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「そ、それに、候補は10名もいるのよ。調査するにしても、もう少し人を絞ってからするんじゃない?……だから、ディラもネウスも調査員じゃないと思う」
ディラが調査のために自分を偽って演技をしているとは信じたくない。
あれが……偽りだと思いたくない。
「もしかしてもう絞られている可能性もありますよ。ミリアージュ様がその対象かもしれませんし」
「はぁ?そんなことあるわけないじゃないっ!そもそも、私はアレと結婚なんてしたくないよわ!」
思わず叫んでしまい、いくら馬車の中でも不敬すぎるかとも思ったけれど、アレと伏せたからセーフだよね、セーフだよね。
「……知っていますけれど。確率は10分の1ですからミリアージュ様が結婚したいしたくないは関係なく、もし選ばれたらも考えないといけないと……」
きゅ、急にマールはなんてこと言い出すの。
ああ、でも、確かにそうだ。ディラは調査員じゃないと思うけれど、調査員が付けられるかもしれない立場だということには間違いない。
……選ばれる可能性はゼロというわけではない。
「それに……ミリアージュ様、その確率を上げる方法があることに気が付いてしまったんです」
「え?確率なんて上げたくないわよ!」
マールが真剣な顔で首を横に振った。
「ミリアージュ様がじゃないです。他の……皇太子妃になりたい人が、自分が選ばれる確率を上げる方法……ミリアージュ様にも関係する」
え?
「魅力をアピールするとか、根回しするとかじゃなく?私に、関係す……」
そこまで口にして、マールが何を言いたいのか気が付いた。
「候補が、減ればいいってこと……ね」
辞退はできない。王家に逆らうことはできないから。辞退させられないのに、候補を減らすなんて……。
「命を狙われる」
ぼそりと口にする。そこまでするだろうか。いや、するかもしれない。……そして、もし命を狙われたとしても犯人は見つからないように口封じもできる立場にある者もいる。……お金と裏の組織とのつながりと周りを黙らせるだけの地位と……。
「いえ、流石に皇太子妃候補殺害までは至らないとは思いますが……皇太子妃としてふさわしくない状態に、襲われる可能性はあるかもしれん」
清い体でなくなるか、美しさを損なうために体や傷に醜い傷を負わされるか……。
「ないとも言えないわね……」
しかも、私一人の時に襲われるとはかぎらない。武器を持った人間が孤児院にでも現れたら子供たちも危険にさらしちゃうことになる。




