こど
そう、もらえる布というのは、実はお城だ。騎士の制服は、修復できないような穴が開いたり破れたりしたら破棄される。偽の騎士が現れないよう切り刻んで捨てられるのだ。それを、貰っている。
「ああ、そうだ。騎士の制服の色にそっくりだ」
ぎくぎくっ。
やばい。こっそりごみ捨て場から横流ししてもらってるのがばれちゃう。……まぁ、私だけじゃないんだけど。騎士は容姿にも優れ家柄もよく人気のある人が多い。つまり、ファンが多くて、女子たちには人気の端切れだ。なんとか様が新しい制服になったなんて時には破棄された布切れはなんとか様が身に着けたものかもしれないと取り合いになるらしい……。
「縫物ができると、サリーのようにお針子として就職もできるでしょう?だから、練習させてるんだけれど、文字を刺繍すれば、文字も覚えられて一石二鳥なの。さらに、その文字が刺繍されたハンカチは持ち歩くこともできて、文字を覚えようとしている子たちにはとても役にたつのよ」
少し早口になってしまうのは仕方がない。話題をそらしたいのだから。
「僕もこれで文字を覚えたんだ」
カイがにこりと笑う。
「ふふっつ、はじめは、ハンカチを広げて横に置いて本を読み始めたのよね。あれはカイが3歳のころだったかしら。っていうことは、サリーがこれを縫ったのは、6さいこのろね」
カイが広げたままのハンカチに再び視線を向ける。
「これが、6歳……?」
ふふ、ディラが素直に関心しているようだ。
我が子を褒めらえているようでうれしい。
「そう。8つになるころには縫物の腕はプロ並みだし、文字は覚えてしまった。いつまでも練習をしているだけじゃもったいないと思って、刺しゅう入りのハンカチを売ってみたら、目に留まってお針子として就職できたのよ。半年前ね。たった半年でお城での仕事の手伝いに駆り出されるんだから、すごいでしょ?」
ついつい自慢げに話を続けてしまう。
ディラはそれもうっとおしがらずに聞いてくれてる。
「ほかの子は?」
ディラがハンカチを丁寧にたたんでカイに返しながら私の顔を見る。
ああ、ちゃんとたたんで返すっていう、なんてことない仕草なんだけれど、いいひとだなぁ。
ほかの子もすごいのかって質問かな?
「皆いい子よ。この間本を読んであげた時に集まった子と、その時ここにいたカイと、あと2人。食事の準備の手伝いをしていて出てこなかった年長の子たちがいるわ」
「年長の子、仕事は?」
ああ、それを聞きたかったのか。私ったら、いい子だなんて頓珍漢な答えをしてしまった。




