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オタク、線をまたぐ  作者: 物理試す


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帝国Ⅵ-2

強そうな人が前にでる。

「城までご同行頂けるかな。素直にご同行頂ければ、あなたはもちろん、お仲間にも傷一つつけないとお約束しよう。」

やっぱり俺は爪が甘いようだ。アレクをつけていれば大丈夫だと思ったが、さすがにこの数は無理か。

選択肢はない。行先が城ってのも気になる。

「わかりました。同行いたします。」

「ご配慮ありがとうございます。それではこちらへどうぞ。」

用意されていたのは立派な馬車だった。捕まえに来たというわけではなさそうだ。


馬車の中にはコイルにリルカ、アレクに俺、そして強そうな騎士たち数人に研究所の人。

えっと確かこの人は

この人はイワン・ルーカスだったかな。


「いやはや、いつぶりかな。お久しぶりですな、タロウ殿。ご活躍はかねがね聞いておりますよ。」

「お久しぶりですね。イワンさん。私など、まだまだ若輩の身ですよ。」

「またまたご謙遜を。独自の魔道具を開発し、複数の魔術を使いこなす。さらにはそれらを組み合わせて、何体もの強力な魔獣を撃破。素晴らしいご活躍ではありませんか。」

「たまたま、運が良かっただけですよ。しかし、近衛騎士の方々が一体どのような要件でしょうか。まさか、功績をたたえるだけてことはありませんよね。」

「それについては、城に行ってから話をする。それ以上のことは言えない。」

中年の強そうな騎士は短く言葉を話すとそれ以上は語らなくなった。

イワンが一人でつらつらと話すだけである。


馬車に揺られ、城につく。

そのままの服装で、かなり豪華な部屋に通される。

まるでファンタジーに出てくる謁見の間みたいだ。


俺がきょろきょろと、部屋の中を見回していると、俺たちが入ってきた場所とは別の場所から豪勢な若い女性が入ってくる。

あの人を知っている。


女帝ヴェロニカ・アダムズ。

俺が見とれていると、いつの間にか周りの人たちが、頭を下げ、膝をついていた。

俺やリルカが遅れて、膝をつく。


「頭を上げてください。また会いましたね。冒険者さん。」

頭を上げると、女帝がこちらを見ていた。

前よりも自信がついて来たのか、堂々としている様に見える。

「お久しぶりです。お目にかかれて光栄です。」

こんな感じでいいのか?よくわからないけど、とりあえずそれっぽく挨拶してみる。

他の面々も挨拶をしていく。


「さて、なんでしたっけ?」

すぐにお付きの者が耳打ちをする。というか、こんな感じで大丈夫か?よく見るとやつれている様にも見える。だいぶ疲れているようだな。


「冒険者タロウ、あなたは帝国が戦争状態にあることは知っていますか?」

「はい、存じております。王国に宣戦布告を出されたと聞いております。」

「概ね知っているようですね。さて、何から話しましょうか。

現在、戦争は硬直状態にあります。はじめのころは帝国の新兵器である、魔導機兵と魔術使いを中心とした部隊により、連戦連勝をしていましたが、王国側からも謎の技術により抵抗され、最後の一歩を踏み切れずにいます。」

魔導機兵?その言葉に何かいやな予感がした。

それにしてもあと一歩まで追いつめていたなんて、帝国はとてつもない力だな。


「そこで、タロウ。あなたには潜入調査をしていただきたいのですよ。」

「へ?」

あまりに突飛な話に変な声が出る。

「だからですね。貴方には王国に潜入して隠密調査をして頂きたいのですよ。」

やっぱり意味が分からない。何故俺なのか。俺は隠密なんてできやしない。更に王国に侵入しろだと!?もっと分からない。


「ここは私から・・・」

そう言って前に出たのは女帝に耳打ちをしていた貴族だ。

「王国が使ってきた新兵器は魔石関連の物ということまでは分かっています。何でも無限に使える魔石出そうです。」


無限に使える魔石!?

あり得ない。何処かで限界を迎えるはずだ。

「貴方もお気づきの通り、無限に使えるなど不可能。何か仕掛けがあるはず、しかし我々にはそれが分かりませんでした。」

「であれば、私が調査を行ったところで・・・」

「できますよね。貴方ならば。

数多くの魔道具を開発し、魔石病を解決に導き、各国の魔石や魔道具の研究を行ってきた。ニッホン特融の技術も知っているのではないですか?」

思わず視線を逸らす。

というか、ここに来るときにも聞いたようなセリフだ。

「あなたは、かなり特殊な視点を持っているようだ。さらに個人戦力としてもかなり強い。これ以上ない適任役だと考えますが。」


後には下がれない。

俺だけではなく、コイルやリルカもここに連れてこられたのには理由がある。いわゆる人質である。

特に、刃物を突き付けられているわけではないが、言わずともわかるだろ?

そんな表情をして近衛兵や貴族の面々がこちらを見る。

女帝は真顔だが、果たして内心は何を考えているのだろう。

怒りだろうか、抑えることが難しい衝動が湧き上がってくる。


「その依頼、謹んで・・・」

「恥ずかしいとは考えないのか!」

俺のセリフを遮るようにアレクが叫ぶ。

あまりに突然の事に、言葉を失ってアレクを見る。

アレクは今までに見たことないような表情で女帝をにらむ。近衛兵が一気に展開し、女帝を守るように取り囲む。

「貴族や王のような力を持つ者が、弱者を貶めるのか!それが正義あるもののやることか!」


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