こうい
ここが図書館でよかった。外の明るい場所だったら、私の目が熱っぽいのがバレバレになっていたと思う。
「そうして、私のいいところを褒めてくれる……ディラもすごいよ……」
すごくて、大好き。
俺が考えたんだと手柄を横取りするような人がいた。
女は男を立てるものだから当然だと、力を貸した女性にお礼も言わない人もいた。
ディラはそういう人とは違う。それどころか……素直に、言葉にしてほめてくれる。
「だって、本当に……リアはすごいから……」
再びディラの手が私の頬に伸びる。
今度は、触れて。
ディラは、今どんな目をしている。ねぇ。
ディラ……。薄暗くて見えないの。……私と同じならいいのにと。そう思ってしまう愚かな自分がいるから。
だから、見えない瞳の熱を想像するくらいいいよね。
「ディラ」
好きという言葉の代わりに名前を呼ぶ。
「リア?」
ごくりとディアが唾を飲み込む音が聞こえた。
「そ、そうだ、えっと、リ、リアに、お土産があったんだ……」
ディラが急に踵を返して、テーブルの上の本を手に取った。
「あ、いや、リアにあげるわけには、いかないんだけれど……えーっと、ここの図書館の蔵書に……ほ、ほら、なんか技能の本を探していたから……」
ディラが持っていた本は3冊だ。
本が……3冊。
本はお金を出せば誰でも買うことができるような品ではない。もちろん、買うことができる本もある。
だけれど、本1冊はとても高価なため、流通量がとても少ない。欲しい内容の本を探そうと思っても伝手を頼りに何か月も見つからないこともある。
それなのに、教会図書館に寄贈する本が3冊も?あれから1か月とたっていないのに、見つかるはずがない。
本を手に入れる方法はもう一つある。図書館にある本を書き写して手に入れる方法だ。。人を雇って本を写させる者もいる。
「この本は、どこの所蔵だったもの?」
表紙が真新しいことから、きっと書き写した本だろう。
「ああ、王立図書館にあった本を、書き写したもので、大丈夫。どこかからか、盗んだわけでも、大金をはたいて、買ったものでも、ないから」
私……そんなこと聞いてないよ。
ディラがどこかから盗んだなんて思ってない。
お金をどんどん使ってほしいものを手に入れる浪費家だとも思ってない。
違うよ、ディラ……。
王立図書館に入る資格がある者の中でも、雇った人間を図書館に入れる許可をもらえる者は……ごくわずか。
やっぱり、ディラは……。高位貴族なんだ……。




