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0.プロローグ

 ユニレグニカ帝国の第八代皇帝が崩御なされた。享年四十五歳の早すぎる死であった。

 真っ黒なフードを深く被った官吏が、その訃報を王都中に知らせるべく、馬で駆け回っている。


 ユニレグニカ帝国に安定と繁栄をもたらした偉大な皇帝の突然の流行病での死。


 帝国臣民たちは皇帝の死を嘆き悲しみ、帝国からの布告を待つまでもなく、自主的に喪に服し始めた。

 帝国の威信をかけての国葬が行われる。すべての葬儀が滞りなく終え、第八代皇帝の亡骸は霊廟へと葬られた。


 四十九日の喪に服した後、第九代皇帝の座についたのは、皇帝の長子であるマクドナルド・ジョージ・ジュニアであった。


 新皇帝は、二十二歳という若さにして、敵対国からは”炎龍”と恐れられる猛将。先代皇帝から受け継いだ真っ赤な髪と、壮健な肉体。そして、若くして亡くなった王妃から受け継いだ美貌。


 マクドナルド・ジョージ・ジュニアの初陣は十五歳。自ら志願し、後方兵站を指揮した。 後方にいながら、まるで戦場全体を俯瞰しているかのような適格迅速な食料、弓矢の輸送で、知将としての名声を確立した。また、後方部隊でありながら味方の窮地を救い、武勲もあげた。

 十八歳からは王国との戦争の最前線で指揮を行い、奇襲、攻城戦、包囲線、殲滅戦とあらゆる状況下でも勝利をおさめた。皇帝は、帝国軍最高指揮官である。軍部からの信頼も厚い皇帝の即位。


 神は惜しみなく第八代皇帝に恩寵を与えた。


 十九歳で、八代皇帝から王国との講和の締結の全権を委任され、見事に、多額の賠償金と、王国の領地を割譲せしめた。

 それから二年間で王国から奪い取った領土を復興させ、統治者としての手腕を発揮した。


 戦争をすれば常勝。内政をさせれば老腕の大臣が舌を巻くほどの手腕。そして、血統も、先代皇帝と王妃の長子。


 マクドナルド・ジョージ・ジュニアが、第九代皇帝に即位することに、皇帝に権力が集中することを嫌う貴族派も諸手を挙げて賛成するしかなかったほどある。



 しかし、マクドナルド・ジョージ・ジュニア皇帝には、一つだけ問題があった……。


 それは、マクドナルド・ジョージ・ジュニアに婚約者がいないことであった。


 しかし、それは仕方が無いことでもあった。

 十五歳から戦争や政務を精力的におこなっており、舞踏会などに参加する時間はなかったのである。また、八代皇帝の治世が二十年は続くであろうと帝国の誰もが思っていたのである。


 マクドナルド・ジョージ・ジュニア新皇帝とて、王妃が不在であること。また、跡継ぎがいないという問題が如何に深刻であるかを知っていた。


 そして……マクドナルド・ジョージ・ジュニアがユニレグニカ帝国第九代皇帝となって、最初の勅令が出された。


『朕、妃を欲す。未婚の貴族子女は須く王城での舞踏会に参加すべし』


 ユニレグニカ帝国挙げての、皇帝の妃探しが始めるのであった……。


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