わすれてた
おや?ファエカ様も荷物を?
もしかして私への手土産?気が合う!と一瞬喜んだものの、ファエカ様の言葉で固まった。
「ミリアージュ様は殿下への贈り物はそれですの?」
と、手荷物竹かごを指さした。
「!」
で、殿下への、贈りもの?
うわーーーーっ!
すっかり、忘れてた!そうだった、そうだったぁぁぁ!
「竹が産物だと言っていましたものね。その籠も竹から作ったものですのね。そうして布で飾るとかわいいですわね」
ファエカ様の言葉にあいまいにほほ笑む。
心の中では嵐が吹きすさんでいる。いやぁ、本当に忘れてた。
何か忘れたような気がしてたはずだ。そして、入り口で荷物をそのままお持ちくださいと言うはずだ。
今日はみな、殿下へのプレゼントを持参で集まることになってたんだ。
ど、どうしようか……。
ファエカ様にと持ってきたこれをプレゼントするしかないか……。
「中には何が入っているんですの?」
ファエカ様に尋ねられ、少し上にかぶせてある布をめくって見せた。
「え?えーっと……」
ファエカ様が絶句する。
そうだよねぇ。殿下への贈り物……というには、なんとういか、見た目は地味を通り越して汚らしいというか。華やかさゼロ。
まぁ、それをファエカ様に手渡そうとしていたわけだけど、使い道を教えてら喜んでもらえると思ったからで。しかし、実用品だからね。実用品。殿下が使うわけないよね。不敬だ!とは言わないだろうけれど……。
ああ、もう、仕方がない。せっかくだ。殿下ではなくて周りの人にアピールできるだけしよう。
うん。なんていうの?販路確保のいい機会だと思おう。幸いにして、公爵家ご令嬢やら伯爵家ご令嬢やら、そうそう宰相もいる場だし。一人くらいは「いいですわね」と価値を認めてくれて買い手がつくかもしれない。
ぶっちゃけ、使ってもらえれば良さは分かってもらえると思っている。
……チャラ皇太子は全く興味を示してくれなかったとしても。
となれば、実際に目の前で実演したほうがいいのかな?肉とかあれば良さがわかってもらえるんだけれど、流石にそれは無理かなぁ?
「子猫ちゃんたちに会えるのを待ちわびたよ」
定時になり、皇太子チャラ男殿下が……おっと、呼び方、呼び方、いらっしゃった。
「今日は、子猫ちゃんたちは私にプレゼントがあると聞いてね」
は?持ってこいと命じたのはそっちだよね。……忘れてたけれど。
「とても楽しみだよ。抱えきれないから、テーブルにみんな置いてくれる?等しく受けとるからね」
ニコニコと笑っている殿下。
等しくねぇ。




