ブルーベリーケーキ
ブルーベリーケーキを久々に見かけた。
ベリーの酸味は好物なので、私はまたブルーベリーケーキを味わいたくなった。
はじめからブルーベリーケーキを食べるつもりはなかったけど、あるなら食べたい。
私が話しかけると、ブルーベリーケーキは嬉しそうに私に近づいてきた。
冷たい場所で保管されていたブルーベリーケーキは綺麗で汚れてなくて、無性に私を腹立たせた。
私はブルーベリーケーキに会う前に様々な苦労があったのに、ブルーベリーケーキは傷つくことなく生きてきたのだ。
私はブルーベリーケーキを殴りたかったが、殴ってブルーベリーケーキに嫌われるのは嫌だ。
笑顔で我慢する道を選ぶ。
ブルーベリーケーキはケーキだからか脳みそがない。
私の気持ちなど何一つわからないのだ。
ブルーベリーケーキと交際を初めて、十年。
私は結婚をしたかったが、私は人間だからブルーベリーケーキとは結婚ができない。
はじめから理解していた事だけど、そういう理屈ではないのだ。
結婚できない事は仕方ないにしても、ブルーベリーケーキのために結婚を諦めた私に、ブルーベリーケーキはそれに見合うほど尽くしてくれてるのだろうか。
私はブルーベリーケーキをゴミ箱に捨てたくなったが、捨ててブルーベリーケーキを失うのは嫌だ。
私は今日もブルーベリーケーキのために我慢をする。
ブルーベリーケーキは私のために何も我慢をしないのに。
ブルーベリーケーキのせいで悲しい私は、ブルーベリーケーキを傷付ける権利がある。
私はブルーベリーケーキにケーキのくせにと吐き捨てた。
ブルーベリーケーキは、ケーキだから私の言葉で何一つ傷つかない。