ああ
くりくりの髪に、濃いめの肌にはそばかす。眉尻が垂れた弱そうな印象の眉。あら、だけれど、よく見ればかなりいい顔をしてるような……。
「ネウス、彼らに、剣の基本的な動きとマナーを教えてやってくれないか」
突然のディラの言葉に、ネウスが大きな口を開いた。
「は?ラン……あ、ディラは何を突然、どうして、私が彼らに剣とマナーを?」
ディラがネウスに笑いかける。
「彼らの、すごいところは計算が早いだけではない。読み書きができる上に」
ディラがもったいぶって言葉を区切る。
「裁縫も得意なんだ」
それを聞いてネウスさんの目の色が変わった。
「それは、本当ですか?男の子なのに、裁縫が得意というのは?それは、なんと……なんと……」
あまりのネウスさんの興奮した様子に、子供たちが後ろに後ずさる。
「素晴らしい!それは素晴らしい!わかりました。剣の基本的な動きとマナー、それさえ学べば試験を通るでしょう」
は?試験?
「泣いて喜びますよ。ええ、皆が泣いて喜ぶでしょう」
皆って誰?泣いてまで喜ぶってどういうこと?
首をかしげる。
ディラが少々おびえた様子の子供たちに笑いかける。
「嫌だったら、言ってほしい。兵の採用試験を受けて兵にならないか?」
兵?
「この子たちを兵にするっていうことですか?」
ネウスさんがディラの代わりに説明を続けてくれた。
「兵といっても一般兵とは違って、支援部隊、つまり隊の雑用係という立場になると思います。なんせ、兵たちは体力や筋肉自慢は多いですが、いかんせん、こっちの方が……」
ネウスさんが頭を指さしてこっちと言った。
「頭が悪いわけではなくても、椅子に座っていられない性分のものが多くて。書類は貯まる、計算は間違いだらけ。訓練なんかで穴が開いた服の穴が開きっぱなし……。縫物を頼んだ女性は兵舎の汗臭い男たちに恐怖して2日でいなくなる……。それから問題なのは、洗濯物なんです」
洗濯も、雑用係の仕事?
「兵たちの洗濯物は城でしてもらえるんですが、持ち主が分かるように名前を刺繍する決まりになっているんですが……」
名前の刺繍なんて、ハードル高いですね……。
「制服はいいんですよ。支給されるときにすでに刺繍されてきますから。問題は、中に着るシャツ……いえ、シャツまでは誰かにお願いすることができるんですが……その、それ以外の、他人と共有したくないものに限って……」
ああ、下着とか、靴下とか。女性に刺繍は頼みにくい上に、ほかの人と共有はしたくないですよねぇ。どうしてるんだろう。
乙女な小説が書けない……下着問題が出てくる乙女小説など……世の中にあるはずが……ぐば




