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第58話 伴出、検索される

「ルーシーさんはまだ部屋に籠もってるのですか?」

 椅子に座り足をプラプラさせながらパトリシアが聞く。退屈なのだ。

「ああ。体調が悪いわけではないようですから大丈夫ですよ」

「一体なにがそんなにショックだったんですか? 『尾道(おのみち)』を『尿道』と間違えるぐらい元気がなかったですが」

「さあ?」

 サワキ達は宿泊施設に戻っていた。後で話があるとセリーナに言われたので一応揃っていることにしたがルーシーは不在だ。

「そろそろ教えてくださいませんか? 私が見たあの港の先にはいったいなにがあるんですか?」

 パトリシアがサワキに質問する。

「これからその説明があるんじゃないですかね? まあ正確に教えてもらえるわけでもないでしょうけど」

「だから、です。あなたの予想を教えてくださいと言っているんですよ」

 少し苛立ってパトリシアが話を促す。

「ああ、そういう······えーと、おそらくはこの町のメモリーの具現ですね。大きさからして乗り物です。あ、これ、ありがとうございました」

 サワキがパトリシアのつくった地図を広げる。

「······ずいぶんキレイに使ってくれたんですね」

 皮肉ではない。パトリシアの地図は戦闘の後だというのに大したダメージは見られなかった。

「かなり出来のいい地図でしたので。一生懸命つくられたのでしょう。セルディーにはこの辺りの情報がない、大切な功業です」

「······!」

「例のここ、パトリシアさんが地図に描き、オレが注目し、戦いになった所のこれ。地図にある形状ならおそらく船渠(ドツク)でしょう」

「ああ、なるほど、海賊船があるってことですか?」

「んー、まあ、そうです」

「煮えきらない答えですね」

「あのときオレは斥候を発見しました。あれは彼らが動いていたからわかったんですが、同時に他の木々や草が動いてなかったからなんです。あそこは湾の奥になっていて、地形的には高い崖の影になります」

「要点をはよ言え」

「······あの場所は風が弱くて水深が浅いので特に帆船のドックには不向きなんです」

「ああ。でも、海賊船なら隠してるんじゃ?」

「ええ、本来の海賊船ならそうです。しかしここは厳密には賊行為のために武装をしているわけじゃありません。ある程度の示威はむしろ必要なのです。なのに隠している」

「そんなにおかしいのですか?」

「隠しているのに斥候にはバレており、しかもデスガエルなんてヘンテコな兵器に乗って強行偵察に出てきているんですよ? 隠された海賊船を見るためにそこまでしますか?」

「あー······ではなんだと?」

「隠し持っていること自体が示威になる秘密兵器です。そしてそれは船だが帆船ではない。このサイ国あたりでなにか······そう、魔力を動力源にした船の技術は一般にはありますか?」

「船かはわかりませんが、国王のもと開発中の巨大魔法機械があったりするという噂ぐらいは聞きますね。まあ、それも眉唾ですが。一般では一部に魔法技術を使ってはいますが大きな船となるとやはりメインは帆船です」

「では、やはりそれらにアドバンテージを取れる船でしょう」

「つまりサワキさんは動力源をもつ船があると?」

「わかりません。少し違うかもしれません」

 そんなことを話していると部屋の扉がノックされた。

 来たのはセリーナだったが、補佐的立場であるジガンを連れてきていた。もちろんジガンのことなど誰も覚えてはいないであろうから、そこは第49話あたり参照されたい。


 セリーナが持ってきた話は船を出してもいいという話であったが、有料であるという内容だった。

 その価格、なんと一人200万ネイである。


「へえ、そこそこしますね」

「た、高すぎる。高杉晋作だ」

「うわ最悪······」

「まあ、危険があるのでね」

 セリーナはあくまで優雅な態度である。

「あなたサワキさんを高く買ってた割にはふっかけるんですね? 海賊は絆や友情には熱そうというのはさすがにただのイメージだったのでしょうか」

「んー、それは知らないけど、欲しいものは力付くで手に入れるタチではあるね」

「はい? それってどういう意味なのですか?」

「払えないなら体を差し出せ、サワキ」

「······ちょちょちょちょちょちょちょ待ってください! えぇ!? ちょっとセリーナさん、体って、ええ!? BL!? 払えないなら体でって······『極道モノ』で『オレ様』で『スパダリ』で『親友』で『ヤンデレ』で『ドS』で『独占欲』でなんなら『甘々』の『調教』ってことですかあ!?」

「落ち着いてくださいパトリシアさん、好みのジャンルを検索しているわけじゃないので······」

「で、でもですよ、セリーナさんはサワキさんのことを······」

「これ前回やらなかったっけ? セリーナは······」

 サワキがその先を口にしようとしたとき、扉がのれでもかという勢いで開かれた。なんならちょっとなにかしらの破片が飛んだ。


「たのもーですにゃああぁ!! パトリシアさん、『タワー』の建て方を教えてくださいですにゃああぁぁ!!」


 ルーシーである。ルーシーが元気いっぱいに部屋にインしたのであった。

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