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海の横道

うっそうとする草原の中を硬い金属と木材がこすれあう音を出しながら、駆けてゆく。

目の前には二つの景色が続いている。

右手には急激な丘陵になっており、もう一方は海だ。若い女性が馬車から落ちそうなほど身を乗り出して、海を眺めている。


大変立派な馬車なので、これまた立派な馬が引いているかと思うが、一向に蹄鉄が地面を蹴る音は聞こえてこない。

どころかゴロゴロと聞いたことないような、いや馬車についている車輪の音に似ているか?

とにかくそんなような音を立てながら、異常な速さで進んでいた。


「あれが、噂の魔導三輪か・・・思ったより小さいな。だけど後ろにあんな大きな馬車を引くなんて、とてつもない力だ。」


周辺で警備を行っていた兵が馬車が通り過ぎるのを見ていた。

兵の判断では目立った戦闘の意思はない。移動している物は大きいが載っている人はおそらく3人だろう。

となると、噂の冒険者の一団だ。


リーダーを努めている男は魔術使いでとてつもなく強い。

しかし本人はそのことを自覚しておらず、脇が甘い。何故か400年前に存在した勇者伝説について調べているそうだ。

他の2人は砂漠の街で一緒に旅をするようになった者達で、目立った戦闘能力は無い。

一人は高い情報収集能力を持っていて魔術使いのサポートをしているそうだ。

もう一人は若く、回復の魔石を得意としていると聞いているが総合能力では、ひいでた能力は無いとされている。

一部ではかなり整った容姿をしているので夜の相手ではないかとも噂されている。


しかし、この兵士は女の格好を一目見た時には、その噂が嘘である事に気づいたという。

身なりが非常に綺麗でそう言う事をしている者によくある格好をしていなかったためである。

全く、こんな忙しい時期に変な姿形で国に入らないでもらいたいものだ。安全かどうかの判断に、裏どりまで忙しいのだから・・・

ひとまず、大きい脅威ではないと判断した兵士は、早馬で昼夜を問わず走った。

兵士は思う。

こうゆうとき距離に関係なく、連絡を取れる手段があったらいいのにと・・・


そう言えば子供の時から友人の一人が親方に雇われて本殿で研究をしていたな・・・今度うまいことできないか話してみるか・・・


場面変わって、いつもより遅めに移動しているいつもの一団。リルカが海を見ているからだ。

「なあ、タロウ、その車輪から出てる音大きくなってねぇか?」

コイルは馬車の中からこちらに向かって話しかけてくる。確かに車軸とそれを支えている部品のこすれる音が大きくなっているような気がする。


この機体は初期型のため、ベアリングの性能が低く、軸部分がすぐに大きく削れてしまうのだ。それで大きな音を出すようになる。

そろそろ次の交換の時期かな・・・次の交換の予定を薄っすらと考えていた。

ここら辺一帯は野盗もおらず、亜獣もいない非常に安全な地帯で定期的な探査魔術だけでいいのだ。


一応道はできているが、ほとんどこの道を使う人がいないのだ。

次の町まで行くのにこの道は回り道だ。

そんなほとんど人が通らないような道には野盗もいる意味がないのだ。

それでもこの道を選んだのは海を見れるからだ。

リルカは海を見たがっていたからな・・・この道を選んで正解だった。

せっかくだしどこかで休憩しようか。


ところで、目立った水分を補給できる場所がない。

そんな場所を大型の馬車で長期間、旅をすれば水分が足りないのである。しかし、それは馬を使った場合である。

そこは俺達と違う点だ。

こちらは魔導三輪の能力にものを言わせ、かなりのスピードで移動し、もう街の目の前まで迫っていた。

そのせいもあってか、部品の消耗が激しい。


次の街に行ったら色々買い足さなくては…しかし、資金が結構苦しいな…しばらくギルドで依頼をこなす必要もありそうだ。

やはり、品質が良くないからかな・・・次から次へと課題が出てくる。

アラスオートの魔獣討伐で獲得した資金は部品や食料で意外と使っており余裕がない。


それにしても、本当に何もないな。経験上人が通った後なら、分かるようになったのだが、その後もない。ここ数日の間に誰もこの道を通ってない事がわかった。

それには理由があった。

これから行く先、ニッホン連合国は天守人とかいう存在によって、鎖国されており外国勢力とあまり交流を持たないのだ。


どうしてそのような事を行っているのかは余り知られていない。もちろん、俺達も知らないのだ。

ただ歴史的に昔からこのような政策を繰り返していた。意外と意味もなく継続しているのかもしれない。


後、一日もあれば、街に入るだろう。

その日も特に問題になるようなことが無く、順調に道のりを進んだのであった。


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