【幕間】森から街まで
ここまでのストーリーの別視点です。読み飛ばしていただいてもストーリに進行はありません。
いつもの道、林道だから獣が飛び出して襲ってこないように警戒していた。
ガサガサと音がしたので注意しながら確認しに来た。
しかし見つけたものは獣ではなかった。
なんか見たことない服装のボサボサ男が死にかけていた。
一緒に来ていた副団長の命により、救出することになった。
こんなヒョロヒョロでどうやって生きてきたんだ?
どうやらあの男は回復したようだ。私が子供たちと遊んでいると、挨拶しにやってきた。
にやにやして変な奴だ。
今度から荷物持ちとして団の一員に加わるらしい。使い物になるのだろうか?
あいつが団に入って数日、荷台を押しているだけなのに肩で息をしている。
いてもいなくても変わらないなぁ
子供たちには人気のようだ。最近はずっとあいつと遊んでいるようだ。
ようやく、お守りはしなくてよくなったが、なんか気に入らない。
ちょっかいをかけてやろう。
あの野郎、嫉妬ですか?だと技を掛けたら一発で降参したくせになんだ!あいつは
最近は荷台を押していても息切れを起こさなくなっている。
どうやら、魔石に興味があるみたいで、すぐにテントにこもって魔石の調査?をしているみたいだ。石見てニヤニヤしている。
なんとなくだが気に入らない。しかし頭は良いみたいでいじっても、すぐに返される。
何かないものか?
イノシシの魔獣が現れた。
あいつは青い顔して棒立ちしてやがる。馬鹿ッ!
「何ボヤっとしてる! 早く後ろに下がれ、荷台を押してここから離れろ!」
そう言ってあいつを走らせる。
その間に、いつも通り護衛隊が展開する。
副団長が作戦を伝達する。
今回はイノシシが元になっているようだ。
見るからに奴が走る距離が長いほど吹っ飛ばす勢いが強くなる。だったら走らなければ良いだけだ。
副団長も同じ考えのようだ。
大盾を持った。団員が勇敢に向かっていく。
走らせる前にイノシシの突進を受け止める。畳みかけるように、ほかの団員は切りかかる。
ダメージを与えることはできたみたいだが、イノシシの魔獣はまだまだ動けるようだ。
魔獣は距離を取ろうとしているのか、仕切りに離れたり突っ込んだりという行動を繰り返している。
副団長が、話しかけてくる。
「ノエル、行けるか?隙を作れればいい。」
「問題ない。いつでも行けるぜ。」
そう言ってイノシシの前に出る。
後ろには木々がある。
相手は所詮イノシシ。真っすぐ走ることしかできない。
イノシシの魔獣が突っ込んでくる。
ロングソードを構えた。
魔獣と接触する際、ロングソードをヤツの体に這わせて
突っ込んでくる勢いを利用し、高く飛び上がる。
躱すと同時に魔獣の視界を奪う。
そして私は魔獣との勝負にけりをつけた。
タロウは私の事を思いっきり褒めちぎる。青い顔をしていたのに、面白いやつだ。
交易都市に着いた。ここはいつも忙しい。
売上が大きく出る街だから、私たち護衛隊も販売に駆り出される。
いつもは売り場に出ないから要領がよくわからない。
客のジジイが尻を触ってきた。
このエロ親父め思いっきりぶん殴った。
ケンカになったが、団のみんなが必死で私を止めてくれた。
曰くジジイが死ぬとかなんとか言っていた。
案の定、私は販売の方から外されてしまった。
しょうがないので、町の中を散策する。
でもいつも来る街だから、何もかも見飽きた物ばかりだ。
出店を回っていると、タロウと子供たちがいた。
確か、町に来ていた魔術使いの演武を見に行くお守りをしていたはずだ。
もう終わったのかな?
タロウは何を買うか迷っているみたいだ。何を買うんだろう?
そう言えば、いまだに魔石を調査しているみたいだ。魔石関係かな?
数日後、タロウが椅子に座って分厚い本とにらめっこしているのを見つけた。
「魔術使いになる方法かぁ」
魔術使い?あいつになにか関係あるのか。
昨日の魔術つかいに触発でもされたのかな?
「なんだ 魔術使いでも目指してるのか? あれは才能がないとなれないよ。」
タロウがなぜかジト目で見てくる。なんだコイツ。
「ノエルは剣の才能は有るけど、魔術の才能はなかったみたいだな。」
言い返してくる。生意気な奴だ。
「魔術だって練習すればできる!」
「なら俺も練習すればある程度はできるかもな。」
「言葉狩りをするな それより最近ずっとその本読んでるけど魔術使えそうか?」
やっぱり、こいつは頭がいい。悔しいが団長や副団長に匹敵するかもしれない。魔術だって使えるようになるかもしれない。
「使えないよ。 この本にも魔術使いになる一般的な方法はまだわかっていないと記載されている。
しかし使えないみたいだ。
やっぱりこいつらは私が守ってあげないとな。
「だろ やっぱり才能がないと使えないのさ あれは」
そう言ってタロウを見ると、手の甲に顎を置き何かを考え出していた。
せっかく私が話しかけているのに、無視とはいい度胸だ。
目線を合わせて無理やり気づかせる。
そうしたらタロウが突然、赤くなって視線をそらした。
変な奴だ。
そんなことを思っていると、タロウがどこかへ走って行ってしまった。
そのあとは荷物運びの手伝いを軽くこなしてから、宿舎に帰った。
帰る途中で変な男に絡まれたがアッパーをくらわしてやると、飛んで逃げていった。
全くなんで、こんなにも絡まれるんだ。それを団の女友達に話してみた。
「そんなのノエルが無防備すぎるんだよ。ちょっと前かがみになってみて。」
「?」
よくわからないが言われたとおりにした。そしたら目の前に大きめの鏡を見せてくれた。
「ここ見て、ここ。」
言われた通りに見てみると谷間が見えた。私の・・・
すぐに胸元を抑え、起き上がった。恥ずかしさで顔に血が上る。
「あんた普段の生活が護衛隊での生活だから自覚無いと思うけど、町の男からしたら隙だらけなの、もう少し気を使いなさい!」
昔からの友人に諭され、何も言えなかった。
あいつも見たのかな?