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死亡フラグ

死亡フラグ・-・-・-


あくる日の朝、俺、「雨宮 沙河」は、幼馴染である、「色山 小波」と共に、夕涼みをしていた。

「この時間が永遠に続けばいいのにな」

俺がそうつぶやくと、

「あ、沙河くんそれ死亡フラグだよ~」

半目でそう言い返してくる。

本当に永遠にこのままいたいと思った。

しかし、30分後に家族と外食する予定になっているので、そうもいかない。明日また会えるのだと自分に言い聞かせ、ようやく温まってきた石から腰をあげる。小波は、こちらを上目遣いで見つめている。

栗色の目、大きすぎず、小さすぎずの可愛らしい目。真っ白で透き通るような白い肌。そして、

ほんのり赤が混じった艶のある髪。

そう、彼女はとても美人なのだ。

そのまま見つめ合っていたが、顔が熱くなるのを感じ、目をそらした。

「じ、じゃあまた明日な」

「うん、また明日ね」

いつも通りの別れ方だったのだが、何故だろう。

何故か二度と、彼女の声を聞くことができない気がした。


中途半端に暗くなった空を見上げながら、最近流行り気味の歌を口ずさむ。軽やかなメロディーと、若者の心を引きつける、簡素で、なおかつ意味が深い歌詞が特徴だ。

その歌が、サビに差し掛かろうとした時だった。

バリンッ!と大きな音がし、ついつい身構えてしまった。空から閃光が降ってきたように見えたので、雷だろうか。そう思っていると、あることに気づいてしまった。


閃光が降ってきた場所が、彼女の家ちょうどか、その隣だった。


俺が彼女の家を出た後、縁側で横になるのを見た。もし、そのままの状態ならば、彼女は...


そんなことを考えるのはやめろ、と思考回路を強制シャットダウンし、彼女の家へと走る。

本格的に暗くなってきたが、さっきの閃光のせいで、電灯には光が点っていない。

暗い道を何度か転びながら走り、彼女の家へとついた時、俺はつい、場所を間違えたかと思った。

建物は全壊しており、火もかなり回っている。

そして、彼女の家だとすると、豪華な装飾が施されている、壁があるはずなのだが、すべて砕け散り、よく分からない。壁が粉砕されているのだから、人など微塵もないだろう。

声が出ない。彼女の名前を叫びたいが、喉がうまく開かない。

小波。小波。心の中でよびつづけるが、応答はない。

火が、大きく踊ったかと思ったその時、少し、瓦礫がズレた。隙間から、人が見える。少し赤い髪。透き通るような白い肌。小波だった。

「小波.....?」

ようやく声が出た。

「小波!小波!大丈夫か!」

急いで駆けつけるが、小波の肌は冷たかった。

「小波...!?」

ほんの少し前に彼女が言っていたことを思い出す。

「沙河くんそれ死亡フラグだよ~」

死亡フラグ。俺のせいで、小波が...?

嘘だろう。いつの日だったか、将来を誓い合った。ひとりで勝手に、彼女を守ると誓ったこともあった。なのに、俺が小波を殺したのか.....

無意識に、俺の頬を熱いものが伝っていく。

そして、彼女の手にしたった時、目の前が金色に光り出した。

よく目を凝らすと、そこからどうやら、女性が現れたようだ。艶のある金髪。理想的な体つき。

何方かと言えば男顔のどこか肉食的な整った顔。

美人だ。しかし、俺にはそんな余裕はなく、

ただその女性を見つめていた。

「雨宮 沙河くん。彼女を救いたいですか?」

突然言われたので少し躊躇ってしまったが、当たり前だ。救いたいに決まっている。でも、もう冷たくなっている彼女に出来ることは何も無い。

「方法がないと、絶望していますね?」

女性は、どこか妖しい笑みを浮かべ、口にした。

「彼女を救う方法。教えてあげましょうか?」

彼女は、その顔のまま、こちらを見下ろすような形で、確かにそう言った。

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