第41話 伴出、ため息をつく
コンデイトを出る際にもっとも不安だったのはパトリシアがどうやって出てくるかだった。
わざわざお付きの者もなくサワキを訪ねてくるのだからそれはお忍びとなると考えるのが自然というものだ。
しかし、想像に反して朝からコンデイトはパトリシアのお見送りが集まりガヤガヤとやかましくなっていた。
「うちは放任主義ですので堂々と行って大丈夫です」
パトリシアの言い分だ。
あの名前を忘れ、存在もほぼ覚えられていないであろう説明おじさんも来ており心配そうにパトリシアに色々と道中の注意をしていた。
サワキは集団の中にセイカを見つけると手を振った。
「例の『水晶ちゃん』から言付けダヨ。お気をつけて、だそうダヨ」
セイカの言葉を聞いてサワキは笑った。
* * *
「はぁ〜······」
「どうしたんですかサワキさん、さっきからバカでかいため息ばかり」
「ニャハァ〜······」
「ルーシーさんまで」
サワキ、ルーシー、パトリシアの三人はコンデイトを出てブレディール湖なる場所へ向かっていた。
ブレディール湖にはそのままブレディールという名の小さな港町があって、そこでシノファリオまで乗れる船を探すのが次の目的である。
それなりに距離はあったが思ったより道はなだらかで、しかも今は通りすがりの荷馬車に乗せてもらえているので楽も楽だった。
しかし、サワキとルーシーは暗い表情で延々とため息をついている。
「オティの剣を失ったのはたしかにお辛いでしょうね。そうだ! ブレディールについたら私がなにか武器をプレゼントしましょう!」
「違うんですにゃパトリシアさん······」
「あんな喋る呪いの剣どうでもいいんだよ······」
「え、さすがにどうでもよくはにゃいですけど」
「どうでもいいんだあんなの······」
「では、いったいなにが?」
「あー······ミーシャ頼む。説明する気力もおきないんだ······」
「ボクはルーシーですけどわかりましたにゃ。いいですかパトリシアさん」
「え、ええ」
「三が日の終わった1月4日から新作を発表したんですにゃ。全7話予定を一日1話更新、七日間行ったんですにゃ」
「さ、三が日? 新作?」
「七日目が終わった時点での合計PV、14だったんですにゃ······」
「ハァァ〜〜······」
「な、なんの話なのですか? PV?」
「閲覧数ですにゃ」
「よ、よくわかりませんけど、一日につき2ぐらいだったということですか?」
「それが公開初日のPVが8あったんですよ······」
「は、はあ。じゃあ、えーと、残りの六日間でPVというのが6?」
「ニャㇵァ〜······」
「一日につき1?」
「ンハァ〜······_(:3」∠)_」
「あ、あの、サワキさん、さすがに一行AAはどうかと······」
「我々も他人事じゃないですよ。8〜12話あたりの四話分ほどが『土葬』バトル編(仮)として、『水葬』バトル編(仮)は26〜36話の十話かかってるんですよ。土葬のときにテンポ悪いなってネタ使ったのにもっとテンポ悪くなってやがるんです。こんな調子じゃ明日は我が身ですよ」
「よ、よくわかりませんが仕方がないことなのではないですか? 一人でもその閲覧数? があるのはありがたいことですし、テンポ? も絶対のものではないでしょう。過去は変えられないのですから先のことを考えましょう。それらもきっといい経験になりますよ」
「そ、そうですよね! セーフですよね! 他にも2022年6月10日に公開したやつが2023年1月10日時点でPVゼロ、つまり半年間まったく誰も見ていないやつがあるんですけど、それは2話しかない短編だし他所でも公開してたやつだから問題ないですよね! 気にしなくていいですよね!」
「いくらなんでもどうかと思いますよそれ。さすがに引きました。単純に才能がないと思います」
「急に芯喰わないでくださいよ······トホホ、これじゃ実質ゼロの使い魔(MF文庫J)だよ」
「なにしれっといいように言ってるんですかにゃ。ゼロ魔はシリーズ累計発行部数680万部、こっちはロハでも閲覧者ゼロですにゃよ」
「これじゃゼロのサワキだよぉ」
「しかもサワキ君がルイズ役なんですかにゃ!? 自分の想定CV風間杜夫だとか抜かしてるのに!?」
「······」
パトリシアは旅についてきたことをちょっと後悔した。




