆるものに作用する。

採掘地全体が大きく揺れ、天井からゴロゴロと大きな岩が落ち、土が崩れる。


まずい!崩落する。

何とか意識だけは保ったタロウは瞬時に判断する。


今すぐ出口に向かう!?いや間に合わない。

こうなったら天井に大穴を開けて抜け出すしかない。


右手にプラズマを集めだす。いつもより時間がないのに、いつもより多く集めなければいけない。


焦る。

集中


頭のすぐ後ろを大岩が落ちていく。


汗が流れる。

集中


溜った!天井を殴りつけるように右手を掲げる。

掲げた右手から閃光が放たれ、天井のすべてを溶かし、吹き飛ばし、破壊する。


まだだ、まだ空は見えない。プラズマをより集める。


「ウオオオオーーーーー」


自然と漏れる声と呼応するように閃光はより太く、勢いを増し天井の岩盤を吹き飛ばした。

地上からは噴火が始まったのかと勘違いを起こすような振動と光が見えたという。


穴が空いた!

わずかに見えた空をきっかけに風の魔法で上昇し、地上へと脱出した。

出てきた部分を見ると、ちょうど自分がいた部屋のところが陥没したように地面が崩れへこんでいた。


あの壊れ方ならアレクは大丈夫そうか?心配に胸が高まる。

しかし、他人の心配ばかりしていられなかった。


自分が出てきた場所から少し離れて、岩を吹き飛ばし、一人の男がでてきた。


ノイマンである。

やはり生きていたか。


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