とま
「えっと、ありがと……」
「ネウスには、ボタンについて聞いていたの。刺繍の代わりにボタンを縫い付けるのは役にたつかと」
ポケットからネウスに見せたボタンを取り出して見せる。
「これ」
「あ、あれ?手を握ってたんじゃなくて、それを渡して……え?あ、ごめん、誤解……」
ディラが恥ずかしそうに顔を染めた。
「ねぇ、ディラ、それより見せたいものがあるの!」
ディラに布の包みを見せる。
図書館に入るとあいかわらずカイが何か読んでいた。
「あの子たちを呼んできて。計算ゲームをまたしましょう!」
「え?ゲーム?あ、それより、リア、あの」
何か言いたそうなディラの言葉が始まる前に、カイが孤児院からこの間計算ゲームをした二人を呼んできてくれた。
ネウスにも声をかけようかと思ったけれど、もしかしたらヤードと話の途中かもしれないと思って、このメンバーでお披露目会をすることにした。
「じゃーん、見て!」
布包みをほどいて、竹算盤を机の上に置く。
「何これ?」
「すげー」
「これは?」
子供たちが顔を近づけて竹算盤を興味深げに見た。
「ほら、この間竹串で計算してたでしょ?それをもう少し使いやすくできないかと思って作ってみた……じゃない、相談したら、作ってくれたの」
こうして使うのよと、5つ1つの方を手に取り、すべてのボタンを下に落とす。
「例えば、272+348ならこうね」
パチンパチンと、ボタンを動かして答えを導き出す。
「ああ、竹串と使い方は一緒だ」
「これなら、途中で串が転がってどっか行っちゃうことも、手ではじいて隣の竹串がいくつだったか分からなくなることもなくなる!」
カイが10この方の竹算盤を手にとった。
「こちらは、計算になれていない子でも分かりやすくて使いやすそうですね」
と、ボタンを動かしている。
子供たちが楽しそうに竹算盤を触っているのに、ディラだけはじっとただその様子を見ているだけだ。
「どうかな?」
ディラの顔を覗き込むと、目がキラキラしてた。
「欲しい」
「本当?」
よかった。そう言ってもらえて。
貴族であろうディラが欲しがるということは、きっと売れるよね。売り物になる。子供のおもちゃだ役に立たないと思われては駄目だもの。
「残念だけれど、これは上げられないの」
「あ、ごめん、これをくれと、言ったわけでは……」
ディラがハッと口を押える。
貴族ならば庶民から金にものを言わせて取り上げるなんて簡単だ。




