だ
本当に等しく受け取ってもらえるのかしらね?私が持ってきたものも顔色を変えずに受け取ってくれるなら大したものだけれど。
美しいものが好きだと言ってた殿下が気にいるとは思えない。むしろなぜこんなものをと言われそう。ああ、忘れていなければ、もっとましな……。
あれ?忘れてなかったら、何を持ってくればよかったのかな?うちの領地、薪と竹製品しか売りがないけれど?
「ランディー殿下のために、殿下の瞳の色と同じ宝石、その中でも飛び切り透明度が高く光輝くものを選び抜いてお持ちいたしましたわ」
一人目が、1つめのテーブルの上に置いた手のひらに載るほどの箱のふたを開いた。
「これはすばらしいね、ありがとう子猫ちゃん。だけれど、私の瞳の方が、宝石よりも綺麗だろう?」
何をいうか、チャラ殿下……。って、見つめられてこくこく首振り人形のように首を縦に振り続ける公爵令嬢……。
自分の瞳のが宝石より綺麗と言い切る殿下もすごいが……。持ってきた宝石に目が釘付けだよ。美しさもさることながら大きさもすごい。
一体いくらするんだろうか……。
「子猫ちゃんの領地では宝石が取れるんだということがよくわかったよ、私の瞳の色以外にも美しい僕の子猫ちゃんたちの瞳の色の宝石はとれないのかい?」
「あ、はい、色々取れます」
「そう、じゃぁ、今度は私が子猫ちゃんの瞳の色の宝石を買ってプレゼントしようかな」
にこっと笑うチャラ殿下。
また、無駄遣いしようってのか!思わずイライラとしてしまう。
次のご令嬢が待つテーブルへと殿下が移動する。
「おや、これは服だね」
「はい。恐れながら、先日殿下にプレゼントしていただいたドレスと同じ色に染め上げたシルクで仕立てました」
テーブルの上には紳士服が何着かおかれている。礼服とガウンとシャツと。どれもスカイブルーに染められている。
「子猫ちゃんのドレスと同じ色なんだねぇ。二人で並んだ姿は絵になるだろうね」
殿下が満足げにほほ笑み、服に手を伸ばした。
「上等なシルクだ。君の領地の産業?」
「はい」
恭しく頭を下げるご令嬢。
「あら、おかしいですわね。確か彼女の領地の特産品はじゃがいもで、シルクは国内流通量の本の数パーセントにも満たなかったのでは?」
「やだわ。ジャガイモを殿下にプレゼントするのが恥ずかしくてまるでだますようなことを」
別のご令嬢たちのつぶやきが聞こえたのか、シルクの服を持参したご令嬢が顔色を悪くする。




