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間話 ある日 ~ サワキとルーシー ~

「あのさ」


「はいにゃ」


「ブーメランパンツってあるじゃない?」


「ええ、角度が急なやつですにゃ」


「あれさ、本当にブーメランにしてみたことがあるんだよ」


「ブーメランパンツなんか持ってたんですにゃ?」


「ああ、学校指定の水着がブーメランパンツなんだよ」


「珍しい気がしますにゃ」


「そうかな。それでさ」


「え?」


「うん?」


「え、そのブーメランパンツを本当にブーメランにしたんですにゃ?」


「そうそう」


「パンツですにゃ」


「パンツだよ。ブーメランだけどね」


「いや、パンツですにゃ」


「まあまあ」


「はあ」


「それでさ、勝負したのよ」


「勝負?」


「本物のブーメランと」


「はあ?」


「ブーメラン対ブーメランパンツ、どっちが本物のブーメランか」


「答えは決まってますにゃ。ブーメランですにゃ、ブーメランが本物ですにゃ」


「パンツの方?」


「え? いや、パンツじゃない方ですにゃ」


「なんで?」


「なにが?」


「なんでやる前から決めつけちゃうの?」


「え、いや……」


「それで、勝負したのよ」


「そうですか……結果は?」


「そらもう負けよ負け、ボロ負け」


「負け……え、あの、その、どっちの意味、ん?」


「本物のブーメラン強いね、さすがブーメラン」


「あ、負けたってことはつまりブーメランパンツ視点なんですかにゃ」


「もうボトーンですよ。そりゃそうですよね」


「パンツですからにゃ」


「いくらブーメランって名前がついてるからといっても、実際はもうクタクタの布ですからね、まぁそうでしょう」


「ええ、みんな知ってますにゃ。新発見みたいに言ってますけど、みんな知ってますにゃ」


「はい」


「ええ」


「以上です」


「うん……」


「でさ」


「続いてますにゃ」


「え?」


「以上ですって締めたのに続いてますにゃ」


「あ、そうね。続きます。続いていると言えば続いています」


「どう続くっていうんですにゃ、こんな話」


「それで、そのままじゃブーメランパンツはブーメランじゃないじゃない」


「はい?」


「ブーメランパンツが全然ブーメランじゃないなら、それはもうただのパンツなんよ」


「あ? え? いや、はじめからただのパンツですにゃよ」


「違うよ、ブーメランパンツだもん」


「?」


「ブーメランなんだよ、ブーメランパンツは」


「は?」


「ブーメランパンツなんだから、ブーメランでないといけないの」


「哲学か?」


「現実だよ」


「現実はただのパンツですにゃ。以上ですにゃ」


「だめだよ」


「えー……」


「だからさ、考えたのよ」


「思考するのを今すぐ止めてほしいですにゃ」


「ブーメランに敗北したのは仕方ない。でも、ブーメランパンツにも慈悲がほしい」


「慈悲」


「だから、協力してほしいって」


「誰に?」


「誰っていうか、ブーメランに」


「本物のブーメラン?」


「そう」


「何言ってんだおまえ」


「だからね、ブーメランパンツもブーメランだと認めてほしいけど、ブーメランパンツはブーメランにはならない。まずここまではいい?」


「最初からここまで何一つよくないですにゃ」


「そこで、本物のブーメランの力でブーメランパンツのことを本物のブーメランにしてやれないだろかと思いついたわけよ」


「もうね、情けないですにゃ」


「つまりね、ブーメランにブーメランパンツを履いてもらって飛んでもらおうってことよ、名案だろ?」


「あはは」


「なにがおかしいんだよ」


「なにもかもですにゃ」


「ブーメランにブーメランパンツを被せたブーメランパンツブーメランの姿は、それはもう大した機能美にあふれていたよ」


「もう寝ていいですかにゃ?」


「聞いてよ。それでね、勝ちを確信したのよ」


「はい」


「これはいけると。それで、投げたね。思いっきり投げたね」


「ほう」


「飛んだね。思いっきり飛んだね」


「よかったですにゃー」


「よくねえよ」


「なにがですかにゃ」


「飛びすぎたんだよ」


「はあ」


「倉庫の屋根の上の溝にスコーンと入っちゃったんだよ」


「ブーメランなんだから仕方ないですにゃ」


「いやでもパンツなんだよ、水泳用のパンツなんだよ、そのブーメランパンツは」


「え? は? 何言うてんねん、おまえ。どっちやねん」


「パンツなんだよ、結局は」


「えぇ……これまでの話はいったいなんだったんですかにゃ」


「しかも、頑張ったらブーメランの方は回収できたけど、ブーメランパンツは隙間に落ちちゃってそのまま行方不明よ。結局、水泳の授業の時間に先生に大目玉くらったんだ」


「遊んでるからですにゃ。まぁでも事情を説明すればそんなメチャクチャには怒られにゃいでしょうに」


「いやもうチビリそうなぐらい怒られたね」


「ずいぶん厳しいですにゃあ」


「いやー、それで学んだね」


「バカなことはするべきじゃないって?」


「いや、ブーメランパンツがブーメランではないように、ブーメランもまたブーメランパンツではないということをさ」


「……まさか」


「水泳の授業、ブーメラン貼り付けて出たんだよ」


「……」


「お後がよろしいようで」


「本編を半年以上放置したあげくに書かれたのがこんな話なのかと思うと涙が出てきましたにゃ」

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