第三十一話 伴出、ねだる
「サワキちゃん、あの少女、何者なんダイ?」
セイカが斧を構えつつ質問する。
「さっきの光弾、魔力によるものだった。そしてオレが触れると動けなくなった。間違いない、あの子がメタルストラディオとかいうやつだろう」
「そういやマオも言ってましたにゃ! さっきまでいた入れ墨の女のことを『火葬』のドロッ○ル・ジュノー・フィアツェーンテス・ハイツレギスタ・フュルスティン・フォン・フリューゲルだかなんだか呼んでましたにゃ!」
「絶対言ってないネそれ」
「かわいいよねドロッセ○お嬢様」
「そしてあのモジャ公のことは『水葬』と! つまりあのフォアとかいう鎧男かホーリって少女が噂の鉄兵士ですにゃね!」
「まとめサンキュー!」
そうこうしていると鎧男のフォアが前に出てきた。
「もう貴様の実力はわかったオティ。いや、サワキだったか。まあいい。貴様、自分自身が勇者だと思うか?」
「勇者ってのがなんなのかよく知らないけど、みなさんご期待の人物らしいってのはわかるよ。だから、自分がそうとは思わないね」
「噂通りか。それが本心かは知らんが、どうだサワキよ、おまえが勇者ではないというのならばそのオティの剣をこちらに渡さないか?」
「悪いがこれは預かりものでね」
「なにかほしいものはないのか? 交換といこう。金はどうだ?」
「あ、じゃあ奇械田零士朗先生の『境界性少年』(茜新社・R18)ください」
「あんた病気ですにゃ」
「親友の不良(美男)のアナルが弱いようにオレは少年に弱いんだ」
「待ってくださいその説は初耳ですにゃ! 女騎士とかはよく聞きますけど親友の不良とか······あんたなにを口走ってるんですかにゃ!?」
「フン、まあいい。今日のところはこれで終わりだ。ホーリ、帰るぞ」
「うーん······」
まさにお人形さんといった姿のホーリが可愛らしく困ってみせる。
「ウチ、こっちのストラディオも見てみたいんだよね」
「······本来なら共鳴現象で起こすつもりだったが、どうやら勇者の剣に反応して起動したようだからな、わざわざ行かなくてもいいんだ。またにしよう」
「······うん」
「ではな『水葬』殿、我々は帰還する。始末をつけてきてくれよ」
ーーズドドドド!ーー
巨躯の鎧男であるはずのフォアをホーリが器用にかつ軽々しくおんぶしてみせると、足から火を吹きはじめ、あっという間に大空の彼方へすっ飛んでいったのだった。
「すげー! ジェットだジェット!」
クラッテンハイムは少し納得いかない顔をしている。
『······いっしょに戦う流れだっただろう!』
顔にはそう書いてあった。
「フォア、か······奴はいったい······」
サワキはジェットが飛んでいった空を見つめて呟いた。
「さあ密使クラレンス=クラッテンハイム! いや、『水葬』の修正者とやら! セルディーの混乱させた罪は重いヨ! 貴様たち『キルタイムコミュニケーション(仮)』の目的はなんダイ!」
「······ふう」
「答えタマエ!」
「そうだな、まず、ヨモギ=セルディーは解放してやろう。双頭竜の双子、貴様らの予想通りだ。奥方の体調は我が技によるものだが、もう目的は失敗、いや、達成した。用はない」
「ずいぶん素直だネ」
「だが、我ら『キルタイム(以下略)』あらため『ジーオーティー』の目的は明かすわけにはいんな」
「それcomicアンスリウム出してる出版社の名前だぞ」
「ぬぐぐ! まだそんな減らず口(?)を! いや、まあ、ともかくだ、その憎まれ口もここまでだ!」
「なに?」
「面倒だからな、ここですべての始末をつけてやろう!」
クラッテンハイムの手にはいつの間にか巨大なクリスタルのようなものが握られていた。
「話には聞いてるぞ勇者! 『土葬』のサジフの魔法を完封して叩きのめしたそうじゃないか! だが、私はサジフと違うぞ!」
クリスタルが輝きはじめる。
脈動し、空間そのものから鼓動が聞こえるような嫌な気配。
「光栄に思うがいい! 『水葬』のクラッテンハイムの真の姿を見れるのは、貴様らが最初で最後だ!!」
光が収束し、世界を蝕み始めた。
「······いけない!」
オーロラの濁流が爆発のように広がって、叫び声のような音を伴って魔力の奔流を起こした。
「おっすオラ沢木伴出! よくもクリリンまで殺しやがって、クラッテンハイム、オラ絶対おめえを許さねぇ!」
「ダメージを食らっても貴様らごとき片付けるのはわけないぞ! 次はその猫娘の番だ!」
次回、ドラゴンボ選ばれし勇者は異世界にて植毛す、『ついに変身!!伝説のリバイス水葬のクラッテンハイム!』
「ク、クラッテンハイムの姿が怒りで光の中に沈んでいきますにゃ!」
ぜってえ見てくれよな!




