第56話 伴出、叱る
脆弱な部分を深く抉られたデスガエルは大きく振動しその動きを完全に止めた。
「やりましたにゃ! さっすがセリーナさんですにゃ! お見事でございますにゃ!」
ルーシーのそれはいまにもゴロゴロという音が聞こえてきそうな見事な媚びであったという。
「まあその使いにくそうな剣をそこまで自在に操るのはすごいかもですね」
パトリシアも中々の褒めっぷりだ。
「みーんなー、オレオレ、オレもいるよー」
デスガエルの顔面にへばりついたまま手を振るサワキ。
「エレ様も相当な実力者であらせられるのに今回見物に回られていたのは俺をお試しになられたと思ってよろしいのかな?」
「誰がミの国の王女ですか、ピンクなだけでしょ」
「くそうオレはいないものとされているな······くっ!!」
無視されて拗ねたかと思ったら、サワキはそのままデスガエルの操縦席に貫手を入れ、キャノピーを引き剥がした。
「······さっきの光弾といい、あの怪力といい、サワキバンデはいったい?」
セリーナが訝しがる。
「いえ、怪力じゃありませんにゃ。あのデスガエルも魔法技術でつくられているからですにゃ。サワキくんは魔力をかき消す異質な能力があるらしいんですにゃ」
「ほう······ふふっ、やっぱり面白い男だ」
「セリーナさんセリーナさん、サワキさんはおでこから頭頂部にかけても面白いんですよ」
「聞こえてるからな桃色マザロリコン」
サワキが操縦席から人間を二人引きずり出した。上司が抵抗しようとしたもののサワキに掴まれて鎧の機能も停止したためまともに動けないようだった。
「消えて逃げようったってそうはいかんからな」
駆け寄ってきたルーシーが斥候の部下を受け取る。部下は衝撃で気絶しているようだった。サワキは上司を引っ張り、デスガエルから離れる。
すると、ちょうど離れきったところでデスガエルが爆発した。
その煙は高く上がって、髑髏の形を描いた。
「ブワハハハハ! タツノコかて!!」
それを見たパトリシアが一人で爆笑した。
・ ・ ・
「う、うーん······」
どれくらいたったのか、斥候の部下が目覚めた。
「目が覚めたかね? ジーン伍長」
横には剣を構えたセリーナ。そして眼の前にはサワキ達。
「デニム曹長は預かった。人質だよ。彼を無事に返してほしければ君たちの親玉に報告し、しかるべき人物に交渉の席につかせるのだな」
斥候に話すサワキは腕組みをしていて素敵な態度だ。
「は?」
斥候は思わず声を出した。
「は? じゃないにゃよ伍長! 相手がザクなら人間じゃないんですにゃよ!」
「いや、何言って······」
「デニム曹長も新兵がおさえられないとは思いもよらなかったでしょう」
猫とピンクがサワキに被せてきた。
「いや、あの、俺はケールって名前で従者だし、その人はセルファっていう騎士様だぜ。ジーンやデニムって······」
状況がよくわからないジーンあらためケール氏は素直に感想を伝える。
「つべこべつべこべと、何故ごめんなさいと言えんのだ!!!!!!!!!!!」
叫ぶサワキの剣幕はそれそれはすごいものだった。
「なんだこいつら······」
ケールは呆れ顔だ。
ともかくケールのことは開放するということで、本人は判断に迷っていたが、疲れた顔のセルファが目で行けと訴えていたので従うことにした。




