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オタク、線をまたぐ  作者: 物理試す


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119/223

ニッホン1

目の前に広がる光景にタロウは言葉を失っていた。

立ち尽くす事しかできないのに目だけはしきりに移動する。


リルカはまた変わった風景の街に驚嘆と興味を示す。

「わ~すごいね。アラスオートとは全然違う雰囲気の街だね・・・すごい、家が木だけでできてるよ。あんなに入り組んでる。あの服はなんだろう・・・」

アラスオートを訪れた時と同様に楽しそうだ。


コイルはと言うと、こちらも前回アラスオートを訪れた時と同様、少なからず街を見回している。

ただ何度か来たことがあるおかげか前回の記憶と照らし合わせているだけのようだ。


何故、俺は大変驚いているのかと言うと、その建築物である。

今までは地域の気候に根付いた石造りの家だったり、レンガの家だったが、このまちは明らかに異なる。

完全に昔の日本風の建築物なのだ。

俺が元の世界に居た時見た京都とか絵で見たことある江戸の街並みだ。障子や縁側、瓦の屋根まである。

更にそこに住まう人々は和服のような服を着ていた。


これも、この土地に根差した家の作りなのかもしれないが、ここまで模様や使っているものまで似ていると流石に元の世界の要素を疑わざる負えない。そういえばこの世界の言葉は日本語に酷似していたな・・・


伝説の勇者の日記を追う限り、ここらの土地に来たことになっている。その時代ものが残っているのか?では他の街では和風なものを見れなかったのは何故なのか?

とりあえずこのままでは何もわからない。この町にもギルド本部があるはずだ。そこを訪れて資金集め兼、勇者伝説について調査してみよう。


街の中をゆったりと進む。今までも魔導三輪の異様さから街では少なからず注目を受けていたが、この町は少し違う。何だか疎外感をかんじるのだ。


少し気になるが、今はとりあえずギルド本部に向かう。ちょうどそれっぽい建物を見つけたところで中に入ろうとしたがそれはかなわなかった。

扉の前に、また俺を驚かす存在が居たのだ。


それは巫女だった。

「おお、初めて見た。ニッホン特有の巫女だぞ!」

情報屋としての差がだろうか?コイルは興奮気味に観察している。心なしか鼻の下も伸びている。


俺はと言うとその姿になつかしさとやはり驚きをもってみていた。

巫女と言う名前、そしてその白と朱色の服装。黒の長髪をまとめたその姿は、完全に元々いた世界でよく目にした姿だった。


巫女は真っすぐこちらを見ていた。

「冒険者のタロウ様ですね?、ワシはニッホン国 本殿より来ました使いの者でございます。殿が貴方にあってお話したいとおっしゃられております。お疲れのところ申し訳ありませんが、ご同行いただけますか?」


俺に用?一体どういうことだ?

思い当たるふしはないが、とりあえず敵意はなさそうだ。この国の偉い人とコネクションを作れるのも旨味がある。行ってみようか

二人の方を見ると判断を任せるといった感じの表情だ。


「分かりました。ただ先に荷物を下ろしたいので、宿泊地だけよらせてください。」

「それでは、こちらで宿を用意いたしましょう。こちらへどうぞ。」


なんだ?あまりにも用意周到すぎないか?

まるでここに来ることを知っているみたいだ。

「おい、タロウ。お前でもそろそろ分るだろ。警戒しとけ。」コイルが耳打ちする。

やはりこれは何かおかしいようだ。


不審に思いながらも巫女の後についていく。やがて街の中心部まで移動すると、遠くから見えていた、かなり大きい屋敷が現れた。

周りの建物も豪華絢爛で大変立派である。

この場所が街の中心部であることは明白だった。


「タロウ様方はあちらの宿に宿泊していただきたく存じます。あちらは諸外国の方用の宿泊地となります。」

巫女が指し示した宿はここら一帯でも大きめの宿だ。

「ん〜あやしい。」

コイルは与えられたベッドに腰掛けながら唸る。

「なにが~?至れり尽くせりでいいじゃん」

リルカはお気楽に今の状況を楽しんでいるようだ。

しかし今回は俺もコイルに賛成だ。


明らかに俺たちのことを知りすぎだ。

宿も準備が良すぎる。

まるで街に入る前からこの街に来ることを知っているようだ。


俺たちを先行して知っている必要は何だ?珍しい物を持っているわけではない。ましてや金銭も・・・

もしかして俺の戦力か?確かに俺はそこそこ戦えるが一国が警戒するほどではないだろう

何をされるかわかったものではないな・・・かなり警戒をして臨んだほうが良さそうだ


荷物を下ろした俺たちは、巫女に連れられ本殿と呼ばれる施設に来た。

本殿の中に入ると、中も外見と違わず和式である。ここまで同じだと今までの感覚と違ってなんだか気味が悪いな・・・いやおかしいことは無いのだが・・・


「ここがタロウの故郷に似ているの?豪華なのに、ギラギラしてない。」

リルカはいつもと同じで興味津々といった感じで辺りを見回している。


とある一室に通される。

非常に広い、畳の部屋だ。

部屋の中央に座って待つように言われる。

大した時間が経たずに、一人の男がやってきた。

この人が殿?それにしてはフランクすぎる感じもするが・・・


「あいや失礼、ちょいと待たせたな。私はタカガネ・トシロウ。まぁなんだ色々やってるが、分かりやすい肩書で言えば、政治家と言ったところかな?良しなに頼む。」

こちらもあいさつを返す。

トシロウと名乗った男は年で言うと40~50歳といったところだ。

非常に人当たりの良さそうな中年のおじさんで、自分では政治家と言っていたが、何となくわかる。この人は魔術を使える。


自然と警戒心が高まる。

一通り、挨拶が終わったところでトシロウは話を始めた。

「長旅のところ、いきなり呼び出してすまんの。悪いがお前さんたちがこの街に入った時から、こうすることを決めていたんじゃ。」

「と言うと、私の魔術ですか?」アラスオートでの経験を思い出す。

「確かに、お前さんの魔術はそこそこ強いな。だが、目的はそれではないの。」

・・・ちょっと恥ずかしい・・・


「では、何が目的なのですか?」

「そう焦るな、別にとって食おうと言うわけではない。まぁでもお前さんたちも疲れているだろうからな、手短に済ませるとするか。

お前さんたち、勇者伝説について調査しているじゃろ。」

「どうして、それを?」

「おいおい、この国を舐めないでもらいたいの。世界中の重要人物は常に調査をしておるから、当然、お前さんの行動目的も調査済みってわけよ。」


「では、私が迷い人という事も?」

「もちろん、そこが・・・それこそが我らがお前さんを読んだ理由じゃよ!

と言うのも、我々も調べておるんじゃよ。勇者伝説を!」


! これは驚きだ。国家が400年前の勇者伝説について調べているなんて。

どういうことだ?

「私が聞くのもおかしな話ですが、何故?」

「それはな・・・わしらの国は伝説の勇者が作った国だからじゃ!」

勇者が・・・作った国!?


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