表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/64

第二十六話 伴出、滑り込む

 塔の周囲では今にも血気に(はや)りそうな気配が漂っていた。

 セルディーのお家騒動は2つの勢力がゴチャ混ぜになって緊張を生んでいたのである。


 というか作者も経緯がよくわからんくなってきたのでここいらで少しまとめてみよう。




ーーー


 賢者の情報がほしいサワキはかつての勇者の痕跡があるというセルディー子爵を訪ねようとしていた。勇者をなぞればいずれは賢者にたどり着くらしかったからだ。

 ひょんなことからセルディー子爵家と縁深いセイカ・サンジオーを助けたことでセルディー家の出入りが可能となったがそこではお家騒動の真っ最中であった。

 セルディー子爵のショット氏が亡くなられ、今はその妻ヨモギが家をまとめていた。

 しかしその裏にはヨモギの生家であるシノファリオ家の影があり、その使者クラレンスが何事かを企んでいるようだった。

 はじめそれはシノファリオ家によるセルディー家の支配かと思われたが、そこに復活した魔王の影をサワキ達はとらえる。

 また、セルディー子息の双子との合流でヨモギにもまた謎があることらしいことが伝えられる。

 予想される敵の目的はセルディーが管理しているという古代兵器・鉄兵士メタルストラディオだ。

 今、クラレンスが招いた謎のゲストとセルディーの兵がストラディオを納める塔へ向かっており、そしてそれを食い止めんとセイカ達が向かい合う。サワキは一歩遅れて向かっている途中である。


 謎とスリルとワクワクが織りなす正統派異世界モノ『選ばれし勇者は異世界にて植毛する!』、どうですか出版社さん! これ! 売れますよきっと! どこからも声がかかってない今がチャンス! チャンスっていうかお願い! おねがいマイメ······


ーーー




 セイカから塔が見える。このコンデイトに設けられた塔で、中には国の宝があるという。

 古代の宝に詳しいというクラッテンハイムの連れだが、ヨモギのためというそれだけならそれでもよかった。しかし問題は、彼らから魔王の配下と思われる『修正者(リバイス)』の強い気配が感じられたことだった。

 セイカ達は塔に近づけない。塔はもうセルディーの兵に取り囲まれていたからだ。

「確認しますが、やはりあの塔にありマスか?」

 セイカがパトリックとパトリシアに質問する。

 敵が禁を破ってでも入ろうとしている塔にはなにがあるのか。

「そうです。あそこに古代兵器鉄兵士(メタルストラディオ)が保管されています」

 パトリシアが答える。

 現状出せる答えは単純かつ明確だった。

 技術に優れるシノファリオ家はすでに独自のストラディオを開発しているという。ヨモギ及びシノファリオの目的はこのアリイアで現代版メタルストラディオを所有しおそらくは戦力とすること。野心に燃えるシノファリオ家とヨモギはセルディー家を生贄に捧げて古代兵器メタルストラディオを回収しようとしている。目的は不明だが技術の解析かさもなくば直接的に戦力としてであろう。

 だから、それは防がねばならなかった。

 眼前ではその予想される計画が実行の真っ最中であった。

 つまり、セイカの前にセルディーの兵士たちがすでに揃っていたのだ。

 その奥にはクラッテンハイムとその客人、その奥には危機を察して独自の行動に出たセイカの教え子達、そしてその奥に塔があった。


 セイカ達は遅すぎた。


 セイカの手にある巨大な斧が強く握り込まれる。

 セイカの教え子はたしかに優秀で、精神面ではすでに戦士の第一歩を歩み出せていた。しかし、それでもやはりまだ若すぎた。命のやり取りをするには若すぎるのである。

 セルディーの兵士たちは必ずしもヨモギやクラッテンハイムの完全な手駒ではない。しかし、この状況を即座に解きほぐせるほどの味方ではない。

 つまり、セイカ達からすれば、多少の、いや、多々出る犠牲はやむを得ない。それはセイカ・サンジオーにとって苦渋の選択である。

 共にセルディーに仕える者同士、セルディーのために命を張る者同士、その共感を持つ命を奪い合わなければならないからだ。

 セイカにとっては教え子にはそれだけの価値があった。セイカにとっては教え子たちはまさしく自分の子そのものだったからだ。


「パトリシア様、パトリック様、申し訳ございまセン······」


 セイカの口から出た言葉にはそういう意味が込められていた。


 セイカが今にも足を踏み出そうとしたとき、セイカの目に驚くべき光景か広がった。


 今にも手を出さんとするクラッテンハイムとその客人。怯えながらも剣を構えるセイカの教え子たち。


 彼らの間に、とてつもない速度で、信じられない角度から、割って入る者たちがいたのだ。

 ギャリギャリと石の地面を削る音と舞い上がる埃。体勢を崩して半ば事故気味に滑り込むそれ。


「勇者······」


 思わずセイカは呟いていた。


「えーと、どう? 間に合った?」


 なにかよくわからない黒と白の塊に跨ったサワキがそこにはいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ