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雨が降るのはあなたのせい

作者: 海之本

銀色の雲から飛び出した時

街のきらめきに

わたしの体は色とりどりに輝いて

ビルのガラスをつたい

あなたの傘をつたい

ワイパーに押し出されて

アスファルトの色を変えた


ポツポツ音を鳴らすのは

あなたを呼んでいるから


顔に向かって落ちるのは

頬に触れたいから


誰かの傘をつたい

誰かの肩に落ちて

雨が好きだと言ってくれた

あの子の手の平に掬い上げられても

わたしはあなたの顔を映している


もしも

空を見上げるあなたの目に

落ちたなら

あなたが目にする夕陽を

共に眺めていたい


赤く冷たいあなたの耳に

落ちたなら

口づけしながら

優しい音を聴かせたい


笑うあなたの唇に

落ちたなら

朗らかな声の中で

踊り続け


温かなあなたの手のひらに

落ちたなら

優しいにおいに

染まりたい


あなたが見ているのは

窓の向こうの景色

聴いているのは

都会の音色

泣きそうな雨は

ガラスより透明です


それでも

傘越しになぞられると

舞いあがって

流れ星のように

落ちてしまう


スニーカーに染み込むのは

そばに居たいから


走るタイヤの下で弾け回るのは

忘れないでほしいから


眠れない夜の

あなただけの

雨になりたい


青空を望むのなら

どうか傘を閉じて


あなたを濡らすことなく

銀色の夢と共に

消えましょう


わたしはただの雨。雨。

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