第二話 伴出、転送される
「ダイアリーア?」
異世界からきたという異巫女、サワキには確かめなければならないことがあった。
「そうよ」
「異世界だって? 嘘だね」
「なんでよ」
「だってダイアリーアって英語で『下痢』って意味だぞ」
「ええ!? いや、でも、こっちとそっちで意味は違うから! 日本語だとエビは海老のことだけどロシア語だとオマ○○のことだから!」
「おまえ往来でなに口走っとんねん」
「あ! いや、あの、じゃああれ! あの、チョウチョはスペイン語だと……」
「……なんだよ」
「マ○コのこと」
「そっちじゃねえわ。ひっかかったのそっちじゃねえわ」
「もう、とにかくダイ・アリイアのダイは偉大なって意味なの、わかった?」
「じゃあアリイアは?」
「……流れ」
「じゃあやっぱり下痢だろ」
「ちげーよ! 偉大なる流れは偉大なる流れだよ!」
あんまりにもあんまりな話ではあったが、異巫女というその女がなぜか嘘をついてるとは思えなくて、沢木はとりあえず話をいろいろ聞くことにした。
「それを信じるとしてさ、どうやって治すってのよ、この過疎地」
「アリイアにある偉大な賢者がいるの」
「おお、そいつに頼むのか!」
「そう。見つかればね」
「居場所わかんないの?」
「そう。簡単に説明すると、アリイアに危機が迫ってるんですよ。それで、それを解決できるのがその賢者様なのよね。あなたにはそれを見つけてほしいわけなんでゲス。もち賢者様なら頭髪ぐらいおちゃのこさいさいでしょうよ」
「ふーむ」
「しかも、アリイアとこの世界は時間の流れが違うから、向こうでどれだけ時間がたとうとも……」
「平気なわけか」
「あと、向こうには魔法とかもあってぇ……」
「ふむ、ワクワクだな!」
「じゃ、チュートリアルはこんなところで、われらがアリイアへいってらっしゃい!」
「は? 了承してな――」
次の瞬間、まるでドッキリのように足元に大きな穴が開き、冗談のように両手をあげた姿で伴出はいずこかへと落下していった。
「ねえ、みなさんどう? こういう感じでいいわよね? 異世界への転送って」