でき
屋台で使えそうだし食堂でも使えそうだ。一般家庭では料理よりも冬場の暖を取るのに適してそう。なんせ、暖炉いらずなので、暖炉のない部屋を温めることができる。それってすごいことだ。
暖炉ほどではないが、黒い竹を入れた鉢か鍋などを置く場所さえ確保してしまえば、火事の心配なく部屋の中で火が使える。
宿屋で愛用されるかもしれない。
暖炉のあるお屋敷に住む貴族にもメリットはある。足元が冷えるときにテーブルの下に置いて食事をすることができる。
どれくらいの量でどれくらいの時間持つのか、どれくらいの火力があるのか。
竹の形のままだと不便で、粉は危険で……。
もしかして、木で作ったほうが便利なんじゃ?あれ?そうすると、処理に困った竹の処分ということからずれて……。
と、とりあえずまずは竹ね。木でも作ってみるとして、比較して後でどうするか考えましょう。そうしましょう。
まだ、黒い竹を作る方法も確立できてないようだし。……どうやら5回に1回程度しか成功しないらしい。失敗したものは、灰になってしまっているか、色こそ黒っぽくなっているが、性質は黒い竹とはちがって、単なる燃えかけの竹の状態らしい。
……作るのが難しければ難しいほど……私には嬉しい。
領民たちの技能となるからだ。
技能……。
「黒い竹をさらに加工……できないかしら?」
便利な形状に……。
「考えてみましょう!」
「黒い竹を燃やすための入れ物も考えるといいな。上で料理ができるように」
「あと空気を送る穴もいるだろう」
「鍋も載せられるといいな」
領民たちがワイワイと話始めた。
うん。開発の続きは任せても大丈夫よね。ってことは、私があと考えることは……。
「販路」
よねぇ。
イニシャル入りのボタンはうまくネウスに売り込んで兵たちに愛用してもらえそうだとマールが言っていた。
黒い竹……。屋台に宿に……1件ずつ回って売り込むにしろ、今まで薪を扱ってくれていた業者に売り込むにしろ……王都へはしばらく行かないからまだ先になるわよね。
まったく。皇太子妃候補になんてなったせいで自由に王都へも行けないなんて。
まぁ、どちらにしても、まだ安定供給できるほど生産できないからいいけれど。うーん。逆に安定して供給できないことを逆手にとって希少品として売り込めないかしら?




