第38話 伴出、気にしない
「サワキちゃん。ミー個人としては感謝しているヨ」
コンデイトの宿屋にてサワキとルーシー、セイカは話をしていた。
救助をしているうちにとっくに日は登って、あれこれ処理をしているうちにまた夜となった。
セルディー家の面々は館に帰り、ラストファイターの二人ももう休んでいる。
「セルディーはそうでもないようだけどね」
ケケケと笑うサワキ。
「それについては理解を願いたい。実際に責任を問うような真似はしないようにミーが動くヨ」
「セイカさん、どうしてボク達があんな扱いを受けなきゃいけなかったんですかにゃ」
ルーシーはずっとぷりぷりしていた。
「蜂の巣をつついて結果を出せなきゃ世の中こうなんだよ」
「でもヨモギ夫人は自分だっていいように操られていましたにゃ」
「大人は自分を棚上げできる隙と立場があれば堂々と棚上げするの。相手を封殺しつつね。まあ、ヨモギ様はまだ子供だけど」
「変わって謝るヨ。申し訳なかった」
「やめてよセイカさん。ああは言ったけど別にヨモギ様を恨んじゃいないよ。あの人は自分の立場を守るためにあんな態度をとったんじゃない、立場上ああ言うしかなかっただけだ」
「ぶーぶー、納得できませんにゃ」
「過去にあのヴィクトリアが許可なく使われたんだろうというのはブラフだったが、当たっていたんだな」
「······ああ。だが、当時のセルディーには」
「ああ。ヨモギ様はいなかったんだろ?」
「あれ? なのにあの人あんなに動揺してたんですかにゃ?」
「セルディー当主としての自覚だよ。自分と本来は無関係な過去の出来事についても責任を負っているんだ。オレ達への態度もそういうことだよ」
「はー、そう考えるとえらいもんですにゃね。あの歳でそこまでするんですにゃね」
「だから怒ってないの。イヤだなとは思ってるけどね」
「······ヴィクトリアはコンデイトの防衛のために使われたんダヨ。それはあの塔にあるとされるある物を守るためのネ」
「あいつらが言っていたメモリーだとかいうやつかな?」
「そう。古代の、勇者がいた時代の記憶を残したものダヨ。その中には今はもう封印された技術が残されているとされているんダ」
「どうやらこの世界はそれを巡って小競り合いが今も続いてるようだな」
「そうダヨ。ただ、以前よりはマシになったんだ。現国王のおかげでね」
「強い統治者によってまとまりはしたのか」
「あ、これ今回も不人気回確定ですにゃ。世界設定とかのクッソつまんねぇ話ばっかしてますにゃ」
サワキ達が世界設定とかのクッソつまんねぇ話ばっかりしているとドアがノックされる音が聞こえた。
ルーシーとセイカは少しだけ身構えたが、サワキはだらりと座ったままだ。
「どうぞ、開いてますよ」
サワキの声の後入ってくる人の方も見もせずサワキは声をかけた。
「あー、どちらで? それとも両方ですかな? おつきの者はなしで?」
入ってきたのはフードを深くかぶった二人。
「まさか」
セイカが少し動揺する。
「こんばんは」
「お邪魔します」
フードの下から現れたのはピンクの髪。上品そうな顔立ちの双子。
「こんばんは、パトリック様、パトリシア様」
サワキは少しだけ立ち、頭を深く下げた。




